電通グループが見たCESNo.1
米国の経営に触れる、CESの歩き方。
2016/01/22
世界の電通グループのメンバーの視点からCESを紹介します。1回目は、長年にわたってCESを訪れてきた電通CDCの森直樹氏が、多くの米経営者と向き合うという「CESの歩き方」を語ります。
毎年1月、テクノロジーの世界トレンド、米国大企業や有力ベンチャーの潮流に触れるその年最初のチャンスが訪れる。米国ラスベガスで毎年1月早々に開催されるCESだ。今年から、主催団体の名称もCEA(Consumer Electronics Association、全米家電協会)からCTA(Consumer Technology Association、全米民生技術協会)へと変更され、よりいっそうテクノロジー色を強めた。
このレポートでは、テクノロジーや商品トレンドではなく、CESで接することができる米国企業経営者に焦点を当てたいと思う。米国企業のテクノロジーとの向き合いに触れる、私なりの「CESの歩き方」を紹介する。
CESは米国経営者からの示唆に触れる絶好のチャンス
CESといえば家電ショー、最近では、モバイル、自動車(コネクテッドカー)、スマートホーム、3Dプリンター、ドローン、VR…最新のテクノロジーによる様々なガジェットたちに出合うことができるトレードショーが主役だ。国内のニュース記事のほとんども、CESで新しく発信される最新のプロダクトに注目が集まっていると思うし、日本からの多くの参加者も、それらを目的としている方が大半だろう。筆者も、7年くらい前にCESに参加し始めたころは、「最新のプロダクトに出合う!」が主目的だったように思う。
しかし、CESにはそれとは別の貴重なチャンスがあった。基調講演もそうなのだが、普段話を聞くことが難しい大企業からスタートアップに至るまで、経営層による大小多彩なセッションがあるのだ。私の場合、CESでは新しいガジェットに出合うのではなく、とにかく多くの経営者やビジョナリストの話を聴くように歩き回っている。これほど幅広いジャンルの経営層の言葉に触れる機会は他にないからだ。
米国企業は何を見ているか?
セッションを通じて、米国の経営層がイノベーションを起こすために、何を大切にしているか、何を注目しているのかに触れることができる。
まず、組織の規模や業種、官民の別を問わず、共通してIoT化の流れに関わり、自らのデジタルトランスフォーメションの必要性を強く認識している。さらにその方法論として、APIを活用したビジネスのエコシステムの構築、異業種とのコラボレーション、スタートアップとの連携や投資、それらを行うスピードが重要であるとの考えで一致しているように思う。
また、彼らはUberやAirbnb、テスラなどを例に挙げてDisrupt(破壊的革新)や、Disrupter(破壊的革新者)が今後も市場に大きく影響を与えるとし、自らがDisrupterとならなければならないと発言している。
多くの米国経営者から見た、米国企業のテクノロジーに対する考えやトレンドについては、アドタイ掲載のCES 2016 REPORTでも触れています。
広告主の方々がもし、CESへ足を運ばれるなら、魅力的なデジタルガジェットや最新のコネクティビティー家電・自動車などに触れる以外に、生の経営者からの発信にも耳を傾けることをオススメしたい。