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飛躍したアイデアを生む「ミラクルワードカード」いかがですか?

電通Bチームのオルタナティブアプローチ №5

  • 鳥巣 智行
  • 大山 徹

2018/10/17

飛躍したアイデアを生む「ミラクルワードカード」いかがですか?

ミラクルワードカード

「泊まれる――」

「1000年に一度の――」

「――担当大臣」

「いきなり――」

「Chief ―― Officer」

さて、この言葉たちは一体何でしょうか?

これこそが電通Bチームの開発した「ミラクルワードカード」です。既存の単語(名詞)と組み合わせるだけで、企画アイデアの「ジャンプ」をもたらす、いわばミラクルな言葉を収集しました。

こんにちは、Bチームの「平和」担当特任リサーチャー、鳥巣智行です。僕たちBチームは日々、企業が抱える課題などを、通常とは違ったオルタナティブなアプローチで解決する方法を考えています。

今回はそのうちの一つ「ミラクルワードカード」を紹介します。このカードのベースとなっている「ミラクルワード」の生みの親、大山徹さん(Bチームの「Play」担当特任リサーチャー)にも登場いただきます。

<目次>
新しいアイデアのきっかけになる言葉「ミラクルワード」の発見
ワークショップでカードのミラクルな効果を実感
実践!ミラクルワードカードで課題解決
悩める日本中の企画担当者にミラクルワードカードを広めたい!

 

新しいアイデアのきっかけになる言葉「ミラクルワード」の発見

Bチームでは、50人の特任リサーチャーが体験したことや普段の暮らしの中でキャッチした面白い情報を事例としてまとめています。あるとき、大山さんが、神奈川県にある水族館の人気ナイトツアー「泊まれる水族館」の事例を持ってきました。

これは、大水槽の前に泊まって、生きものたちをゆっくり観察できるサービスなのですが、大山さんは水族館となじみの薄い「泊まれる」という言葉が気になったのだそうです。そういえば池袋には「泊まれる本屋」があるとか、もし「泊まれる博物館」があったらとか…。

もしかしたら「泊まれる」という言葉には特別な力があり、この言葉が既存の商品やサービスに付くと、それらが新しいものに見えるんじゃないかと。

そんな言葉が他にもないかBチームで探してみると、「大人の――」「とにかく明るい――」「感情を持った――」「昼下がりの――」など、さまざまなものが見つかりました。

語頭に付く言葉だけでなく、佐賀の「日本酒で乾杯条例」や青森の「朝ごはん条例」における「――条例」のように、語尾に付く言葉もありました。「――女子」「――コン」なども定番ですね。

ミラクルワードカード

既成の商品名やサービス名に付けるだけで思いがけないイメージをもたらし、アイデアが広がる。そんな特別な力を持った言葉たちを、僕たちは「ミラクルワード」と名付けました。そして多くの候補を精査し、特に汎用性が高い100の言葉に絞ってつくったのが「ミラクルワードカード」です。

ワークショップでカードのミラクルな効果を実感

電通Bチームの鳥巣智行(左)、大山徹(右)
電通Bチームの鳥巣智行(左)、大山徹(右)

このミラクルワードカードを、ブレストをジャンプアップさせるアイデア出しのツールに使えないかということになり、まず2016年の3月に岐阜県御嵩町でワークショップを行いました。

町の中学生から70代の年配の方、東京の若手会社員まで、年齢もアイデアを出すスキルもバックグラウンドもバラバラな人たちが集まり、「ごへだ味噌」や「華ずし」など、御嵩町の特産品をどうPRするかをテーマに、カードを使ってアイデアを出し合いました。

40分という限られた時間のあいだに、かなり多くのアイデアが生まれました。

■ミラクルワード「朝の――」を使った例:「朝のごへだ味噌」

朝にジャム感覚でトーストに塗るごへだ味噌。ごはん食がパン食になり味噌汁離れが起きている昨今、トーストにも味噌を塗ってもらうことで新需要を開拓したい、というアイデアです。

■ミラクルワード「――時計」を使った例:「華ずし時計」

町によくある花時計を華ずしでつくってみるというアイデア。見た目が華やかな華ずしの特徴を生かしながら、巨大な華ずし時計にすることで話題化・ニュース化を図ろうというものでした。

 

このワークショップは、僕たちの想定以上に大変盛り上がりました。ミラクルワードカードを使うと誰もが持っているアイデア発想の才能を引き出すことができると考え、本格的に活用していくことになりました。

2回目のワークショップは六本木のアカデミーヒルズで、NHKに集まる社会課題をミラクルワードカードで解決する、というテーマで実施しました。このときNHKのディレクターと話し合って決めた課題が、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の認知向上・理解促進です。

こうしたセンシティブなテーマについての議論は、どうしてもさまざまな角度からアイデアを出すということが難しくなりがちです。そこをミラクルワードを使ってブレークスルーしていこうという取り組みでした。

ワークショップに参加した大山さんは、こんな風に語ってくれました。

「カードをきっかけにすることで、先入観に縛られることなく、普段考えつかないようなアイデアが出てくる。さらにアイデアを重ねて具体的な形に落とし込んでいく。ともすればみんな悩んで黙ってしまうようなセンシティブなテーマでも、ソリューションにつながっていくような “アイデアの連鎖反応”が起こることを体験できました」(大山)

もちろん、ミラクルワードを使って新しい概念が生まれても、それが必ずしもそのまま解決策につながるわけではありません。このカードの最大の効用は、煮詰まったり膠着したりしてしまいがちな議論の突破口になること。その意味でこのワークショップは、カードの新たな可能性を感じさせてくれました。

また、中国でも大学の先生を集めてワークショップを行いました。このとき、先生方に「中国で今流行しているもの」をもとにオリジナルのミラクルワードをつくってもらったのですが、僕たちが見てもよく意味が分かりません。しかし先生同士は大いに共感し合って、盛り上がっていました。僕たちにとっては、カードづくりを通して“中国のリアルなトレンド”を知ることができたのが収穫で、ミラクルワードカードは国や地域のリサーチにも使えるんじゃないかという話も出ました。

他にもこの2年半で、企業の新商品開発・新事業開発・社内研修や、国内外の大学でのプログラムなど、数多くの場面で活用してきた実績があります。

実践!ミラクルワードカードで課題解決

アイデアを出すときに、どのようにミラクルワードカードを使うのか、今回は「育児」をテーマに僕と大山さんで実践してみました。

待機児童問題やワンオペ育児など、育児にまつわる今の時代ならではの問題が山積みです。ゼロベースで話し合っても出てこないようなジャンプを生み出すため、ミラクルワードの力を借りてみましょう。

★ミラクルワードカードの基本的な使い方

  1. カードを10枚ずつ配る。
  2. それぞれ自分の手札の中から面白いアイデアが出そうなものを選ぶ。
  3. 一斉にカードを見せ合い、順番に自分が選んだミラクルワードについて説明する。
  4. 参加者全員で思いついたアイデアを膨らませる。

今回、大山さんは「24時間――」、僕は「――オブ・ザ・イヤー」をミラクルワードに選びました。

ミラクルワードカード

●「24時間――」をミラクルワードに選んだ理由(大山)

育児って、時間に限りがないじゃないですか。「24時間育児」というスタンスで広く捉えてみると、どうかなと思ったんです。

●「24時間育児」というワードから浮かんだアイデア

  • 「24時間」って、コンビニみたい。コンビニ育児というコンセプトはどうだろう?
  • いろいろなものが置いてあるコンビニのように、育児に関していろいろなことができる新しいタイプの託児所はどうか?
  • コンビニの数ぐらい託児所があったら相当助かるだろう。
  • 育児にフォーカスした、例えば託児所付きのコンビニをつくってみよう。
  • コンビニといえばシフト制だから、家庭の育児も家族でシフトを組むといいかもしれない。

●「――オブ・ザ・イヤー」をミラクルワードに選んだ理由(鳥巣)

1年間、どんな育児をしてきたかを記録しておき、年末にいちばん良かった育児を「育児オブ・ザ・イヤー」として発表し、夫婦で互いに褒め合えるといいなと思いました。

●「育児オブ・ザ・イヤー」というワードから浮かんだアイデア

  • 育児について、1年といった節目ごとにちゃんと振り返る。
  • 育児を頑張る家族をちゃんと褒める機会を設けることは大事。
  • 長男賞とか長女賞をつくり、家族で選ぶのもいいかもしれない。
  • トロフィーや賞状などのキットをつくって市販したらいいかも。
  • キットには1年間の育児の記録用ツールも入れて、オブ・ザ・イヤーの賞品を書き込むスペースもつくる。

このようにミラクルワードから思いつくことやアイデアをどんどん発表していき、アイデアの核となる言葉を付箋に書いてカードに貼ります。この段階では、実現できるかどうかは一回置いておきます。既出のアイデアに関連するアイデアが出たら、付箋をつなげていきます。こうすると議論を可視化することができ、どのアイデアについて議論が深まっているかも分かります。

ミラクルワードカード

悩める日本中の企画担当者にミラクルワードカードを広めたい!

Bチームでは企業の新規事業部や商品開発担当の方々とワークショップをすることが多いのですが、「自分はアイデアを出すのが苦手だ」と思い込んでいる方が多いと感じます。

ミラクルワードカードを使って、個人や組織の創造性が引き出されることで、アイデア発想は特別な人の専売特許ではなく、誰もが持っているスキルなのだと感じてもらいたいと思うようになりました。

アイデアを出す楽しさや、その方法を多くの人に体得していただけたら、日本中により多くの新しいアイデアや、面白いプロジェクトが生まれるはずです。

そのためには、私たちがファシリテーターとして活動するだけではなく、ワークショップでこのカードの力を最大限に引き出せる“ミラクルワード・ファシリテーター”自体を増やす必要があるのではないかと考えるようになりました。

そこで、この2年半の知見を共有し、ミラクルワードカードのファシリテーションをマスターできるセミナーを始めます。興味のある皆さんはぜひご参加ください。

まずは第1回セミナー(定員100人)を、11月9日に電通ホールで開催します。詳細、お申し込みは以下のURLから。

~電通Bチーム開発のアイデア発想メソッド~ミラクルワード ファシリテーションセミナー
https://school.jma.or.jp/products/detail.php?product_id=150821