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A案という名の大罪

その企画、もっと面白くできますよ。 №1

  • 中尾 孝年

2017/09/19

A案という名の大罪

電通CDCの中尾孝年と申します。6回にわたり僕の著書『その企画、もっと面白くできますよ。』のコラムを連載することになりました。

文字数に限りがある中ではありますが、本に書いた事をなるべくたくさんご紹介できるように頑張ります。えっ?ちょっと待てよ…でも…本当に全部紹介しちゃったら…誰も本を買ってくれなくなるじゃないですか! それはマズイ。というわけで、ほどほどに紹介していきたいと思います(笑)。

ABC型提案からCCC型提案へ

新人だった頃、年配のクリエーティブディレクター(CD)とか営業部長とかによくこんなことを言われました。

「俺はお得意さまのストライクゾーンが見えている。だからおまえみたいに好き勝手な提案はせず、ちゃんとど真ん中に投げ込んで何年も扱いを守ってきたんだ!」

それは大間違い。「ど真ん中の案=無難で面白くない案」を提案する人よりも、「面白い」を提案、実現できる人の方がクライアントのストライクゾーンがはっきりと見えています。

ど真ん中にしか投げられない人はストライクゾーンがぼんやりとしか見えていない。だから、ど真ん中に投げるしかない。「面白い」を提案、実現できる人はストライクゾーンがハッキリ見えている。だから、ゾーンギリギリの「最高の面白い」を提案して実現させることができるんです。

画像:123RF
 

そして、このど真ん中にしか投げられない人たちが行うのが、ABC型の提案です。

ABC型提案とは、ど真ん中の案=俗に言うA案を基準にしてA→B→Cとずらしていくグラデーション提案のこと。これは同じ趣向性の中でのグラデーションなので方向性としては1案プレゼンと同じ=実は狭い範囲しかカバーしてない提案なんです。そして、A案はつまらなく見え、C案は無茶に見え、無難な日本人は真ん中のB案を選んでしまいます。

CCC型提案とは、超面白い案=俗に言うC案を複数提案すること。各案の守備範囲は狭いかもしれませんが、それぞれの面白さの趣向性が全く違うので方向性としては正真正銘の3案=実は守備範囲が広い提案になります。

あなたも、CCC型の提案で「面白い」企画を実現させましょう!

「面白い=企画力」という勘違い

講演とかすると「どうすれば『面白い』企画が思い付くんですか?」ってよく聞かれます。で、気付きました。すごく多くの人が「面白い」=企画力だと勘違いしていることに。えっ?と思うかもしれませんが、話題になる広告を世に送り出すためには企画力だけでは不十分。それに加えて、案を通す力・環境を良くする力=実現力が必須です。

有名CDやスタークリエーターの下で仕事をしている東京の若い子にありがちなのが、企画力ばかりがどんどん育って他の二つの力があまり育たないケース。

なぜなら、スターに案を通すのは超大変。毎回、死に物狂いで「面白い」を考えるから企画力はどんどん成長します。その代わりに、社内の営業やクライアントにはスターがスター力で案を通してくれるので、案を通す力と環境を良くする力がなかなか育ちにくいのです。

ところが僕のスタートは中部支社。お世話になった優しい先輩や面倒見の良い素晴らしい上司には恵まれたのですが、残念ながら当時の中部には全国で名前がとどろいているようなスーパースターはいなかったので、若いうちから案を通す力・環境を良くする力の二つの能力が非常に高くなったんです。

スターの後ろ盾なしに社内で自分がイニシアチブを握るためや、クライアント  に「面白い」企画を通すために、あの手この手で工夫しまくったからです。

じゃあ、案を通す力や環境を良くする力の正体って何なのか?
実はその一つが、「面白い」を感覚で説明しない=論理的に説明する力。何かに例えたり、何かと比較したり、さまざまな方法を駆使します。感覚ではなく論理として理解できれば相手の不安はなくなり、上司にも説明がしやすくなり、その「面白い」案は通ります。

でも、実は案を通す力や環境を良くする力って他にもいろいろあって、ものすごく複雑な合わせ技なのでここでは紹介しきれません。詳しくは著書をご覧ください(笑)。

広告の三大要素

あっ、広告の三大要素とは、僕が勝手に名付けました。広告には「企画アイデア」「クオリティー」「出稿量」という三大要素があって 「企画アイデア」と「クオリティー」で決まるのが クリエイティビティー 。

「クオリティー」と「出稿量」で決まるのがメジャー感です。

ここで気を付けてほしいのが、一流のスタッフが集結しそこそこ予算がある東京のCMはクオリティーと出稿量が担保されるケースも。その結果、企画アイデアがそうなくてもメジャー感は十分にあるCMに仕上がってしまうこともあります。僕はそういう広告を0クリエーティブ、100メジャーの広告と呼んでいます。

0クリエーティブの広告は、視聴者の心を魅了できないので大量に出稿して刷り込む必要があります。クオリティーは高いから、企画した本人は「一流の仕事をした」と勘違いしちゃって、またもや0クリエーティブな広告をつくってしまう。まさに負のスパイラル! 0クリエーティブはダメ絶対!

あくまで、僕の私見ですが、はい、今回はここまでです。

次回は前代未聞のボロ負け案を大公開しますよ!