杜の都から“復興の力と広告の未来”発信―全広連仙台大会開く
2016/05/20
全日本広告連盟(全広連)は5月18日、第64回「全日本広告連盟仙台大会」(主催=同組織委員会、全広連)を仙台市の仙台国際センターで開催した。同市での開催は、25年ぶり3回目となる。テーマは「復興の力を創造の力へ~杜の都から広告の未来を発信~」。全国から広告関係者約1200人が参加し、鈴木三郎助大賞や全広連日本宣伝賞の贈呈、記念講演などが行われた。
式典では、組織委実行委員長を務める一力雅彦氏(仙台広告協会理事長、河北新報社社長)が開会宣言を行った。
「全国各地からの支援のおかげで、被災地は一歩一歩着実に前に進んでいる。新たな地域づくりやビジョンに取り組む動きが出始めている。人と人、地域と地域をつなぎ、広告の持つ情報発信力や人を動かす力が求められている。大会テーマに沿って、広告の役割や経済活性化策について幅広く話し合いたい」と語った。
続いて、藤﨑三郎助組織委大会会長(仙台広告協会会長、藤崎社長)が「被災地の現状を見て、何かを感じ取ってほしい。広告には復興の原動力になる力がある。故郷を新しく創造することが、犠牲者に対する真の供養になる。大会を通して思いを共有したい」とあいさつをした。
全広連の大平明理事長は「仙台での大会開催は意義深い。東日本大震災では、日本人の持つ人と人の絆の大切さを実感した。新しい価値の創造と地方創生に結び付く広告コミュニケーションの在り方について議論したい。全広連は、地域から日本を元気にする事業に取り組んでいく」と語り、来賓の村井嘉浩宮城県知事と仙台市の奥山美恵子市長が祝辞を述べた。
次に、第10回「全広連鈴木三郎助地域キャンペーン大賞」と同「全広連鈴木三郎助地域クリエイティブ大賞」の贈賞が行われた。
地域キャンペーン大賞は、「今できることプロジェクト」(河北新報社)が受賞。選考委員特別賞として、「被爆70年プロジェクト『THE 70th PEACE ACT HIROSHIMA』」(中国新聞社)が表彰された。
また、地域クリエイティブ大賞の最優秀賞は、テレビCM「あれから10 数年、村の人口は減っていた。」(岡山県新庄村)が獲得。優秀賞は、企業広告(ポスター)「三輪車/花火/グラス/桜/哺乳瓶/夏/菊」(お仏壇のコガ)が受賞した。
続いて、広告界の向上・発展に尽くした個人を年1回顕彰する第4回「全広連日本宣伝賞」を贈賞した。
広告主に贈られる「松下賞」は加賀見俊夫氏(オリエンタルランド代表取締役CEO)、媒体社を対象とした「正力賞」として堀威夫氏(ホリプロ ファウンダー最高顧問)、広告関連会社から選ぶ「吉田賞」には小林保彦氏(青山学院大名誉教授)、クリエーター対象の「山名賞」は原研哉氏(デザイナー、日本デザインセンター代表取締役社長)、「特別賞」として福井昌平氏(CI戦略プランナー、イベント学会理事)がそれぞれ受賞した。
各賞の概要は下記で閲覧できる。
http://www.ad-zenkoren.org/activity/kenshoukatsudou.html
式典後、東北大加齢医学研究所の川島隆太所長が、記念講演「創造性と脳の働き」を行った。認知症の早期診断や予防の現状、イマジネーションと言葉の関係の重要性、加齢による脳の機能低下、スマートフォンの使用と学習成果への影響などについて語った。
午前の最後に、神戸広告協会が次年度の大会開催地となる神戸市を紹介した。
午後の部は、野村総合研究所の増田寛也顧問の基調講演で再開した。
人口減少が始まった日本の現状を解説。前向きに捉えることを提言した。
特別シンポジウム「日本の未来を築く震災復興力」には、増田氏、日本総合研究所の藻谷浩介主席研究員、宮城学院女子大の宮原育子現代ビジネス学部長が登壇。コーディネーターは、河北新報社の一力雅彦社長が務めた。
冒頭、熊本広告協会の松永幹夫理事長(熊本日日新聞社常務)が登壇し、震災後の多方面からの支援に謝辞を述べるとともに、被災地の現状を報告した。
登壇者からは、災害からの復興や観光開発など活発な意見が出された。
一力氏は「復興の将来を展望して、縮小する社会との向き合いを議論できた。広告の力、情報発信力を発揮して、課題の先進地・東北が課題解決の先進地になれるよう取り組むことを誓う」と締めくくった。
河北新報社は大会前の5月15日から、仙台在住のフォトグラファーが宮城の魅力を伝える広告特集や女優の河北麻友子さんが見た・聞いた「東北」を紹介する特別紙面「河北麻友子新報」など開催を記念して多彩な特集を展開した。