オフィスポNo.7
それ、電通がやる意味あんの?(後編)
2016/03/10
みなさん、こんにちは。オフィスポプロジェクトのブレークタイムデザイナー、奥村誠浩です。前回に引き続き、オフィスポなんて、なんで電通がやる意味なんの?ということについて引き続きお話ししていきます。
前回は、「オフィス内における健康系プログラムのモチベーションづくり」「オフィス内のインサイトをため込むと、もっともっと新しい価値を創造できる」について書きました。
今回は、それらに加えて電通がオフィスポに取り組む意義についてをお話しします。
世界ランクを持つ選手たちでさえ、マイナースポーツ競技は苦労が尽きない
オフィスポに欠かせない存在なのが、野球やサッカーやバスケなどのいわゆるメジャースポーツではなく、マイナースポーツです。たとえば上に掲載した写真は、フリーダイビングの世界歴代3位の記録を保持している岡本美鈴さんです。また、この連載でも以前紹介したスポーツスタッキングの瀬尾剛さんは世界チャンピオンです。
皆さんはこのようなスーパースターをご存知でしょうか?僕自身、実際にオフィスポの活動を始めてからこれらの選手たちと接点を持つようになりました。
これらの方々をマネジメントするスポーツゲインの岩田さんによると、オリンピック候補にもなるような世界ランカーでさえバイトで生計を立てている選手もたくさんいる、とのこと。
スポンサーがつかない競技も多く、選手自身の努力でなんとか世界を勝ち抜くところまでたどり着いた人も少なくない、とのことでした。
マイナー競技はマイナー競技でい続ければならないのか?
どんな競技であれ、選手たちはやはり目の前の試合に勝つことが一番であり、そのために日々努力をしていることは間違いありません。
そしてそれが最も正しい道である、ということは自らのスポーツ経験からしてもそうだと思います。
そうであれば、マイナー競技を少しでも多くの人に知ってもらうためには、選手自身の活躍とともに、それを盛り立ててくれる周囲の人たちを少しでも多くつくっていくことが大きなカギだと思います。
そしてそれは、どこかのニュースで取り上げられていたという程度ではなく、少しでも自分に近いところで彼らのプレーしている姿を目のあたりにすること。それが一番強いファンマインドをつくるのだと思っています。
例えばオフィスポをお手伝いいただいていたキクササイズに関して言えば、女性のムエタイ競技は世間的に見るといまだにマイナーなのかもしれません。しかし、実際に世界チャンピオンである宮内選手に会い、オフィスで指導してもらった人たちは少なくとも次の試合の結果はとても気になるし、絶対に勝ってほしいと応援するキモチを強く持ったことは間違いありません。
小さなことかもしれない。でも人のキモチを変えられる。新しい、選手を応援する形。
そう、オフィスポのもう一つの意義は、そこにあるのです。スポーツ事業に関わる電通だからこそ、このようなまだメジャーではないものの、世界と戦い、世界を代表している選手たちを微力ながらでもバックアップすることができるではないか、ということです。
オフィスのブレークタイムでの運動に世界クラスの選手のノウハウやメソッドを導入する。
それは、オフィスでのストレスを解消し、アタマ・ココロ・カラダのリラックス&リフレッシュを実現していくとともに、実際に参加した社員の皆さんと選手とのエンゲージメントが生まれ、応援熱量が膨らんでいく。
小さな小さな活動体かもしれません。
でも何も始めないよりも、一歩でも動き出すこと。それによって少しでも競技に関心を持ってもらえる人を増やすこと。それを目の前で実感できるから、もうやめられません。
先に紹介したフリーダイビングの岡本選手からは、貴重なコメントをいただいています。
「一息の酸素を吸い込み、その酸素を大事に使って海中深く潜るのがフリーダイビング。女子世界歴代3位のマイナス92mでは往復に3分ほどを要し、単純な息止めなら6分超えという世界です。
自然には無限の酸素(空気)があり、毎日の呼吸が当たり前のように行われますが、この一息一息の呼吸こそ人間が生きる原点で、少しの工夫と少しの調整を行う事で、身体は勿論、心(精神)にも好影響する事はあまり知られていません。
フリーダイビングは海・プールで行うものですが、呼吸のプロとも言えるフリーダイバーが企業のオフィスで役立つ事ができれば、こんなに良い事はありません。
国内競技人口200名というマイナー競技を知っていただくきっかけにもなりますし、競技を通じた呼吸法が、皆さんの業務にまで貢献できれば、フリーダイビングの新しい道にもなると思います。」
平たく言えば、スポーツ選手のセカンドキャリア形成。ということをゆくゆくは狙っています。これまでマイナー競技のお話をしましたが、決してそれだけではないかと思います。例えば野球選手やサッカー選手にも参加いただくことができれば、そんなに素晴らしいことはないと考えています。
スクリーンセーバーから、行動を変えられないか?
このような、選手とのある種イベンチャルなオフィスポプログラムは、やはりそう回数を多く実施できるものではありません。
そしてオフィスポ自体は、いかに継続的にオフィスワークの中で運動ブレークを取り入れていけるか、ということへの挑戦でもあります。
つまり、日常行動の延長線上でオフィスポをつくることと、それを一人でも多くの人が「あ、やってみようかな」と思える動機づくりができるかが大きな課題です。そこで我々が目をつけたのが、スクリーンセーバーです。
オフィスのスクリーンセーバーといえば、席を外した時に他人に情報を見られぬようブロックする一つのセキュリティー機能です。ただ現状、そのスクリーンセーバー自体は、会社の規定などによってなかなか自分の思い通りの写真を挟めないのが実態です。
でもよく考えてみれば、スクリーンセーバーは、席を立った後、デスクに戻って椅子に座るというタイミングで必ず出会うものです。つまり、座ったその時「ふうっ」と一息つくその瞬間が必ずある、ということです。
であれば、そこにワンブレークタイムを入れればよいのではないか?
そう考えたのです。
スクリーンセーバーに、デスクでできる1分エクササイズ。それを提示できれば、ちょっとリラックスできる運動をやってみてもいいかな、と思える人もいるんじゃないでしょうか。
そこでつくったのが、オフィスポスクリーンセーバーです。様々な一流トレーナーの皆さまに監修いただき、デスクでできる1分エクササイズを作ってみました。
いまは、以下のような人たちとコンテンツを準備しています。
・森実利さん(NIKE NRC COACH / パーソナルトレーナー)のデスクストレッチ
・西川公祥さん(寺子屋ブッダ 坐禅講師)のいす座禅
・相楽のりこさん(sagara yoga)のデスクヨガ
・Priya 瀧綾子さん(JIVAMUKTI YOGA正式指導者)のデスクヨガ
これからさらにたくさんの選手や指導者の皆さまの力を借り、コンテンツを増やしていきたいと考えています。
オフィスを運動から変えていく
さて、2回にわたりなぜ電通がオフィスポを推進していくのか?ということについてお話ししてきました。このプロジェクト自体はまだまだ始まったばかり。これからもたくさんの方の協力を得ながら、大きなムーブメントとしていきたいと考えています。
健康経営という、企業が社員のために用意する具体的なアクティビティーがこれからどんどん増えていくことでしょう。そのひとつとしてオフィスを運動から変えていく「オフィスポ」が選ばれるよう、様々なプログラムを作り上げていきたいと思っています。