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「モチベーション別ピアノ教室」をつくろう!

電通Bチームのオルタナティブアプローチ №4

  • 倉成 英俊

2018/07/30

「モチベーション別ピアノ教室」をつくろう!

通常と異なるアプローチで課題を解決する「電通Bチーム」から10人のスペシャリストが出席し、それぞれ専門の立場から解決案を出し合う「10ジャンル同時ブレスト」。

今回は特別に、1回限りの企画として、ウェブ電通報読者から募集したお悩み相談の中からお題をセレクトし、実際にブレストを実施した。レポート後編をお届けする。(前編はこちら

※「10ジャンル同時ブレスト」は電通Bチームが企業や自治体などに提供しているサービスです。ご相談は電通Bチーム( info@bbbbb.team )までお問い合わせください。

 

参加特任リサーチャー
【参加特任リサーチャー】左奥から倉成英俊(コンセプト担当)、和田有子(健康担当)、山田茜(美容担当)、キリーロバ ナージャ(世界の教育担当)、小池亜季(ファッション担当)、右奥から鳥巣智行(平和担当)、坂巻匡彦(プロダクトデザイン担当)、中島英太(フェス/祭り担当)、田中宏和(社会学担当)、上江洲佑布子(分子調理担当)
<目次>
⑤健康的には?高齢者を鍛え悩める親子を癒やすピアノ教室
⑥平和的には?連弾による相互理解で平和がもたらされる
⑦社会学的には?クリスマスパーティーなどハレのイベントを取り入れる
⑧フェス/祭り的には?「下手な大人」の発表会は盛り上がる!
⑨分子調理的には?ピアノを分解して叩いて演奏しちゃおう
⑩コンセプト的には?モチベーション別ピアノ教室

 

お題:「母親がやっているピアノ教室の生徒数が増えない問題」

依頼主:大学3年生 Nさん
※依頼人が学生のため、今回は仮名での掲載となります。

依頼人から聞いた、お母さまのピアノ教室情報

  • 10年前からやっている。ピアノ教室を始めた理由は家計を支えるため。
  • ピアノ教室の名前は特になし。広告を出すときは「ピアノの教室」としている。
  • 自宅のピアノ部屋(8畳)でレッスンを行う。
  • 生徒数は現在25人。9割が子ども(3歳~中学生)、1割が大人(20~60歳)
  • 立地は住宅地で、庶民的な土地。
  • 母親はアロマテラピー、フェイシャルエステティシャン、メンタルトレーナー、認定心理士の資格を有する。

倉成:前編に引き続き、よろしくお願いします。和田さん、健康的にはどうですか?

和田:健康的に考えると「指先の運動で、脳に良い影響」というのは普通に思いますよね。その観点でいうと、前回ナージャさんが言ってたように、別に子どもじゃなくてもいい。

⑤健康的には?高齢者を鍛え悩める親子を癒やすピアノ教室

「健康」担当特任リサーチャー 和田有子
和田 有子…健康担当。生活者のライフスタイルや消費者行動についての調査・研究に取り組む。シニア・マーケティングの著書あり。ピアノ経験あり。

和田:私みたいに、子どものころお稽古してたけど、何十年もやってないような人がターゲットでもいいし、高齢者が認知機能の維持や向上のために通ってみたりね。

そうすると、音大を目指すとかいうよりも、複数の生徒が一緒に練習したり、自由練習の日があったり、おしゃべりもするよとか、サロンっぽくしてもいい。ピアノのコミュニティーができるとメンタルヘルスにも良いですよね。特にアロマとか、認定心理士の資格をお持ちということなので。

田中:ピアノ教室はコミュニティーになりますよね。うちの場合、子どもをピアノ教室に送り届けたら、レッスンの間は近所の喫茶店で本を読んだりして待っていられるからいいんですが、Nさんの教室は住宅街なので、喫茶店がないと思うんです。それなら、この教室そのものを寄合所みたいなサービスにすると、客単価を上げられるかなと(笑)。クッキー焼いてみたりね。

和田:あと前回、「やんちゃなお子さまがピアノを習って態度が変化した」という話があったけど、子どもにトラブルがあるときって親の精神にも影響が出てくることが多いから、そういう悩みのある親子で教室に通うのもいいんじゃないかな。

小池:家族で連弾するといいかもしれない。相手に合わせるのって大変なので、そういうことも学べて。

和田:おじいちゃんと孫の連弾とかね。私も娘と連弾するのが楽しくて、教室に行くのが楽しみでした。

鳥巣:あ、ちょっといいですか。平和でいうと、連弾っていいなって思って。
 

⑥平和的には?連弾による相互理解で平和がもたらされる

「平和」担当特任リサーチャー 鳥巣智行
鳥巣 智行…平和担当。長崎に生まれる。長崎原爆の記憶を世界に伝える「Nagasaki Archive」など、公私にわたり平和活動に取り組む。高校時代にはバンドを組みベースを担当。ただし、うまく弾けなかった。

鳥巣:相手を理解するという意味で、文化が違う人たちが連弾するとか、喧嘩している人たちが連弾する企画はどうでしょう。仲の悪い国や地域の住民同士で連弾するとか。そういう意味で連弾は平和につながるなと思いました。ピアノ教室のプログラムというよりは、課題解決の手段に近いかもしれませんが。

田中:連弾を生かした取り組みはいろいろ考えられるね。上司と部下の連弾とか。

倉成:それもいいけど、やっぱり田中宏和と田中宏和の連弾でしょう!(笑)
 

⑦社会学的には?クリスマスパーティーなどハレのイベントを取り入れる

「社会学」担当特任リサーチャー 田中宏和
田中 宏和…社会学担当。同姓同名の「田中宏和」を集める「田中宏和運動」(現在140名)の発起人。被災三県の子どもたちで結成された「東北ユースオーケストラ」を運営している。

田中:十分できますね(笑)。僕も一応、ピアノをやってたので、子どもと連弾というのは考えたんですけど、恥ずかしくて。

和田:楽しいよー。発表会とかで、それこそ洋服合わせて。

田中:それで思ったのは、発表会って晴れ舞台なんですよね。うちの子は6月に立派なホールで発表会するのと、もう一つは12月に先生の家でクリスマスパーティーみたいな発表会をしてるんです。そういうイベントはあった方がいい。

小池:ピアノ習うきっかけって、ママ同士の関係性とか、お友達がやってるからやりたいとかあるじゃないですか。いきなり入会するのはハードルが高いけど、何月何日にあそこの家でクリスマスパーティーやるから聴きに来てね、っていうところから「うちの子も通わせてみようかな」となるので、そういう地元でできるイベントは大事かも。

山田:ハロウィンパーティーでもいいですよね。私は子どもの頃、英語教室に通ってたんですけど、始めた理由は、ハロウィンに子どもたちが仮装するイベントがあったから(笑)。ハロウィンパーティーで仮装できるピアノ教室があったら、小さい子が興味持つと思います。

中島:仮装できるイベントね!どこか会場借りて、誰でも入れるお祭りイベント。「モーツァルトの誕生日」イベントで、みんなモーツァルトのかつらをかぶってピアノ弾けるとか(笑)。あと思うのが、プロとかじゃなくてただの友だちや家族が演奏するのってすごく面白いんですよ。

⑧フェス/祭り的には?「下手な大人」の発表会は盛り上がる!

「フェス/祭り」担当特任リサーチャー 中島英太
中島 英太…フェス/祭り担当。趣味で手づくりの音楽イベントやフェスを主催している。

中島:何年か前に僕の友達で、普通のサラリーマンなんですが、プロミュージシャンが出るようなけっこうな規模の音楽イベントを企画した人がいて。それで盛り上がって、終わりかなと思ったら、まさかのその彼がピアノを持ち出して「僕もピアノを10年やってるので、モーツァルトを弾きます」って(笑)。プロの直後に出てきて、しかも彼、すごい下手なんですよ(笑)。メンタルつええ!みたいな。でもそれがすごく盛り上がって、だからそういう身近な人の違う一面を、一生懸命やってるのを見られるイベントは面白いと思うんです。

ナージャ:家族だけのプライベートコンサートとか。おじいちゃんおばあちゃんが孫に1曲プレゼントとか。そういう誰かのために頑張って1曲マスターするというのもいいかな。

山田:私が子どもの頃、うちのおじいちゃん、おばあちゃんが、地元の文化センターのカラオケにいつも行ってたんですよ。ピアノってどうしてもかしこまった感じがあるけど、本当はあまり上手じゃなくても、カラオケみたいにみんなで行って「じゃあ次は○○さん!」みたいな感じで弾いてもいいですよね。カラオケ大会みたいなピアノ大会。

上江洲:イベントでいうと、「課題曲がない音楽祭」もアリかなと思って。
 

⑨分子調理的には?ピアノを分解して叩いて演奏しちゃおう

「分子調理」担当特任リサーチャー 上江洲 佑布子
上江洲 佑布子…分子調理担当。オランダでメディアデザインを学び、広報の経験も持つアートディレクター。ハープ奏者としても活動する。

上江洲:子どもの頃、ピアノ教室にイタリア語かなんかで「自由に!」って書いてあって、先生に「自由に弾きなさい」と言われたので譜面無視してガチャ弾きしたら、怒られたんですよ(笑)。だからガチャ弾きしてもいいくらいの自由な音楽祭イベントがあったらいいかなと。あと、私は楽器の構造を理解したのが大人になってからだったので、みんなでピアノを分解してみるイベントとか。

小池:分解といえばアメリカにピアノ・ガイズというグループがいて、メンバーみんなでピアノを開いちゃって、あちこち叩いていろんな音を出すというのをやってるんですよ。メンバーの二人が、老人ホームでサプライズ演奏したらおじいちゃんおばあちゃんがすごく喜んでいて。だから「うまく弾く」「両手で弾く」っていう軸だけじゃなくて、みんなでピアノを開いて叩くとかいうイベントも楽しそう。

上江洲:子どもが絵を自由に描くような感じですね。小さい子は人間を描くとかより抽象的なものが得意だったりするから、それを音楽や楽器でもやってもいいのかなって。

坂巻:「プリペアドピアノ」みたいな感じですよね?

田中:ジョン・ケージの。

坂巻:プリペアドピアノって、ピアノの弦とかハンマー部分に紐を付けたり鈴を付けたりして、鍵盤を叩くとピアノ以外の音が鳴るみたいな仕掛けなんですけど。クリスマスにプリペアドピアノやったら超楽しそうじゃないですか?生徒を集めてクリスマスの飾りつけみたいに、「今からピアノを改造します!」って。みんなで自由にクリスマスソング弾いてみたり、作曲もしちゃうみたいなアクティビティーにすると面白そう。

山田:住宅街ならもう使わないピアノを1台くらい誰かに提供してもらえるかも…。

小池:あ、もう一つ思ったのが、レッスンで先生のおうちに上がるんなら、それをうまく使えないかなと。うまく弾けたらかわいい靴下がもらえるとか(笑)。

山田:入会したら、自分の名前とかが入ったかわいい靴下がレッスンのときのスリッパ代わりに用意してあるというのでもいいですね。

田中:あとオシャレなお稽古バッグね。Nピアノ教室オリジナルの。

ナージャ:習い事って、着るものや持ち物でテンション上がるけど、ピアノは習う用のユニホームとかないですよね。だから、上達するとユニホームが変わるとかいう仕掛けがあるとモチベーションになるかなと。モーツァルトのかつらをかぶれるとか(笑)。

山田:毎回レッスン終わったあとに玄関のところでコーディネート写真撮りたいちっちゃい子もいるかなと思います。「今日はこんな服で行きました」と。

鳥巣:10人目は倉成さん、コンセプト担当のアイデアをください!

倉成:うーん、そうだなー。ピアノ教室って「こうあらねばならない」って雰囲気があるけど、みんなの話を聞いてたら、モチベーションベースでいろいろコースを切っていったらいいんじゃないかなと思った。

⑩コンセプト的には?モチベーション別ピアノ教室

「コンセプト」担当特任リサーチャー 倉成英俊
倉成英俊…コンセプト担当。言わずと知れた電通Bチームリーダー。詳しくは過去記事参照。

倉成:曲に合わせておめかししたい、老化防止したい、お友達とお茶を飲みたい、モーツァルトのかつらをかぶりたいとか、生徒のモチベーションに合わせて何コースかつくれば、全部実現できるんじゃない?

中島:ピアノ教室って通常「ピアノがうまくなりたい」っていうモチベーションだけで、ざっくりしてるからね。そこで例えば「リラクゼーションコース」みたいなのがあって、認定心理士の先生が選曲しましたみたいな。アロマも焚いて。

田中:いろんな資格を持っている依頼人のお母さまに向いてそうだよね、モチベーション別ピアノ教室。

ナージャ:あ、じゃあさっきの「曲プレゼントコース」。おじいちゃんが孫のために1曲だけ短期集中練習してプレゼントする。

山田:結婚式でも、ピアノ弾けない旦那さんが奥さんのために1曲だけ練習してきましたみたいなのも最近人気の演出なので、曲プレゼントはいいですね!

中島:フェイシャルエステとかメンタルとかひっくるめて「美人になるコース」とか。

倉成:あとは「理系コース」。ピアノを分解して遊ぶとかはこれだね。

坂巻:「ヨーロッパコース」ではシャンソンの伴奏とかやりたいですよね。

鳥巣:まとめてみました!(※順不同)

  • ピアノパーティーコース
  • ファッションコース
  • ヨーロッパコース
  • リラクゼーションコース
  • 曲プレゼントコース
  • 美人になるコース
  • 理系コース
  • 連弾コース
  • 老化防止コース

倉成:これ、客単価がいろいろ違うってことだよね。

山田:きっと曲プレゼントコースは料金高めですね。

小池:短期集中だからね。

和田:子どもからお母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんと家族で利用してもらうと単価が増えますよね。

坂巻:生徒数を増やすというより「延べ生徒数」を増やすみたいな話ですよね。今来ている人たちが倍来るようになるという。

倉成:今は少子化でピアノ教室も困ってるところが多いみたいだから、単に「ピアノが上手になりたい」だけじゃない、いろんなモチベーションの生徒を開拓できればということだね。これ○○○音楽教室とかに持って行った方がいいのかな(笑)。

電通Bチーム 10ジャンル同時ブレスト

※後日、依頼人のNさんにこのブレスト結果を伝えたところ、以下のようなお返事をいただきました。
「10ジャンル同時ブレスト」、本当にありがとうございました。母親と自分で確認をさせていただきました!こんなふうに話が広がるとは全く思っておらず、母親は今回の企画に関して最初は全然乗り気ではなかったのですが、原稿を読んでから「この企画意外と面白いね~」と言っていました(笑)。

田中さんと小池さんが言うように、発表会をもっと特別なものにしたり、逆にクリスマスパーティーのようにラフな会にするのもアリかもしれません。和田さんの「サロン案」ですが、実は過去に2名くらいの大人の生徒さんで、ほとんどピアノは弾かずにひたすら60分ほど話して帰るだけみたいな方もいたらしいです。なので、需要はとてもあると思います。ナージャさんの「短期の曲プレゼントコース」のアイデアは、実践できたらいいよねという話にもなっています。

うれしい感想をありがとうございます!チャンスがあれば実践していただければ幸いです。

Nさん、課題のご提供ありがとうございました!今後もNさんのお母さまの、ピアノ教室のますますのご発展を、メンバー一同願っております。