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電通、「健康に働くための指標」を開発するため、全国1万人の会社員を対象とした調査を実施

2018/09/04

    9月4日に配信された電通ニュースリリース文面は以下の通りです。


    2018年9月4日

    ●健康に働くためのカギは、「睡眠」「雑談」「ちょっと幸せになれる習慣」
    ●調査結果をもとに、「健康に働くための指標」を開発

    株式会社電通(本社:東京都港区、社長:山本 敏博)は、会社で健康に働くためのカギを探り、健康に働くための指標を開発するため、多様な規模・業種の会社員を対象に「全国1万人会社員調査」(以下「本調査」)を実施しました。

    なお、調査にあたっては、社員や組織が健康であるためには、単に疾病の有無だけでなく、社員一人ひとりがイキイキと前向きに仕事や生活ができていることが重要であるという仮説に基づき、予防医学や働く人の健康づくりの専門家である石川 善樹氏(予防医学研究者)と西本 真寛氏(北里大学 特別研究員)の監修のもと、ポジティブ心理学の理論的な枠組みを用いて設計を行いました。

    本リリースでは、1.本調査で得られたイキイキと前向きに仕事や生活ができている状態(バイタリティの状態)に影響する3つの要素と、2. 調査結果をもとに、バイタリティの状態を自分自身で簡潔に測定できる10個の設問を独自開発し、バイタリティスコアとして指標化・可視化することで、一人ひとりの当社社員がそれを健康に働くためのバロメーターとして活用し始めたこと、の2点についてご紹介します。

    1.本調査で得られたバイタリティの状態に影響する3つの要素について

    社員や組織のバイタリティを左右する要素は、①「睡眠」②「雑談」③「ちょっと幸せになれる習慣」

    バイタリティを左右する要素を統計的手法を用いて分析した結果、社員や組織のバイタリティには、「睡眠」「雑談」「ちょっと幸せになれる習慣」(毎週、自分が幸せになれる活動をあらかじめ予定に組み込む習慣)という3つの要素が関係していることが分かりました。

    ①睡眠

    「睡眠」に関しては、8時間の平均睡眠時間が取れている人のバイタリティが最も高い結果となり、睡眠時間の確保がバイタリティと深く関係していることが分かりました。具体的には、一般的に最低限必要といわれる6時間睡眠を基準とし、平日の平均睡眠時間が6時間台の人のバイタリティの度合いを100とした場合に、4時間未満では16%もバイタリティの度合いが低くなり、最も高くなるのは8時間台で3%ほどバイタリティの度合いが高くなることが分かりました。一方で、平均睡眠時間が9時間以上になると、逆にバイタリティが下がる傾向にあるという興味深い発見がありました(図1参照)。

     <図1:バイタリティと「平日の平均睡眠時間」の関係>

    図1:バイタリティと「平日の平均睡眠時間」の関係
     

    また、平日と休日の起床時間のズレが大きいほどバイタリティは低く、ストレス度も高くなる傾向があることも分かりました。

    ②雑談

    「雑談」に関しては、「職場で雑談することがない」と答えた人のバイタリティの度合いを100とした場合に、あると答えた人のバイタリティの度合いは33%ほど高い数値となり、雑談がバイタリティの高さに関係していることが分かりました。業務効率化においては、不必要に思われがちな「雑談」が、バイタリティという視点においては、むしろ重要であるということが示唆されました(図2参照)。

     <図2:バイタリティと「職場の雑談」の関係>

    図2:バイタリティと「職場の雑談」の関係
     

    「プライベートの雑談」や「キャリアの雑談」など、雑談すること自体がバイタリティの高さと深く関係しており、「職場で笑う機会がある」や「職場でみんなでワイワイガヤガヤと話すことがある」といったこともバイタリティと強く関連していることが分かりました。

    ③ちょっと幸せになれる習慣

    「ちょっと幸せになれる習慣」については、「毎週の予定に、自分が幸せになれる活動を入れるようにしている」人は、それがない人に比べ、バイタリティの度合いが21%高いなど、少し先の楽しみをきちんと予定しておくことの有用性が示唆されました(図3参照)。

     <図3:バイタリティと「ちょっと幸せになれる習慣」の関係>

    図3:バイタリティと「ちょっと幸せになれる習慣」の関係
     

    なお、幸せになれる活動の具体例を自由回答で聞いたところ、「録画しているドラマを鑑賞する」「カフェで読書する」「お風呂上がりのオイルマッサージ」「友達と食事に行く」などの回答がありました。


    全国1万人会社員調査の概要
    ・調査時期:2018年3月2日(金)~3月5日(月)
    ・調査手法:インターネット調査
    ・調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト
    ・調査対象:
     
    全国男女20~60代 合計10,000名の会社員個人
     社員数50名以上の会社に所属
     平成26年経済センサス(総務庁統計局)に基づき社員数規模別×性別で割付

    2.バイタリティスコアの開発・導入について

    当社は、労働環境改革の一環として、社員が自分自身のバイタリティの状態を簡潔に測定できる仕組みを開発し、2018年7月から社内での運用を開始しています。

    仕組みはシンプルで、本調査の結果と学術的見解をもとに有用性が確認された以下の10個の設問に答えることで、バイタリティが可視化され、個人の「バイタリティノート」として蓄積されるようになっています。毎朝、社内イントラにログインするときに、1日1問をランダムに掲出し、6段階の顔絵文字からその日のバイタリティの状態を選択(図4参照)。継続して回答していくことで、当社社員は他者に個人を特定されることなく、自身のコンディションを把握できるようになります。

    なお、当社が独自に行った分析では、10個の設問の合計で測るバイタリティスコアと、「仕事のパフォーマンス」や「ストレス」の度合いには相関関係があることが判明しています。

     <バイタリティスコアを測定する10個の設問>
    睡眠】最近、睡眠状態はどうですか?
    笑顔】最近、笑っていますか?
    満足】最近、毎日の生活満足度は、どうですか?
    夢中】最近、仕事で夢中になることはありますか?
    思いやり】最近、職場で思いやりをもって接していますか?
    人間関係】最近、職場や仕事の人間関係は、どうですか?
    意義】最近、仕事のやりがいはありますか?
    成長実感】最近、仕事で自分の成長実感はありますか?
    責任達成】最近、仕事で自分の責任を果たせたと感じる機会はありますか?
    主体性】最近、自ら仕事を創り出していると思いますか?


    <図4:6段階の顔絵文字とバイタリティスコアのレーダーチャート・イメージ>

    図4:6段階の顔絵文字とバイタリティスコアのレーダーチャート・イメージ

    以上

    <参考>
    当社は、2018年4月16日付のリリースで、社員の毎日のコンディションを可視化する「バイタリティノート」のテスト導入と7月からの本格導入について公表していましたが、7月17日から順次全社導入が始まりました。バイタリティを左右する要因のひとつである「睡眠」については、睡眠の時間と質を客観的に把握するため、希望する社員に活動量計を貸与しており、現在約2,000名が利用しています。また「雑談」についても、それを促進する職場環境の設計と実験を行っています。「ちょっと幸せになれる習慣」については、現在トライアル導入中の「インプットホリデー」(休務日)と絡めて、社員個人が幸せを感じられるインプット習慣づくりの広がりを目指しています。

    電通ニュースリリース
    http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0904-009596.html