It's PR, but not as we know it: 外国人が驚く日本のPR事情No.3
ポイント3:日本では、SNSとソーシャルメディアを混同?
2018/04/10
外国人から「日本のソーシャルメディアの事情は?」なんて聞かれて、日本人がよく使うソーシャルメディアやアプリについてざっと説明できる人も多いかと思うが、ここでは留意点とともにいくつか特徴的なポイントを挙げたい。
「SNS」と「ソーシャルメディア」を混同する日本人
まずはSNSとソーシャルメディアの違いについて触れておきたい。日本人の多くはSNSとソーシャルメディアの違いを特に考えずに使用しているように見える。
海外、特に英語圏の国では、「投稿」「拡散」「シェア」といったパブリッシング機能を伴う文脈で使われる場合はソーシャルメディアと呼び、ネットワーキングやメッセージング機能にフォーカスする場合はSNSと使う場合が多い。
一方、日本では、SNSと3文字で書いてしまった方が文字数も節約できて便利なためか、ニュースメディアの報道でもSNSとしている場合が多いように感じる。
FacebookもTwitterもSNSとソーシャルメディアの両方の機能を備えているが、ネーティブの英語話者が“SNSに投稿する”と英語で表現しているのはあまり見かけない。“ソーシャルメディアに投稿する”と言わなければ伝わらない。YouTubeは欧米では「ソーシャルメディアのプラットフォーム」として認識されているが、SNSではない。外国人とソーシャルメディアについて英語で話すときは、意識して言葉を使い分けたい。
海外ラグジュアリーブランドもLINEでコミュニケーション
ニールセンの調査によると、日本では2015年9月にスマートフォンからのインターネットアクセスがパソコンを上回った。これは世界的な傾向でもあるようだ。アイルランドのウェブトラフィック分析企業StatCounterの Global Statsのデータによると、16年10月に世界のインターネットアクセスに関しても、スマートフォンとタブレットがデスクトップを上回ったという結果が発表されている。
日本のスマートフォンアプリトップ10をご覧いただきたい。日本で人気ナンバーワンのアプリはLINEである。
上のランキングはニールセンの調査結果で、調査会社によっては少し異なる結果が出ているが、LINEが1位であるという点では、どこも同じだ。
海外のブランドも日本市場でのLINEの影響力の強さは十分理解しており、軒並み公式アカウントを開設している。ここ数年は、欧米のラグジュアリー・ファッション・ブランドもLINEを使って日本のターゲット層にアピールしている。
外資系ブランドの広報担当者は、「cute」とは違う、ある種、成熟を否定し不完全さを良しとする意味合いを含む「Kawaii」といった日本固有の感性やそれを表現する絵文字の文化などを本国の広報担当者に説明しながら、本国ではあまり考えられないようなLINEを使ったマーケティングを提案していく必要があるだろう。
拙著『Communicating: A Guide to PR in Japan』でも、LINEを起用したバーバリーのマーケティング事例を紹介している。
第4回では、日本のBtoCコミュニケーションで特徴的な「ゆるキャラ」や「萌え」について触れていきたい。