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デジタルは人を幸せにできるのか?

人に寄り添える「People Driven Marketing」のすすめ №1

  • 鈴木 禎久

2018/02/14

デジタルは人を幸せにできるのか?

電通と電通デジタルは、電通グループの持つあらゆるマーケティング手法を「人基点」で結集・高度化した統合フレームワーク「People Driven Marketing」(ピープルドリブンマーケティング、以下PDM)を開発しました。

PDMロゴ

People Driven Marketingとは

人の意識や行動に着目し、最先端テクノロジーでさまざまなデータを連携することで実現する、次世代のマーケティング。以下のようなコミュニケーションを実現することを目的としている。

・本当に必要な人に、
・必要なタイミングや必要な場所で、
・その人に合ったコンテンツを届け、
・その人の反応を受けてさらに最適化してゆく

これからの時代において、なぜPDMが必要なのでしょうか。

「人基点のマーケティングって、今までもそうだったじゃないの?」
「これまでのデジタルマーケティングと何が違うの?」

こんな疑問に答えます。


<目次>
花子さんに届く登山道具10%オフのメール
データが「つながる」ことでより鮮明に人が見えてくる
「気が利く」「かゆいところに手が届く」人基点のマーケティングへ
七つのフェーズを電通グループのプロフェッショナルたちが分かりやすく解説

花子さんに届く登山道具10%オフのメール

花子さんに届く登山道具10%オフのメール
イラスト:金井 沙樹

30歳の花子さんには生まれて間もない3カ月の赤ちゃんがいます。

以前花子さんが会員登録したアウトドア用品専門ショップから、今日もメールが届きました。

「週末にフェア開催中! 登山道具10%オフ」

お店側から見れば、会員登録してくれた人は皆「登山に関心のある有望層」です。だから、メールを毎週出し続ければ、ある程度の確率で来店してくれるだろうと計算しています。

でも赤ちゃんが生まれたばかりの花子さんは、当面登山に行く予定もありませんし、ましてや登山道具を買う気もありません―。
 


いかがでしょうか。もちろん、こうした「数打てば当たる」的な手法でも来店してくれる人はいるでしょうが、他の多くの人には花子さんのように「今ここでその情報が来てもね…」という気持ちを抱かせてしまうかもしれません。

マーケティングのあるべき姿を「顧客が本当に求める商品やサービスを創造し、その情報を適切に届け、顧客の満足度を最大化すること」と定義するならば、このショップのような情報発信は良いマーケティングとはいえません。

本来、よりきめ細かなアプローチができるはずのデジタルが、実際には“送り手都合”だけの情報発信を行ってしまっているのです。これでは、デジタルが人を幸せにしているとはとてもいえないのではないでしょうか?

データが「つながる」ことでより鮮明に人が見えてくる

従来のように断片的なユーザーデータを取得するだけでは、生きたユーザー像を正確に捉えることが難しく、花子さんのケースのように「以前は欲しかったかもしれない情報だけど、今は要らない」ということも多く発生してしまいました。

「どんな情報を、いつ、誰に、どんな形で送るべきなのか」を推察し、人の気持ちをおもんぱかってマーケティングしていくことこそが、デジタルを活用する本来の意味だと私たちは考えます。

スマートフォンの普及や、SNS、ECサイト、動画配信といったサービスの隆盛と技術の進化を背景に、今やより多くのユーザーデータ(特に購買データやネットの利用データなどの行動データ)が取得され、つながり合うようになってきています(※1)。

さらにこれからは位置情報、電子マネーでの決済情報、直近の検索内容、そして顔の表情情報までがデータとして取得できるようになっていくと予想されています。人の「実像」を、これまでよりもはるかに解像度高く描ける条件が整ってきたのです。

ただデータを多く集めればよいわけではなく、さまざまなデータをつなぎ合わせ、想像力を働かせることも重要です。「かつて会員登録したが最近登山に行っていない人」が「最近は赤ちゃん用品をネットで検索している」といった複数の異なる角度のデータをつなげば、「今この人に登山道具10%オフの情報は必要ない」と想像できるはずです。

豊富なデータと、その先にある生きたユーザー像を仮定する想像力。これらに加えて、コミュニケーション実施後もたゆみない検証でユーザー像の解像度を上げていくこと。それが人を本当に理解したマーケティング、People Driven Marketingの本質です。

※1 言うまでもなく、データ取得にはそれぞれユーザーのパーミッション=許可や匿名化・統計化処理が必要です。

「気が利く」「かゆいところに手が届く」人基点のマーケティングへ

前節で述べたように、PDMとはいわば一人一人に合わせたインタラクティブなデジタルマーケティングの実現です。受け手からすると、「気が利く」「かゆいところに手が届く」と感じるようなマーケティングといえるでしょう。

また、PDMでは製品やサービスを売って終わるのではなく、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を最大化することを目指します。常に受け手の気持ちに寄り添ってコミュニケーションを設計し、そのためのマーケティングシステムを構築することで、一時的な売り手買い手の関係ではない末永い関係を築けるようになるでしょう。

最近は自社のプライベートDMP(Data Management Platform)で顧客のデータを管理し、マーケティングに活用している企業も多いと思います。例えばそこに電通グループの提供するパブリックDMPである「People Driven DMP」(※2)のデータを掛け合わせることで、より立体的な顧客像を想定できるようになります。

※2 People Driven DMPは、多様な業種のパートナー企業との提携によって実現した次世代のプラットフォームです。
 

冒頭の花子さんに対して、PDMならどんなアプローチができるでしょうか?

“受け手都合”で今すぐ登山道具10%オフの情報を送りつけるのではなく、少し待ってから、「赤ちゃんに山好きな子どもに育ってもらうための育児関連情報」を送る。あるいは数年後に「子どもと一緒に楽しめるようなファミリー向けキャンプ道具」を提案することが喜ばれるのかもしれません。これならショップにとっても、花子さんにとっても幸せな関係が長続きしていきます。

ただし、受け手がストーカー的に感じるような空気を読まない情報発信では、人の気持ちを理解しているとはいえません。本当に「気が利く」「かゆいところに手が届く」コミュニケーションを実現するためには、ユーザーデータだけでなく「得られたデータを分析し、適切なコミュニケーションを設計するノウハウ」も不可欠になるでしょう。

PDMでは、取得したデータに対し、電通グループが長年積み重ねてきた調査研究結果やコミュニケーションノウハウを加味し分析・プランニングしていくことで、より精度の高いターゲット設定や目標達成ができるようになります。

もう一つ重要なのが、マーケティングに関わる全てのセクションが一斉に同じ目標(=人)に向かって連動すること。PDMでは、従来は独立して活動しがちだった各フェーズを「人基点」で統合し、より一貫したマーケティングを実現します。

PDMの実現に必要なもの

最後に、冒頭の疑問にお答えする形で、PDMについてまとめます。

Q.
「人基点のマーケティングって、今までもそうだったじゃないの?」 
「いままでのデジタルマーケティングと何が違うの?」

A.
PDMでは従来の電通のコミュニケーションノウハウに加えて「パートナー企業を含めた豊富なコンタクトポイントから得られる多角的なユーザーデータ」「デジタルテクノロジー」を駆使することで、これまでは技術的・環境的に難しかった一人一人のユーザーに最適化されたコミュニケーションを行うことを明確な目的としています。

ユーザーが欲しいと思ったタイミングで、そのユーザーに響くクリエーティブで、情報を届けられるのです。

これが、従来のデジタルマーケティングとの違いです。

七つのフェーズを電通グループのプロフェッショナルたちが分かりやすく解説

PDMのランニングプロセスは以下の七つのフェーズで構成されます。

PDMのランニングプロセス

・Objective:目標と課題設定。人で課題を捉え直す
・Deep Dive:人への洞察力。行動データを駆使して人に迫る
・Person:意識や行動の変化の可能性が高い人できめ細かくセグメントする
・Journey:セグメントごとのブランドとの接点を解き明かしチャンスポイントを発見する
・Media & Promotion Design:予算内で最大効果を発揮するプラン設計
・Creative & Activation:セグメントごとの意識と行動を変えるアイデア、コンテンツ
・Execution & PDCA:打ち手の効果を把握し、次の課題を発見する

個々の概念はこれまでもありましたが、統合して考え、結果を出し、実践知を蓄積していくところが従来とは異なります。必ずしもこの図の全てのフェーズを使うわけではなく、必要に応じて既存のマーケティングに組み込んでいける仕組みになっています。

次回からは、この七つのフェーズについて電通グループのプロフェッショナルたちが解説していきます。

デジタルは人を幸せにできます。ぜひご期待ください。

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