It's PR, but not as we know it: 外国人が驚く日本のPR事情No.4
ポイント4:日本の“Kawaii”「ゆるキャラ」と「萌えキャラ」
2018/04/23
日本人はかわいいものが好きである。漫画やアニメ、中央官庁から地方自治体、都市銀行のマスコットまで、国中かわいいものであふれている。そしてその多くはどこか、成熟さを否定するような、ある種の幼さを残した存在をよしとする感性が基本となっている。
日本語の「かわいい(Kawaii)」はオックスフォード英語辞典にも載っているが、端的に「cute」と訳すことができないことが多い。少し情けなかったり、格好よくなかったりといった不完全さに日本人は共感するようで、日本におけるBtoCマーケティングでも重要なポイントとなることが多い。
Kawaiiの代表的なもののひとつに「ゆるキャラ」がある。環境省といった中央官庁でさえもゆるキャラを使い、啓発活動を行っている。海外の企業や団体にもマスコットを持っていることは多いが、日本のマスコットはそれらとは一線を画している状況だ。
ゆるキャラを導入する外資系企業
ゆるキャラ自体が珍らしい外国人にとって、ゆるキャラが中央官庁や自治体のPRを担当している状況は驚きの事実だろうが、こういった日本人のゆるキャラ好きをうまく利用し、マーケティング活動を展開する外資系企業・団体も出てきた。
拙著『Communicating: A Guide to PR in Japan』でも紹介したが、オーストラリアのジェットスターグループのジェットスター・ジャパンは日本市場のために、「ジェッ太くん」というマスコットを制作。主に日本でのPR活動に活用する他、ゆるキャラグランプリにもエントリーしている。
ゆるキャラとは別に日本をルーツとするものに「萌えキャラ」がある。海外でも萌えキャラに強い興味を持つ層があり、必ずしも日本だけのものではないが、日本に端を発するという意味では、日本固有といえるだろう。万人受けするものではないが、一部の若者を引きつけるという意味で企業や団体、中央官庁のプロモーション活動に使われることも少なくない。
写真は環境省が推進する地球温暖化対策のための国民運動「COOL CHOICE」の萌えキャラ(イメージキャラクター)である「君野イマ」と「君野ミライ」である。
外資系の広報担当者はこういったゆるキャラや萌えキャラについて、自社のプロモーションに起用しないとしても、時としてBtoCマーケティングで有効な手段となることをうまく英語で説明できるようにしたい。協賛するイベントや、他のブランドとの共催イベントに、こういったキャラクターが現れることもあり、本国のPR担当者から聞かれたときに、説明できる準備が必要だ。
また、こういった日本的なキャラクターの起用にはリスクもつきもの。特に萌えキャラクターは「セクシー過ぎる」ということで炎上を起こしたりすることもある。さらに企業側の萌えキャラキャンペーンに戦略的なマーケティング臭を感じると、反発する層もおり、本企業や団体でもうまくいかない場合がある。特に外資系企業のPR・マーケティング担当者は、十分な知識を持ち合わせたパートナーを起用して進めなくてはならないであろう。