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電通総研が聞く ここだけの話No.1

ダイアログ・イン・ザ・ダークの
新たなる挑戦!

2017/02/10

~ 2020年以降のレガシーに向けて ~

感じる、聴こえる、みえてくる。ダイアログ・イン・ザ・ダーク
 

真っ暗な中でのソーシャル・エンターテインメント、ダイアログ・イン・ザ・ダーク。数年前まで電通の新人研修でも採用していましたね。

1988年ドイツで生まれ、すでに39カ国800万人以上が体験しています。99年日本初開催。以来10年間、毎年の短期開催を経て2009年東京・外苑前で常設となり、日本でも19万人が訪れました。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク01
 

視覚偏重なこの社会の中で、その最も重要な視覚情報を遮った漆黒の暗闇の中では参加者は自由に動くことさえできません。そこで普段から目を使っていない視覚障がい者がアテンドします。お互いに目を使わない環境の中ではこれまでの「助ける←→助けられる」が逆転し、お互いに声を掛け協力し助け合うことで、チームワークが自然に生まれ豊かで対等なダイバーシティーに気付きます。

暗闇の中には森や都市など日常の生活を目を使わずに楽しめるようしつらわれ、真っ暗な中でのカフェもあり、参加者が小銭を手で確認しながらお金を支払い、ドリンクの香りや味を楽しみながら対話できるようになっています。こうした真っ暗な中のコンテンツは日本だけ季節によって変化します。

例えば、正月は暗闇で一年の抱負を語り合い、墨をすり、筆でしたためる書き初め。そしてクリスマスには誰かの幸せを願ってクリスマスカードを作ったりしながら、自分だけではなく社会がより良くなるきっかけを体験していきます。また、視覚以外の感覚に集中することで五感を研ぎ澄ませることもできます。

2013年からは積水ハウスとの共創プロジェクト「対話のある家」が大阪でオープンしました。

「対話のある家」積水ハウス
 

ここでは参加者は家族になって暗闇の中の家に「ただいま」と帰り、「お帰り」と迎えてくることから始まり、靴を脱ぎ家に上がります。そして例えば庭で遊んでいるうちに「おやつできたよ」と家から声がかかり、ちゃぶ台でお茶とお菓子を食べながら対話をします。こうした経験が本来の家や家族の意味を考える機会となります。

また、この暗闇では企業研修(ダイアログ・ビジネスワークショップ)も行われています。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク02
 

すでに500以上の先進的な企業が研修として導入されています。暗闇の中で多様性を受け入れ、これまでにないリーダーシップ、チームビルディング、コミュニケーションが体験しながら体で理解することができます。またダイバーシティーやインクルージョンなど企業にとって必要な経験も同時に理解が深まります。

また、目を使っていない視覚障がい者の優れた感性を用いての商品開発も進んでいます。例えば、今治のタオルメーカーとのコラボでは「手触り」「拭き心地」をアテンドが目を使わないでテイスティングしより質の高いタオルを開発。こうした視覚障がい者のプラスの財を有効活用した商品づくりの新しい可能性を開拓したとしてグッドデザイン賞を受賞しました。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク03
 

会津漆器職人とアテンドとのコラボにより出来上がった漆器「めぐる」は震災復興にとどまらない新たな伝統文化の再生につながっています。

そして、これまでオリンピック・パラリンピック開催国では大会公式のカルチャーイベントとしてオリンピックとパラリンピックをつなぐ懸け橋として実施されました。わが国でも東京2020大会に向け注目されています。

また、このプロジェクトに続き、ダイアログ・イン・サイレンスも今年から始動。今度は見えるけれど聞こえない空間で言語を超えた対話を楽しめます。このアテンドは聴覚障がい者が担当します。

もうひとつ、70歳以上の高齢者がアテンドをして時間や命との対話をしながら世代間のコミュニケーションを促進するダイアログ・ウィズ・タイムを含めてただ今、複数のダイバーシティー・インクルージョン体験ができる「ダイアログミュージアム」を準備中です。ご関心のある方は問い合わせフォームでご連絡ください。