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次のミッションは月探査 

100億円の資金調達も発表

2017/12/14

    月面資源開発ビジネスの実現に取り組む宇宙ベンチャー企業のispace(アイスペース)は12月14日、東京の商業施設GINZA SIX内の観世能楽堂で、「ispace Next Mission」発表会を開催した。

    ispaceは、人類初の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に挑戦する唯一の日本チーム「HAKUTO」を運営していることで知られ、「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ」をビジョンに掲げて、月資源開発の事業化を目指している。
    会では、今後の計画と大型資金調達について発表した。

    左からispaceのモハメド・ラガブ氏、中村貴裕COO、
    袴田氏、吉田和哉CTO   

    袴田武史ファウンダー兼CEOは、HAKUTOプロジェクトが最終段階を迎えていることや、近年、グローバルで宇宙産業への関心が急激に高まっている現状に触れ、次のステップとして「月周回」と「月面探査」の二つのミッションを始動させると明かした。
    同社は、民間では日本初となる独自開発の月着陸船を打ち上げ、ミッション1では2019年末をめどに月周回軌道に投入、ミッション2として20年末ごろに月面に軟着陸し、ローバー(探査車)で水など資源探査を行うとする。
    21年以降は宇宙関連企業に向けて、調査機器などを輸送するサービスを事業化する意向で、探査機にパートナー企業のロゴを表示するなどして、企業のマーケティングに生かせるサービスや、月のさまざまなデータをビジネス化する考えも示した。
    ispace 2040 ビジョンムービー:https://youtu.be/wwBZwxdMrDs

    ランダーコンセプトモデル
    ランダー(輸送機)コンセプトモデル

    同社は12月13日、これらの計画に必要な資金を調達するため、11社(産業革新機構〈INCJ〉、日本政策投資銀行〈DBJ〉、東京放送ホールディングス〈TBS〉、コニカミノルタ、清水建設、スズキ、電通、リアルテックファンド、KDDI、日本航空、凸版印刷)の新規株主を引き受け先とする第三者割当増資を完了した。資金調達総額は、今後のスパークス・グループによる追加投資を合わせて約100億円に上る。
    今回の資金調達は、シリーズA(スタートアップ企業における製品の企画・開発や、それに伴う技術開発段階での投資ラウンド)としては国内過去最高額で、宇宙分野のシリーズAとしても世界最高額になる。

    左から仲尾氏、穴山氏、土田氏

    舞台に上がったINCJの土田誠行専務取締役、DBJの穴山眞常務執行役員、TBSの仲尾雅至社長室担当役員は、投資の経緯や月探査の意義、自社のビジネスモデルなどに言及しながら、ミッションの成功を祈念した。
    袴田氏は「今回投資いただいた機関投資家や事業会社の知識とネットワークを活用し、月面の水資源開発を先導し、宇宙で経済が回る世界の実現を目指したい」と語った。
    ispace公式サイト:https://ispace-inc.com/jpn/