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実践 インバウンド最前線No.4

春節を狙え! “爆買い”「お買い物リスト」に載る方法(前編)
~「中国人訪日旅行客買い物リスト&ビークル調査」結果から

2015/12/14

お買い物リスト

2015年の訪日外国人客数累計は10月末時点で1600(最新数値確認)万人を超え、すでに年間の最高を大きく更新した。2020年の目標値である2000万人が前倒しで達成されるのは確実だ。中でも日本中を席巻したのが、中国人観光客の「爆買い」。メディアでも日々大きく取り上げられ、ついに今年の「生活者が選ぶ話題・注目商品2015ランキング」(電通総研)の1位に「爆買い/インバウンド」がランクイン、さらには新語・流行語大賞にも輝いた。

ところで、街で買い物をしている中国人観光客が、スマートフォンの画面を見たり、紙を手に持って買い物をしているのを目にした人も多いのでは?実は、彼らが見ているのは「お買い物リスト」。彼らに購入してもらうためには、まずそこに載ることが必須なのだ。

前回、一度の訪日で100万円を消費する「ミリオンショッパー」の存在を浮き彫りにしたインバウンドの観光情報に特化した専門ユニット「トラベラーズ・ジャーニー」が、今回はこの中国人観光客の「お買い物リスト」に焦点を当て、情報源などを徹底調査した。来年2月8日の春節に向け、すでにリスト作りは山場を迎えている!


 何と、95%以上の訪日中国人がお買い物リストを作成

お買い物リスト

95.1%が何かしらの形でお買い物リストを作っているという結果に。想定を上回る数値でうわさが証明された。多くが「手書き」(73.4%)もしくは「スマートフォンのメモ」(60.6%)を使っている。リストには、商品名に加えて商品写真や日本での金額など。事前に綿密に調べてきていることが分かる。

お買い物リスト
スマホのお買い物リスト例。商品名に加えてECサイトでの商品写真や価格情報まで、細かく記録されている。

旅行が決まったら、即、リスト作りスタート

お買い物リスト

買い物リストは一体いつごろから作成されるのか。調査結果では、旅行形態に応じて二つの山が見られるが、団体ツアー参加の場合は何と旅行の1年前から3カ月前。個人旅行では、1カ月前をピークに渡航直前まで作成している。旅行の決定時期とほぼ合致しており、旅行が確定したらすぐにリスト作りに入っていることが分かる。ちなみにツアー旅行のイメージが強い中国人だが、現在個人手配と個人パッケージを合わせると全体の53%を超えており、個人旅行が主流になりつつある。

リスト作成率は商品カテゴリーで差がある

お買い物リスト

リスト作成率を商品カテゴリー別に見ると、化粧品、家電、衣服で特に高い。逆に「ノンアルコール飲料」「家具」などでは10%を切っており、カテゴリーによって大きく差がある。

情報源は検索最大手「百度」やSNS「微信」「微博」など

お買い物リスト

買い物リスト作成の情報源は「ポータルサイト」(45.4%)を筆頭に、「家族・友人・知人の話」(33.6%)、「旅行ガイドブック」(31.6%)、「テレビ番組」(31.4%)など。具体的な情報源は上の表の通りで、検索エンジンでは中国最大手の「百度」(Baidu)が圧倒的な強さを見せている。SNSではメッセンジャーアプリ「微信」(WeChat)やSNSサイト「微博」(Weibo)、旅行検索ではEコマースサイトもある「携程」(Ctrip)や「去哪儿」(Qunar)が主なところだ。ちなみに百度は携程、SNS「百度贴吧」、旅行SNS「百度旅游」を傘下に収めており、グループとして捉えると圧倒的シェアを誇る。

さらに、リスト作成に当たって中国やEコマースサイトでの販売状況や価格も必ずチェックする。Eコマースサイトのアリババグループの天猫(Tmall)や淘宝网(Taobao)、テンセントの京东(JD.com)も重要な情報源だ。

リストに挙げた商品の74%を購入

お買い物リスト

買い物リストから、実際にどれくらい購入しているのか? 上記チャートの通り、リスト上の商品の70%以上を購入した人は、買い物リスト作成者のうち、実に74%に上ることが分かった。商品カテゴリー別に見ても、全てのカテゴリーにおいて6割から7割の商品の購入に至っており、特に化粧品や家電、食品、医薬品などで約8割と高い。

リストに載らなくても、チャンスはある!

見つかなければ半数以上が代替の商品を購入

お買い物リスト

それではリストに載らなければもう買ってもらえないのか。実は、そうでもない。リスト上の商品が店舗で見つからなかった場合、別の店で探す人は約3割。全体の半数以上が、代わりの商品を購入している。

9割近くが「リストにない商品」も購入

お買い物リスト
 
さらに、お買い物リストに載っていない商品も購入した人は87%。何と9割近い人が、訪日してから店頭で見て購入を決めたことがある、という結果に。

さらに、リスト外から購入した人を対象に調べたところ、リスト外の購入が買い物全体の7割以上を占める人が27%に達した。これは、無視できない比率だ。

特に生活用品や衣服でリストにない商品を購入する傾向が高く、直接店頭で見て買うものを決めている。購入に至った理由としては、家電では「有名なお店で売っていたから」、トイレタリーや医薬品では「家族・友人に勧められたから」「店員で勧められたから」「試供品をもらって気に入ったから」など。リストになくても、まだまだチャンスはあるのだ。

(後編に続く。次回はアプローチ方法をご紹介します)


中国人訪日旅行客買い物リスト&ビークル調査 概要>
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件:以下の条件を満たす500サンプル
  中国人の20〜60代男女(居住エリアは限定せず)
  2015年2月の春節以降の訪日旅行経験者
  買い物リスト作成者(スクリーニングにて作成者を抽出)
・調査期間:2015年8月15日~16日

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