電通Bチームの人気メソッド「10ジャンル同時ブレスト」
2018/03/28
今回から、電通Bチームが独自につくったクリエーティブプロセスを紹介していきます。一つ目は「10ジャンル同時ブレスト」。Bチームでも一、二を争うくらいに「売れている」方法です。
今回は、お悩みを相談いただいた読者1名様(または1団体様)に、この10ジャンル同時ブレストを無料でご体験いただきます。募集概要は記事の最後に(※)。
※2018年4月11日をもって募集は締め切りました。ご応募ありがとうございました。
<目次>
▼10ジャンルのリサーチャーと一気にブレストしてみたら?
▼10ジャンル同時ブレストのやり方
▼読者のお悩み、募集します
10ジャンルのリサーチャーと一気にブレストしてみたら?
あれは、2015年末くらいだったでしょうか。
変わったチームが始まったらしいと電通Bチームのうわさを聞きつけたA先輩が、デスクにふらっと現れました。
「マイナンバーカードについて、調査研究したいのだけど、Bチームに相談してもいい?」
当時はまだチーム創生期。Bチームとして具体的な課題解決に取り組んだことのない頃でした。さてこの件、どう料理するか。「もちろんです。どうぞどうぞ」と言う5秒の間に考え、出した結論はこうでした。
「Bチームの“定例”に来ませんか? 毎回10人以上の違うジャンルのリサーチャーが来るので、そこで一気に解いてみましょう」
定例というのは、前回書いた「ポテンシャル採集」のことです。毎月3回、各2時間ずつ開催しています。
Bチームリサーチャーは、月に1回は定例に来て、自分がアンテナを張っている専門ジャンルの情報をみんなにシェアします。
現在だとメンバーは56人いるので、56÷3で、各回18人くらいが集まります。つまり、来るメンバーは毎回ランダムで、顔合わせが違う。そこも面白いところです。忙しいメンバーたちに参加してもらう工夫でもあります。
さて、その月のBチームの定例に、予告通りA先輩が来ました。その日は情報共有の時間を早めに切り上げ、先輩のお悩みのマイナンバーカードについてみんなで考えることにしました。
まずは15分ほど、A先輩のオリエンタイム。マイナンバーとは?マイナンバーカードとは?そして、A先輩が悩んでいる調査研究について聞きました。
次は、課題解決タイムです。
まずは、僕の隣にいた、小説家の後輩Xに何げなくこう振りました。
「マイナンバーカード、小説家的にはどうなの?」
すると後輩Xはこう話し始めました。
「マイナンバー的な番号制度は、SFの世界ではけっこう出てきます。日本でも50年くらい前の小説に出てきていて、登場人物はマイナンバー的制度のせいで失敗してます。SF映画でもけっこう出てきますし、そういうSF作品におけるマイナンバー成功例・失敗例をまとめて分析したらどうでしょう?」
面白い。すごい勢いでメモするA先輩。
次はその隣、エクストリームスポーツ担当の後藤陽一君(急にここだけ実名ですが)に振ってみました。彼は特に山に強いので「山的にはどうなの?」と。
「山的にはですね…」と数秒考えたのち、こんな答えが。
「去年、兵庫県では山での遭難が108件ありましたが、そのうち登山届を出していたのが3件だけです。御嶽山の噴火があった直後なのに、なぜか?それは、登山届はハガキで出さないといけないからです。そこで案ですが、マイナンバーカードを持っている人は、登山口とか山小屋とかに設置したカードリーダーでピッと認証するだけで登山届を出せるようにしたらどうですかね?」
これまた面白い。ものの5分で、2案、すごく良いアイデアが出てきました。
こんな感じで、リサーチャーたちが、音楽、ファッション、農業、メークなど、自分のリサーチテーマ順に、1人1案ずつ発表していくと、あっという間に違う切り口の、それもかなりいいレベルのアイデアが、あれよあれよと出てきました。
A先輩は「助かった〜」と大満足でしたが、その場にいたBチームメンバーも僕も大満足でした。ランナーズハイ状態ならぬ、プランナーズハイ状態。
「このやり方は、面白い」
この日から、このやり方をBチームの「10ジャンル同時ブレスト」と呼び、体系化しました。
10ジャンル同時ブレストのやり方
①10ジャンル選定。
Bチームのリサーチャーリストを発注者に見せ、どのジャンルのメンバーとブレストしたいか選んでもらう。(5〜10人)
②10ジャンルで同時にブレスト。
選ばれたメンバーのスケジュールを合わせ、発注者のもとへ赴き、一気にブレスト。
③その場でまとめる。
まとめ方はいろいろありますが、一番ライトなのは、最後にホワイトボードにまとめて、スマホで撮影して、終わりです。
10ジャンル同時ブレストはクライアントからの人気が高く、これまで10社以上の案件にこの方法を提供してきました。「プロダクトや技術はあるけど、これをどう使っていいか分からない」みたいな依頼に対しては、特に威力を発揮します。
やってきて分かった特徴としては、2点あります。
①時間が“超絶”かからない。
普通、あるジャンルから有識者を招いて“違う角度からのアイデア”を出してもらうとなると、1~2時間で数案もらうのがやっとでしょう。でも、10ジャンル同時ブレストなら、わずか1時間で10~20アイデアくらいが、10個の違う角度から出ます。
これは、単に多ジャンルからの有識者というだけではなく、その全員が広告業界でプランニングをしているプロであるという、A面とB面を兼ね備えたメンバーを集めたからこそできることかなと思います。
②なにより面白い。
一つの課題について、全く違う10個の角度から視点やアイデアがポンポン出るのを見ていると、「その手があったか」「そんなことあるの?」と、本当に勉強になります。メモが止まらない。好奇心が沸騰してくる。脳が気持ちいい。
それを一言で言うと、面白い、と平たい言い方になってしまうのですが、まあ面白いんです。
読者のお悩み、募集します
以上が、Bチームの秘技その1「10ジャンル同時ブレスト」でしたが、もう少し雰囲気をお伝えするために、ウェブ電通報版をやってみたいと思います。
【急募!】「10ジャンル同時ブレスト」で解いてほしい課題を募集します!!!
・締め切り:2018年4月11日(水)9時30分まで
・応募主体:企業だけでなく団体、メディア、自治体、学校、商店など、規模は問いません。電通グループ会社からの相談も歓迎します!
・報酬:今回は採用された1名様(1団体様)のみ、特別に「無料」で10人同時ブレストをご体験いただけます。その代わり、下記の条件を必ずお読みください。ご応募いただいた時点で、条件に同意いただいたものとします。
・条件:①ブレストの様子はウェブ電通報で記事化します。できれば実名で登場していただきますが、匿名ご希望の場合はご依頼時にお知らせください。②可能であれば担当者にはブレストに参加いただき、オリエンを行っていただきます。もちろんブレストに参加できなくてもご応募は可能です!③出た案をお渡しして終了です。
・課題:何でも構いませんし、何本でも構いません。大きめな社会課題から、身の回りのささやかなお悩みまで、お気軽にご応募ください。(すでに電通がお手伝いしている案件は、社内でケンカが起きるので、できないかもしれません)
・応募宛先:info@bbbbb.teamまで、メールでご応募ください。
・応募要項:件名は「10人同時ブレスト希望」とし、組織名および(あれば)ウェブサイトURL、ご担当者のお名前・部署名、お電話番号、解決してほしい課題(複数可)をご記入の上ご応募ください。
※採用の可否は、応募メールへの返信をもって代えさせていただきます。採用メールが届かなかった場合は不採用です。
※不採用または採用辞退の場合でも、個人情報を含む情報は返却いたしません。
お寄せいただいた課題の中から一つを選んで、10人のリサーチャーでブレストし、その過程を次回の記事でレポートします。
では、課題をお待ちしています!ご応募はこちらからお気軽にどうぞ。