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イマドキの小学生「デジタルキッズ」の実態

インサイトメモ №62

  • 長尾 嘉英

2018/02/21

イマドキの小学生「デジタルキッズ」の実態

 

Wi-Fiのある場所に連れていって!

電通メディアイノベーションラボでは、激変するメディア環境と受け手側であるオーディエンスの変化について継続的に調査研究を行っています。その研究ターゲットは多岐にわたりますが、中でも「若年層」は、日本人の情報行動の未来を左右する最重要ターゲットのひとつであり、2010年以降、東京大学大学院情報学環の橋元良明教授と共同で「ネオ・デジタルネイティブ」「ポスト・デジタルネイティブ」などのネーミングの下、他に先駆けた研究も行ってきました。

私たちは、このような若者研究の流れをくむ新プロジェクトとして、「小学生とメディア調査」(通称:デジタルキッズ調査)を17年11月から12月に実施しました。そこから見えてきたのは、例えば、朝一番にテレビ受像機でYouTubeを見る、あるいは、外出中に「Wi-Fiのある場所に行きたい!」と言う子どもたちの姿でした。いったい、イマドキの小学生を取り巻くメディア環境はどうなっているのでしょう。今回は当調査の結果から、いくつかのファインディングスを抽出してご紹介します。

 

「お母さんに聞いてもらう」調査方法

調査方法からご説明しますが、研究チームでは、そもそも「調査に答える」といったことには不慣れな(というかほとんど経験がないであろう)小学生たちへ、どのように調査をしたらよいか頭を悩ませた末、小学生(1~6年生)の子どもを持つ全国の「母親」へネット経由で調査することにしました。子どもに直接聞かないと分からないことは母親がたずねて回答を代理記入する形です。ちなみに、小学生が2人以上いる場合には、長子について答えてもらうルールとしました。

こうしてデータを回収した「定量調査」に加え、「定性調査」(グループインタビュー調査、以下グルイン)も実施しましたが、こちらもデジタルデバイスをよく使う小学生の子を持つお母さま方にグルイン会場へお集まりいただき、普段の子どもの様子について親が代弁する形式で行いました。

 

結果に移りますが、以下、自宅でパソコン・スマホ・タブレットの全てを利用している子を「超デジタルキッズ」、パソコン・スマホ・タブレットのうちいずれかを利用している子を「デジタルキッズ」と呼ぶことにします(利用するデバイスが自分専用か家族共用かは問わず)。

また、自宅でパソコン・スマホ・タブレットのいずれも利用していない子は「非デジタルキッズ」とします(自宅外、例えば学校などでいずれかのデバイスに触れている可能性はあります)。

 

デジタルは小学生の生活へも浸透

まず、小学1~6年生全体におけるデジタルキッズ出現率(=含有率)は72.5%でした(図1)。今や、自宅でパソコン・スマホ・タブレットの何らかを利用している小学生は7割を超えるということです(何も利用していない、非デジタルキッズは27.5%)。

(図1)デジタルキッズ・非デジタルキッズの割合

 

一方、3デバイスを全て利用する超デジタルキッズは12.5%で、小6女子では約2割となりました(図1)。そして、学年が上がるにつれデジタル度は右肩上がりで上昇しており、今や小学生へもデジタルの波は着実に浸透してきていることが分かります。

パソコン・スマホ・タブレットの個別の利用率や重複利用率に関しては、図2で確認できます。例えば、スマホの利用者は40.2%で、スマホとタブレットの重複利用率は18.0%であることなどが分かります。なお、パソコンの利用率についてですが、これは自分専用(子ども専用)機でなく、家族共用機の利用が圧倒的に多かったという点にはご留意ください。

(図2)デバイス別利用率および重複利用率

 

デジタル漬けの一日を過ごす小学生

では、子どもたちは生活の中で、それぞれのデバイスとどのように向き合っているのでしょう。

今回の調査によると、平日の超デジタルキッズは、その6.4%が起床直後からタブレットに触れており、5.6%は起床直後からスマホを使用していました(図3)。夕食後のタブレット利用に至っては36.5%にも及んでおり、また、約2割の子は寝る直前までスマホ・タブレットに触れています。外出時には、3割が「Wi-Fiのある場所に行きたがる」ということでした。

(図3)時間帯別メディア接触率(超デジタルキッズ、平日)

グルインでの話ですが、朝起きたら朝食よりも前にテレビ受像機でYouTubeを見るという子がいました。その後もスマホやタブレットを併用して、夕食後~就寝時に至るまで1日がYouTubeで始まりYouTubeで終わるというケースも見られました。ちなみに、YouTubeでどんな動画を見ているのかというと、男の子では「ユーチューバー系」や「ゲームの実況・攻略法系」など。女の子の場合には同じく「ユーチューバー系」や「スクイーズの作り方」などが多いことが分かっています。


特に女子においてはスマホによる“チャット”も活発で、下記のような生の声からは、学校の友達とのやりとりの様子が伝わってきます。

「帰ってくると皆でLINE。多いのは、学校の明日の持ち物の確認と、何を着てゆくか。一緒にデニムを着ようとか、上は白で、とか相談している」(小5女子)

「自分の部屋や洋服のコーディネートを撮影して、友達と送りあっている」(小5女子)

非常に先進的なメディア行動を示す子たちもいます。機器の使い方にとても長けていて、ネット動画をテレビ受像機の大きな画面で楽しむために「ゲーム機を経由してテレビをネットへつないでいる」「スマホ・タブレットなどからワイヤレスで動画をテレビへ転送している」など、非常に高いリテラシーを示す例もありました。

なお、デジタルキッズの親たちは、子どもを世の中の危険や生活の乱れから守るべく、不適切サイトへのアクセスを制限したり、デバイスを利用できる時間帯を取り決めるなどの方策を取っていることも本調査で分かっています。

 

イマドキ小学生のテレビとの関係は?

小学生のデジタルリテラシーの高さを紹介してきましたが、ここで伝統的メディア「テレビ」との関わりについて触れたいと思います。

再び図3を見ていただくと、デジタルデバイスを多用する超デジタルキッズにおいても、学校を除く1日のほとんどの時間帯で最も接触率の高いメディアはテレビであることが分かります。デジタルを駆使する最先端の子でさえ、テレビがリーチ力ナンバーワンのメディアとなっている、といえます。

 

また、四つのデジタル機器、テレビ・パソコン・スマホ・タブレットについて、それぞれ「なくてはならないもの」と感じているかを聞いた質問では、テレビの「なくてはならない度」が他を圧倒しました。

「テレビを見る場所は?」という質問(複数選択可)では、超デジタルキッズから非デジタルキッズまでおしなべて約98%が「リビングで見る」と答えており、親子みんなでテレビを囲むという伝統的な“お茶の間”の風景は今でも健在のようでした(ただし超デジタルキッズでは約1割が「自室で見る」と回答)。

イマドキの小学生の実態をご紹介してきましたが、最後に一つだけ付け加えておきたいことがあります。それは、デジタルライフの浸透した小学生ですが、彼らは同時に大変「リア充」な側面も持つということです。

例えば、彼らの間で流行していることをグルインで聞いてみたところ、男子では「野球」「サッカー」「けん玉」など、女子では「スクイーズ作り」や「ダンス(ヒップホップ、ふたごダンス…)」などが挙げられました。したがって、イマドキの小学生を“バーチャルオンリー”あるいは“ネットオタク”といったイメージで捉えると、実態を見誤るという点には注意が必要でしょう。

 

〔調査概要〕

●定量調査(2017年11月)

地区:全国

方法:インターネット調査、小学1~6年生の子どもを持つ母親へ調査

サンプル数:5728人(デジタルキッズ3682人、非デジタルキッズ2046人)

●定性調査(2017年12月)

地区:一都三県

方法:グループインタビュー調査、小学4~6年生の子どもを持つ母親を招集

サンプル数:12人(男子小学生の母6人、女子小学生の母6人)