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電通スマプラNo.20

聞いてみた!スマホ世代の若者たちの、リアルなスマホライフ 【後編】

2015/12/17

こんにちは、電通スマプラの杉原です。前回は、実際にスマホ世代の消費において、スマホがどのように関わっているのかを調べるべく、関西学院大社会学部・鈴木謙介ゼミ×電通スマプラでの共同ワークショップの模様をお伝えいたしました。

そのまとめとして、ワークショップで出てきた実際の消費行動から見られる示唆を紹介したいと思います。

1.スマホは、“弱いほしい”をたくさん湧き上がらせる。
情報が増えて「ほしい!」の瞬間は増えたからこそ、理性的に。

イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

スマホの登場により、私たちが“欲しい”と心を動かされる瞬間自体は激増したと言っても過言ではないでしょう。実際学生たちに話を聞くと、物すごい速さでたくさんの情報を処理し、その中で「あ、いいかも」「これ気になる」といった“弱い欲しい”がたくさん湧き上がっていることが分かりました。

とはいえ、実際には全ての“弱い欲しい”を満たすことはできません。彼らは、感情の高まる回数が増えたからこそ、理性的になることを覚えたのです。Kindleを最近購入したWさんが「3回“欲しい”と決めたら買うようにしている」と自然にルールを作るようになったのもそのためです。

いかに“失敗しない買い物にするか”がポイント。

そんな学生たちに共通して見られたのは、いかに“失敗しない買い物にするか”ということへの追求です。

例えば、事前にできる限りトライアルをする/もしくはそれに近い経験をすることで、商品やサービスなどが、自分に合っていることを確認します。また、数ある情報の中から、信頼できる成功事例を探し当てる技術にも、大変長けていました。思えば、最近より身近に楽しめるようになった音楽や映画の配信サービスには、いずれも「無料期間」がついていますね。自分にとって無駄にならないものを選ぶためのツールとして、スマホはフル活用されています。

そうして、たくさんの“弱い欲しい”の中から、いくつかのものだけが、“失敗しない買い物になりそうだ”という判断をされて、やがて““強い欲しい”へと昇華していきます。

2.スマホが、強い”欲しい“を作るまで。

では、スマホはいかにして、“弱い欲しい”を“強い欲しい”へと、その思いを強くさせていくのでしょうか。前回のワークショップで出た消費行動からは、スマホには大きく2つの役割がありました。

①「疑似体験」

イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

いかに“失敗しない買い物にするか”が重要な学生たちは、具体的なシーンまで想像ができる、つまり「疑似体験」をするための情報を獲得していました。

例えば、まだ行ったことのないお店や旅先を探すのであれば、グーグルストリートビューを活用して、実際の店舗や周辺の街並みを知ることで、より具体的なイメージを把握します。友達のSNSに上がった写真や動画を眺めることでも、自分がそこに居合わせたような気分になることができます。それがファッション・雑貨であれば、着こなし/使いこなしの画像が出ている記事を読むことで、服やスーツケースなどの具体的な使用イメージを知ります。また、Hさんのように、お店に行ってリュックの写真を撮り、それをストックして見返すことで、疑似的に購入体験をした人もいました。彼の場合、写真を見返すことで、クローゼットの中にしまったかばんを何度も見返すような気分を味わっているのです。

また音楽についても、YouTubeでまず動画を見てお気に入りのアーティストを探している人がいました。映像付きで実際の演奏を見ることで、アーティストのライブの臨場感や熱狂も想像することができます。

②「成功確証」

イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

さらに失敗しない買い物のためには、ただの口コミやオススメ記事だけでは足りません。「絶対それで効果の実感が得られる!」もしくは「購入した後も使いこなせる!」という「成功確証」が欲しくなります。

例えば、ダイエット商品が欲しかったKさんは、Instagramのダイエット関連のアカウントを頼りにしていました。ダイエット用にサブアカウントを立ち上げた人が、日々食事や運動、鏡の前の(痩せていく)自分のお腹などの画像を日々投稿しているものです。つまり、実際にスリムになっていく女性の成功履歴を見ることができます。効果が検証されているので、その人が紹介している商品は、他の口コミや記事よりも断然、信頼できるのです。

コスメについても、口コミや記事だけにとどまらず、YouTubeでたくさんのコスメの使用動画を見ることができます。最近では、動画も配信できるInstagramにおいても、メイクアップアーティストによるメイクの解説動画があります。

これら「疑似体験」「成功確証」は、デバイスやメディア、テクノロジーが進化するにつれて、その質・精度が向上していきます。文字より、写真。写真より、動画。いずれは、平面だけでなく立体的に、正面だけでなく、360度に、と拡大していくのかもしれません。

では、強い“欲しい”へ導くためには?

スマホの登場によって、“弱い欲しい”がたくさん生まれ、いくつかは購入につながる “強い欲しい”へと昇華していく実態が見えてきました。では、ふつふつと湧き上がってきた「弱い欲しい!」は、いかにして「強い欲しい!」へと昇華していくのでしょうか。そこには何か法則性があるのでしょうか。

その解明に向けて、現在電通スマプラでは、実際にスマホ世代の若者の生活に密着した調査を計画しています。彼らが日々スマホを通じてどんなものを「欲しい!」と感じ、その中でより具体的に検討したものは何だったのか、なぜなのか。その結果は次回の連載で発表します。ご期待ください。


電通スマプラロゴマーク
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