「超福祉展」で、協賛の毎日新聞社が「人の図書館」と「点字毎日」を展示
2017/11/15
毎日新聞社は11月7~13日、展示会「超福祉展」に参加し、対話イベント「HUMAN LIBRARY」と、同社の発行する点字新聞「点字毎日」に関する展示を東京の渋谷キャストで実施した。
超福祉展は正式名称を「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」といい、毎年渋谷ヒカリエをメイン会場として開催される展示会。障がい者をはじめとするマイノリティーや福祉そのものに対する「心のバリアー」を取り除くため、さまざまなアイデアやテクノロジーを紹介するもので、2014年からピープルデザイン研究所の主催で行われている。今年はヒカリエだけでなく渋谷区内各所にサテライト会場を設け、1週間にわたってさまざまな催しが実行された。
国内唯一の点字新聞「点字毎日」を95年に渡って発行するなど、バリアーゼロ社会の実現に向けて活動してきた毎日新聞社は、人々が助け合いながら生きる共生社会の実現を目指す「ともに 2020」キャンペーンを展開しており、今回は同キャンペーンの一環として、また点字毎日事業の95周年を記念しての出展となった。
超福祉展サテライト会場の一つである渋谷キャスト1階の多目的スペースの壁一面には、点字毎日の記事がインスタレーションとして展示された。
そして同会場で行われた参加型イベントが、人の図書館「HUMAN LIBRARY」。2000年にデンマークの音楽フェスで行われたのが始まりで、本(障がい者やマイノリティー)と、読者(参加者)が少人数で対話することで、相互理解を目指すという試みだ。
今回は1週間の会期で総勢90人を超える「本」役が参加し、「読者」となる来場者たちとじっくりと対話を楽しんだ。点字毎日の発行を通じて視覚障がい者と関係の深い毎日新聞社は、視覚障がい者7人を「本」役として人選している。
このイベントに企画段階から携わってきた毎日新聞社の笹本明日香さんは、イベントの意義として「新聞をつくる上で一番大事なのが“対話”。その対話をテーマにしたイベントとして実施した。社会で顔を合わせての対話が減っている今だからこそ、この取り組みが必要だと感じた」と語る。
また、今回「本」役になっているのは有名人ではなく一般の方が多いことにも触れ、「障がいや難病を抱えている方もいれば、認知症の家族の介護の様子を語られる方もいる。一般の方の声を一般の方が聞く機会は多くないし、こうしたイベントから生まれた声をすくい上げながら紙面づくりに生かしていきたい」と述べた。
実際に「本」役として、3人の「読者」と視覚障がい者の読書事情について語り合った田中徹二さんは、HUMAN LIBRARYについて「講演などでは不特定多数を相手に話すし、質疑応答でも何も質問がないから私の話が伝わっているかどうか分からない(笑)。こうして少人数で全然知らない人同士話し合うのは、やりとりができるから質問に的確に答えられるし、大変面白い試みだと思う」と感想を述べた。