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日本最大級のアワード・ACC賞、2017年の入賞作品を発表

2017/09/28

    全日本シーエム放送連盟(ACC)は9月26日に「2017 57th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」の全部門入賞作品を発表した。

    今年から名称を改めた同アワードは、前身の広告賞「ACC CM FESTIVAL」から数えて57回目の開催。日本のクリエーティブ業界最大級のアワードとして認知されており、今年の応募総数は全6部門合計2641本となった。

    従来の「フィルム(テレビCMのAカテゴリー、オンラインフィルムのBカテゴリー)」「ラジオCM」「マーケティング・エフェクティブネス」「インタラクティブ」の4部門に加え、今年からは既報の通り「メディアクリエイティブ」と「クリエイティブイノベーション」の2部門が新設され、対象をあらゆる領域のクリエーティブへと拡大。それぞれの部門から6点の「総務大臣賞/ACCグランプリ」と各賞を選出した。

    各部門の総務大臣賞/ACCグランプリ受賞作品と、審査委員長による講評は次の通り。


    フィルム部門 Aカテゴリー(テレビCM)

    広告主:住友生命保険
    商品名:1UP
    題名:「海外、向こうで1UP 入国審査官の証言」編/「リフレッシュで1UP 常連の男の証言」編/「試験で1UP 本人の証言」編/「メモで1UP リーダーの証言」編/「定食で1UP 店主の証言」編
    広告会社:TUGBOAT/博報堂
    制作会社:東北新社

    1UP

    フィルム部門 Bカテゴリー(オンラインフィルム)

    広告主:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
    商品名:GRAVITY DAZE 2
    題名:GRAVITY CAT
    広告会社:博報堂
    制作会社:東北新社

    GRAVITY CAT

    講評:フィルム部門審査委員長 電通・澤本嘉光氏
     

    広告業界以外の多様なジャンルから参加いただいた審査委員により、審査会自体が刺激的な勉強の場となった。映画・テレビ界を代表する審査委員からは、時間的な制約があるAカテゴリーに感心するものが多いと指摘された。今までにない意見交換から選ばれた受賞作と制作者は胸を張ってほしい。そして、地方からの出品で上位を争う力作が多かったのも大きな特徴だ。

    フィルム部門審査委員長 電通・澤本嘉光氏

    ラジオCM部門

    広告主:大日本除虫菊
    商品名:おでかけカトリス・蚊がいなくなるスプレー・プレシャワー・虫よけキンチョール・キンチョール
    題名:金鳥少年2017その1/金鳥少年2017その2/金鳥少年2017その3/金鳥少年2017その4/金鳥少年2017その5
    広告会社:電通 関西支社
    制作会社:ヒッツコーポレーション

    金鳥少年2017

    講評:ラジオCM部門審査委員長 博報堂ケトル・嶋浩一郎氏 

    ラジオを聴く人にリアルに響く広告であることが大事なので、広告制作者ではないラジオ番組制作者やパーソナリティーにも審査員として参加いただいた。掛け合いの間や音のつくり込みに対するリスナーの反応などにリアリティーのある指摘が多く刺激的だった。グランプリは昨年の受賞作でもあるが、複数年にわたるストーリーで、絶妙な掛け合いやコピーも高く評価された。


    マーケティング・エフェクティブネス部門

    広告主:九州全県・山口県・沖縄県
    商品名:ワーク・ライフ・バランス推進
    題名:九州・山口 ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーン
    広告会社:西広
    制作会社:ティーアンドイー

    ワーク・ライフ・バランス推進

    講評:マーケティング・エフェクティブネス部門審査委員長 KDDI・矢野絹子氏

    マーケティング・エフェクティブネス部門審査委員長 KDDI・矢野絹子氏

    マーケティング戦略×クリエーティビティーでいかに成果につなげたかを評価するのがME部門。何度も投票を繰り返すほど難易度の高い審査になった。今年のキーワードは「社会的課題の解決」と「圧倒的リザルト」。グランプリのキャンペーンは、ワークライフバランスという国家的課題に対して、県知事自らが地域の枠を超え、公報ではなく「広告」という手法でアプローチした点が斬新。国内外に広く影響を与えたことが高評価につながった。


    インタラクティブ部門

    広告主:東京都/東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
    作品名:リオ2016オリンピック大会閉会式東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー
    広告会社:電通
    制作会社:FHO制作チーム

    リオ2016オリンピック大会閉会式東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー
    講評:インタラクティブ部門審査委員長 博報堂・須田和博氏

    今年は「ソレって広告なの?」→「コレこそ広告でしょ!(21世紀のね)」をテーマに掲げた。デジタルシフトにより、他の全ての産業と同様に広告産業も明らかに過去とは違うものになりつつある。しかし、今年の審査で再確認したのは「映像的なモノの圧倒的な強さ」。グランプリやゴールドの受賞作も、視聴や受容のされ方は従来のCMと全く違うが、映像的なモノの圧倒的な強さがあった。

    インタラクティブ部門審査委員長 博報堂・須田和博氏

    メディアクリエイティブ部門

    ※ACCグランプリ該当なし

    講評:メディアクリエイティブ部門審査委員長 放送作家/脚本家・小山薫堂氏

    苦しんでいる分、他ジャンルより工夫を重ねている印象があった新聞や、新しい何かを模索するため他メディアと手を組んでいたテレビなど、メディアごとに特徴が見られた。新設ジャンルへの期待が高すぎたためグランプリは出なかったが、ゴールドの「歩くーぽん」は、放送局が中心となって運動不足という課題解決に取り組み、テレビCMで地域に呼び掛け、スマホアプリで店舗に集客するというアイデアがとてもよかった。

    メディアクリエイティブ部門審査委員長 放送作家/脚本家・小山薫堂氏

    クリエイティブイノベーション部門

    カテゴリー:プロダクト&サービス
    タイトル:COGY/あきらめない人の車いす
    応募団体:TESS/東北大学/M2デザイン/TBWA\HAKUHODO

    COGY/あきらめない人の車いす

    講評:クリエイティブイノベーション部門審査委員長 東京大学/ソニーコンピュータサイエンス研究所・暦本純一氏

    新設された部門ということで、今回の受賞作が今後のこの部門を形づくると言っていい。イノベーティブであり、現実の課題を解決しているものはもちろん、未来をつくる可能性のある研究段階のものも認めようという方針で募集した。それぞれの技術や作品、商品にはとても魅力があり、一つ一つが独立の賞というような、優劣を付けがたい審査になった。

    クリエイティブイノベーション部門審査委員長 東京大学/ソニーコンピュータサイエンス研究所・暦本純一氏

    入賞作品および作品リストは、ACCウェブサイト内で閲覧できる。