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「人を動かす」デジタルテクロノジーへNo.4

ローカルメディアを通じて消費者と直接つながる強み 
コミュニティとの対話から新しい価値が生まれる

2013/10/10

前回はソーシャルメディア上のコミュニケーションとは、実はオフラインの出来事が元になっているということをお話ししました。今回は、そのオフラインでの出来事をどのようにオンラインで広げていくのか、ということを考えてみたいと思います。

TwitterやFacebookなどを日頃から使われている方は実感があるかと思いますが、フォロワーや友達からシェアされる投稿や写真は、彼らが実際に生活の中で遭遇した出来事や、感動したモノやコトを切り取ったものです。

ここが実は肝になる部分で、ソーシャルメディア上のコミュニケーションの主体は、まず「①そのモノやコトに触れた人」、次に「②その人がつながっているコミュニティ」となります。この①により投稿が発生し、②の段階で拡散が発生することにより、オフラインの事象がオンラインに広がっていきます。

言い換えると
①=経験(自分ゴト化)
②=共有(世の中ゴト化)
といえます。この2つを上手くつなげられるのが、ローカルメディアなのです。

 

事例:雨の日、いいこと。Happy Rainy J-WAVE

今年の梅雨に、ラジオ局J-WAVEが「雨の日をハッピーにする」というキャンペーンを行いました。これは、番組オンエア時にスタジオ周辺で雨が降り始めると、番組内では「雨の日を楽しくする」がテーマになり、パソコンやスマホで特設サイトにアクセスすると、協賛社や首都圏の店舗から当日限定のサービスを受けられるという内容でした。


詳細はこちらのニュースリリースもご覧ください。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2013/pdf/2013071-0603.pdf

 


ここで注目したいのは、ラジオというメディアでリアルタイムな情報を発信することで、多くのリスナーの「経験」を生み出し、経験のシェアを番組でフィードバック(リスナーによるツイートを実況する、など)することで、個々の「経験」を「世の中ゴト化」する仕組みが作れたということです。

 

イベント×サンプリング×ローカル放送局/地方新聞

最近このJ-WAVEの事例のようなコミュニケーション手法が注目を集めていますが、企業と消費者が直接ふれあう場合、地域によって「ウケ」るポイントが変わるということを考えなければいけません。全国を一貫するコミュニケーションプランとは別に、各地域で直接消費者と向かい合う場面では、その土地に合ったコミュニケーションを、その土地で人気のタレントさんやアナウンサーさんが行うと、そのイベントは盛り上がるでしょう。そのためにも、企業はローカル放送局や地方新聞とタッグを組む必要があります。

従来このようなイベントやサンプリングは「企業+それぞれの消費者」の経験で留まっていましたが、ソーシャルメディアが広がった昨今、企業と消費者の接点は個別の消費者の直接経験に留まらず、その経験の「共有」によって世の中ゴト化されていきます。このコミュニケーションを上手く設計することで、オフラインの出来事がオンラインに良い拡散を生んでいきます。

例えば、とあるローカル放送局主催のイベントでは、その放送局の有名アナウンサーさんがスポンサー企業のお菓子を子供たちに配る、という施策を行いました。この様子は、子供たちのママによって撮影・シェアされ、その笑顔たっぷりの様子がソーシャルメディア上で拡散していきました。

 

イベントに参加していない人にまでリーチできる

これまでのイベントは「消費者に何かを体験してもらうこと」、サンプリングは「消費者に商品を試してもらうために商品を配ること」が第一義でしたが、ソーシャルメディアと組み合わさることにより、イベントに参加していない人にも「楽しい!」「うれしい!」がリアルタイムに広がっていくようになりました。実際に体験した人×そのフォロワー・友達分のリーチが獲得できるようになっただけではなく、そこに笑顔や喜びが共にシェアされるようになったのです。

このように、日頃からコミュニティと接しているローカルメディアと組んでイベントを行うと、「消費者の経験」のコミュニケーション設計と、ユーザーが共有したことの「世の中ゴト化」までをシームレスにつなぐことができます。さらに、そこでシェアされる内容はこれまでの一方的な情報発信ではなく、信頼する友人やコミュニティからシェアされる「楽しい」「嬉しい」情報です。この新しい情報発信の価値はこれからも広がっていきそうです。

次回は、さらにそのコミュニティと深く会話することで生まれる、情報発信だけでない、プロダクト設計までのコミュニケーションについても考えてみようと思います。