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金融プロジェクト「生活者の決済手段に関する調査」No.2

今後のキャッシュレス化をけん引する二つの要因

2018/04/13

電通ビジネス・ディベロップメント&アクティベーション局 金融プロジェクトでは、生活者の決済手段がどのように変化し、今後どのような決済手段が主流になるのかを明らかにすることを目的に「生活者の決済手段に関する調査」を実施しました。

同プロジェクトの吉富才了が、調査結果の中から「今後のキャッシュレス化を牽引する二つの要因」として、「ポイント経済圏の影響」および「新たな決済手段や新サービスのポテンシャル」について紹介します。

「ポイント経済圏」が、今後のキャッシュレス化の浸透に影響

 

キャッシュレス決済比率が急上昇している背景として、Eコマース(EC)の台頭とその決済手段が影響を及ぼしていると考えられます。ECの決済手段全体を100%とすると、その構成比はクレジットカード決済が73.3%、ポイント決済が7.7%、デビットカード決済が7.3%と上位を占めています。

 

インターネットショッピングをする際に、ショッピング以外で重視する点は「ポイントの付与率が高い」(73.8%)が最も高く、続いて「クレジットカードなどキャッシュレスによる支払いがスムーズである」(70.6%)、「ポイントの利用範囲が広い」(36.2%)、「ポイント経済圏が充実している」(31.2%)と続いています。

このように、EC市場においてポイントをデジタルキャッシュとして利用できる「ポイント経済圏の広がり」がキャッシュレスの浸透の大きなトリガーになると予想されます。

 

新たな決済手段や新サービスに対する潜在需要の高まり

 

「モバイルウォレット(モバイル決済)」の今後の利用意向に関しては、「利用したい」(17.8%)、「多少は利用したい」(19.7%)、「場合によっては利用してもいい」(38.0%)と潜在的な利用意向が75.5%に達しています。

また、今後の「キャッシュレス決済比率」の高まりに関する新たな動きとして、「モバイルウォレット(モバイル決済)」や「個人間送金サービス」といった新たな決済手段や新サービスの利用促進へのポテンシャルがうかがえる結果となりました。

 

「個人間送金サービス注1」の今後の利用意向についても、「利用したい」(7.1%)、「多少は利用したい」(12.5%)、「場合によっては利用してもいい」(40.2%)と潜在的な利用意向は59.8%に達しています。

注1:食事代金の割り勘をする、立て替えをしてもらったお金の支払い、会費の支払いのように個人間でお金をやり取りする機会に、個人から個人に送金するサービス

このように、今回の調査結果では、生活者のキャッシュレス・ニーズは着実に高まっていることがうかがえます。

ただし、現状の日本の「キャッシュレス決済比率」は19%程度と、50%を超える韓国や中国の半分にも満たない水準であり、明らかに「キャッシュレス後進国」という状況にあります。そうした中、政府は「キャッシュレス決済比率、10年で40%」という目標を掲げ、国全体がキャッシュレス化に大きくかじを切ろうとしています。

今後は、金融機関やカード会社といった従来のプレーヤーだけでなく、通信・IT業界や流通・小売業界といった異業種からの参入によって、新たな決済手段やサービスが生まれたり、経済圏が拡大されることによって、キャッシュレス市場の競争は、ますます激しくなっていくでしょう。