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2017年テレビ業界を振り返る No.2

ネット配信に大型企画が続々登場

2018/01/25

ネット配信のキーワードは「オリジナル」「スケール感」

2017年の半ば、筆者がとある講演用に配信サービスのランキングの推移を眺めていたら、以前はほとんど過去にテレビで放送された作品や海外ドラマで構成されていた配信サービスが、徐々に「オリジナル作品」が目立つように変化していました。Amazonプライム・ビデオなどはその典型ですが、「単にオリジナル」というだけでなく、目に見えて「お金がかかっていそう」と思えるスケールの拡大も作品タイプの変化として指摘できそうです。

有料・無料を問わずVODタイプのサービスでは、比較的長い期間で視聴数を獲得する傾向があります。数百、数万、時に億の単位で視聴数を得ることもありますが、AbemaTVの「ライブ配信」の形式における千万単位の視聴数は新しい可能性を示しています。1周年企画の「亀田興毅に勝ったら1000万」、11月の「稲垣・草彅・香取 3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」は千万単位の視聴数を配信時間内に集めたことが報じられています。

制作頻度や視聴者を集める時間軸の使い方など、放送と配信ではまだまだ違うことも多くありますが、出演者のメジャー感や予算規模の垣根はだいぶ変わってきているようです。有料と無料か、オンデマンド型とライブ配信型、放送と配信の相互に乗り入れる状態が、またひとつ進んだ一年だったのではないでしょうか。

デジタル時代のローカル局のブランディング

テレビ局の「配信」への向き合いは、スマホシフトが進むメディア環境変化を踏まえると避けて通れるものではなさそうです。ただ、有料配信サービスと広告でのサービスの“体重のかけ方”は局によって異なります。活発に議論されている「IP同時配信」(放送と同一内容のネット配信)のことも考慮すると、ローカル局では系列の影響や自社の体力などの事情があり、配信に進むにも、配信と距離を置くにも、多くの課題があると思われます。

しかし、関西局がTVerに参加したり、中京テレビが16年に独自にネット動画配信サービス「Chuun」を開始したりで、領域への挑戦が続いているところです。

配信とは異なりますが、大分朝日放送は、地上波民放で最初に4K一貫制作システムを整備したことで知られ、4Kコンテンツを最も多く所有する局という位置づけにあります。ローカル局のブランディングとして、ひとつの切り口を示しているのではないでしょうか。


この記事は2017年12月に発刊されたビデオリサーチのVR Digestを基に編集したものです。