消費FORESIGHT 生活者意識で読み解く今日と明日No.1
消費増税“折り返し地点”の生活者意識
2015/11/26
2014年4月に5%から8%に上がった消費税は、17年4月には10%に再増税します。さしずめ、今は「増税後」から「増税前」への折り返し地点といえそうです。増税から約1年半の間に生活者の消費意識はどのように変化したのでしょうか。
消費増税による消費意識の冷え込みがはっきりとし始めたのは、14年の夏ごろです。4~6月のGDPの不調や円安に伴う商品の値上げなどが、消費意識にも影響しました。「電通 消費マインド調査」(14年9月調査)での「増税前の水準に消費を戻すのはいつか」という質問を見ると、「増税直後から変化はない」と答える人が3割強なのに対し、「増税前の水準に戻ることはない」と答えている人は4割に達しています。
この基調が回復し始めたのは今年の春ごろからです。バブル以来の株価やベースアップ、ボーナスの好調などのニュースは生活者意識も明るくしました。今年9月に行われた同調査のスコアを見ると増税前の水準に「戻らないと思う」と答える人は、3割強まで下がっています。
では、これからどうなるかを少し考えてみましょう。8%増税前の消費動向を鑑みると、家電などの耐久財は来年の12月ごろ、食品や日用品などは再来年3月の最後2週間くらいがピークとなりそうです。とはいえ、生活者もすでに一度、増税を経験していますので、前回のような、やみくもなまとめ買いは少なそうです。
その一方で、生活者の心理的な圧迫感は「5%から8%」に上がるときよりも「8%から10%」の方が大きいという調査結果もあります。生活者は消費税が「2%分増えた」ではなく「1割になった」と考えるようです。増税後の消費の落ち込みが前回以上に厳しくなるならば、10%時代に向けたさらなる対策が必要になります。価格競争に陥らないような、付加価値のある商品を開発・育成する時間は、今ならまだあります。すでに今は「増税前」です。10%時代に向けては早過ぎることはないのです。
消費マインド調査の詳細はこちらからご覧になれます。
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