コンテンツマーケティングの現場からNo.24
コンテンツのPDCAって、どう考えればよいのだろう
2016/01/15
コンテンツマーケティングで難しいのは、コンテンツの効果測定や評価。KPIはどう設定する? 効果測定はどうやる? PV/UUではだめ? どの指標を見ていけばいい? いざやってみようとすると、とにかく「?」だらけ。
アクセスが多いコンテンツが良いコンテンツつまり良い企画、という感じがなんとなくしてしまうのですが、そうとは限りません。アドを実施していればそのランディングページは必然的にアクセスが増えますし、アクセスが多くても直帰率が高ければタイトルで釣っているだけかもしれません。
海外の情報などを探すと、「コンテンツの〈消費〉〈シェア〉〈リードジェネレーションにつながったか〉〈売りにつながったか〉を見ていく」などとあったりして、それを知った瞬間は「おおなるほど!そうやるのか!」と思うのですけれど、実際に目の前の仕事でやってみようとすると、どういうわけか、なにかがうまくいかないのですね。
ではどう考えていけばよいのでしょう。
少し分かってきたことをご紹介したいと思います。
①自分たちは何がやりたいのか
ひとつは、当たり前のことなのですけれど自分たちが何をやりたいのか。何を実現したいのか。目指すことがないと出てきた数字もコンテンツそのものも評価できない、ということです。評価を通して知りたいことがなければ、効果測定のプランはつくれず、効果測定のプランがつくれなければ、どんな指標を見ていったらよいのかが決まらないということです。もちろん、コンテンツを良いと見るか悪いと見るか判断するための比較材料として数字は必要です。けれど数字を出して、前月や競合と比較して論じているだけでは、なかなか次の新しいコンテンツにはつながらないという課題が起きてきます。
②指標と目標は違う
指標も目標も、目印という意味を持つので混同して使われているケースが多々あるように思います。
指標は、判断基準、物差しのこと。目標は達成すべきゴールのこと。実は違うものです。指標の数字であれば進捗を見ていくための目印、ということになりますし、目標の数字であればクリアするための目印ということになります。キャンペーンコンテンツの評価をするときには、目標値を設定してそれを達成したかどうかを見るケースが多いと思います。ですが、コンテンツマーケティングのような継続的につくっていくコンテンツを評価するときには、指標にした数字を見ることで、今自分たちがどこにいるのかを確認し、次の方針を決めるのが、目指すべきカタチです。
③企画の改善の仕方が分かる
恐らくもっとも難しいのは、出てきた評価を次の「企画に生かす」ことではないでしょうか。
タイトルや写真のABテストでCTRの高いものを選ぶ、ということは簡単なのですが、パーツで良いものを組み合わせたからといって、良い企画ができるわけではありません。あるいは、直帰率や読了率から、文章が長すぎるといった示唆があったとしても、企画をつくるヒントにはなりません。ABCを比較したらAのセッション数が多かったということが分かったとしても、では次にどんな企画にしたらよいのか。これだけではなかなか分からないものです。
企画に必要なのは、生活者のインサイトとブランドの課題。と同時にPDCAに必要なのは、企画の「組み立て」が分かっていることなのではないかと思います。
テーマ、トーン、コンテクスト、タイトル。それぞれの要素を狙いたい目的に合わせてコントロールできること。そして企画の中にある骨組みと演出、つまりロジックとアートの部分を切り離して見ることができること。さらには優秀なデザイナーのように、アートの部分もロジックで整理できていれば改善方法の幅は広がります。そのような見方ができれば、コンテンツを世の中に発信する前に「企画の何を検証したいのか」を決めることができ、そこを決めてから発信すれば、評価もしやすくなり、次の改善ポイントが見えやすくなっていきます。
とはいっても、コンテンツの基本的な役割は人を引き付けること。
次々リリースしていくコンテンツ全てが、いつもいつも改善と調整をするものでなくてもよいのかもしれない、と最近私は感じています。
数字とロジックで追い込んでいくと、コンテンツはどうしても人の心に届きにくくなっていく側面があります。理系体質の方には気持ち悪いかもしれませんが、ときには少し寛容に構えて、見る人を楽しませることに徹する。最低限のポイントだけ踏まえていればよいと割り切って、あとは、つくり手が直感的に「欲しい」「楽しい」「見たい」と思えるものに託してみる。そういうことも、実は必要なのだと思います(ただしこの場合は、冷静な第三者からの企画検証が必ず要りますが)。
ロジックが多少破綻していても、筆の乗っている文章が人を引き付けるように、送り手の熱がこもったコンテンツには人を動かす力があることもまた事実なのです。