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金融プロジェクト「生活者の決済手段に関する調査」No.1

着実に進むキャッシュレス決済

2018/03/27

お金にまつわる環境は、電子マネーやモバイルウォレット決済手段の多様化、仮想通貨といったデジタルマネーの誕生や、個人が直接取引できるサービスの登場などで急速に変化しています。

一方、政府もインバウンドなどを背景に「キャッシュレス決済比率、10年で40%」という目標数値を掲げ、キャッシュレス化を促進しています。そうした中、金融機関やカード会社だけでなく、通信・IT業界や流通・小売業界の大手企業が、さまざまな決済サービスやポイントサービスを展開し、急成長しつつあります。

そこで、電通ビジネス・ディベロップメント&アクティベーション局 金融プロジェクトでは、生活者の決済手段がどのように変化し、今後どのような決済手段が主流になるのかを明らかにすることを目的に「生活者の決済手段に関する調査」を実施しました。

金融プロジェクトの吉富才了が、調査結果の中から「着実に進むキャッシュレス決済」をテーマに、「生活者のキャッシュレス意識」と「消費支出に占めるキャッシュレス決済比率」について紹介します。

1)キャッシュレス派は78.3%、現金派は21.7%

 
図1 キャッシュレス派vs現金派

まず、支払い(決済)はできるだけキャッシュレスにしたい「キャッシュレス派」と、できるだけ現金にしたい「現金派」の割合は、それぞれ78.3%と21.7%となり、圧倒的に「キャッシュレス派」が主流という結果になりました。

「日本人の多くは現金主義で、なかなかキャッシュレス決済が進まない。」決済業界で通例となっているこういった悲観的な意見からすれば、意外な結果といえます。

つまり、生活者のマインドが現金主義というわけではなく、支払いの場では現金を使わざるを得ないが、意識としてはキャッシュレスにしたい。そういう人たちが8割弱もいるというように解釈できます。

また、男女別にみると、男性の「キャッシュレス派」は84.5%、女性の「キャッシュレス派」は72.2%と、男性の方がキャッシュレスに前向きであることが分かりました。

 

「キャッシュレス決済」を支持する理由としては、「小銭など現金での支払いの面倒さがなくなる」(74.1%)、「支払いがスムーズにできる」(67.4%)、「ポイントやマイルがたまる」(67.1%)が高くなっており、その利便性とポイント付与が大きく影響を及ぼしていることが伺えます。

 

一方、「現金決済」を支持する理由としては、「現金に慣れ親しんでいる」(68.9%)、「余計な出費などお金の管理があいまいになりがちなので」(42.9%)、「クレジットカードなどデータスキミングにより不正使用される危険性があるので」(40.1%)が高く、現金の信頼性を評価しているようです。

 

2)消費支出の約6割がキャッシュレス決済、現金は27.7%へと減少

 

こうした生活者のキャッシュレス意識の高まりは、別の調査結果でも裏付けられています。金融プロジェクトが継続的に実施している調査結果によると、5年前(2013年8月)の調査と比べ、過去1カ月の消費支出全体に占める各決済手段の構成比は、「現金決済比率」が41.5%から27.7%へと減少する一方で、クレジットカード・デビットカード・電子マネーの決済比率を合算した「キャッシュレス決済比率」は43.2%から59.9%と16.7ポイントも増加と、消費に対するキャッシュレスマインドも着実に高まりつつあります。

この「キャッシュレス決済比率」の上昇をけん引しているのは、デビットカードと電子マネーであり、デビットカードは0.7%から8.9%へ、電子マネーは6.5%から13.6%へ増加しています。

 

キャッシュレス決済手段別に平均利用頻度×平均決済単価をプロットしてみると、五つのゾーンに分かれます。例えば、比較的高額な買い物の決済手段としては、クレジットカードが選好されるケースが多く、「高頻度」×「高単価」のゾーンに、また、決済がスピーディーな電子マネーは、コンビニなどでの現金決済の代わりに位置付けられ、「高頻度」×「低単価」のゾーンにというように、それぞれの決済手段の特徴やメリットを生かした使い分けの傾向が見られます。


【調査概要】
・エリア:全国
・調査対象:【一般調査】20-69歳の男女(学生は除く)
【学生調査】18-29歳の男女(学生のみ)
・サンプル数:【一般調査】500ss(人口構成比割付)
【学生調査】100ss(人口構成比割付)
・調査手法:インターネット調査
・調査会社:楽天リサーチ
・調査時期:2017年12月23日(土)~24日(日)
・調査実施:株式会社 電通