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「生活者がコントロールするマイデータの信託サービス」ビジネスフォーラムを開催

2018/12/10

    11月22日、日経電子版ビジネスフォーラム「『生活者がコントロールするマイデータの信託サービス』~その活用と価値~」(主催:日本経済新聞社 デジタル事業 広告・IDユニット 協賛:電通テック、マイデータ・インテリジェンス)が開催された。

    フォーラムの冒頭、マイデータ・インテリジェンスの石井尚二社長があいさつ。同社は、生活者の信託を受けてパーソナルデータを預かり、生活者、企業双方にとって価値の高いプラットフォームを構築、運用することを目的に9月に設立され、11月19日にマイデータ・バンク「MEY(ミー)」をリリースしたと説明した。

    個人情報の利活用について「この領域をもう一歩進めるためには、生活者の理解や協力が不可欠。コストバリュー、エクスペリエンスバリュー、プラットフォームバリューの三つについて理解を深め、特に当社はプラットフォームバリューに着目して生活者、企業の双方が利する流通プラットフォームを提供したいと考えている。今回のフォーラムを通じてさらに見識を深め、生活者、企業にとって何が最良なのかを考えたい」と語った。

    内閣官房情報通信技術総合戦略室(IT総合戦略室)内閣参事官の吉田宏平氏は「利用者中心のデータ活用の促進に向けて」と題した基調講演を行い、PDS(パーソナルデータストア)や情報銀行、データ取引市場について政府内で重ねてきた議論について解説。

    吉田氏は「個人情報保護法の中での個人データの第三者提供への同意をどう考えるのかポイントだった。PDSはシステムを利用して個人がデータを管理するものなので、本人が同意をすれば第三者提供ができ、情報銀行は本人が包括同意をしていれば第三者提供できるという定義になっている。利用者の利便向上のためにどうすべきかを考え、生活者が管理するデータの活用を日本の産業競争力の向上につなげていきたい。個人情報の利活用は、難しい領域で、政府としては環境整備にあらゆる手を尽くしていきたい」と述べ、政府内の今後の主な検討スケジュールについて説明を行った。

    吉田氏
    吉田宏平氏(内閣官房情報通信技術総合戦略室)

    続いて、東京大大学院情報学環の副学環長・教授でユビキタス情報社会基盤研究センター長の越塚登氏が登壇し、「AI・IoTの社会実装に不可欠なデータ流通」と題した講演を行った。

    越塚氏は、日本の情報通信分野のこれまでの背景を説明。現在、世界のICT情報通信は極めて重要な時期を迎えており、歴史的な岐路に立っていると話した。

    「個人データだけでなく、オープンデータ、産業データ、個人データの三つを包括して考えることが重要だ。個人データについては、自分に関する全てのデータは自分で制御できるという考えがベースにある。極端に言えば、それは基本的人権の一つと考えられる。しかし、自分で制御することは日本の全国民ができることではない。何らかの考え方を支援するツールが必要であり、そのために出てきたのがPDS。公的なサービスをつくる上でも、政府主導のPDSの構築が重要だと考えている」と語った。

    また、講演の最後に、研究開発したばかりのパーソナルデータを活用したサービス事例を紹介。スマートメーターを活用し、不在予測を行うことで不在配達を減少させ、配達ルートにも表示されないので、プライバシー保護にもつながるというメリットを解説した。

    越塚氏
    越塚登氏(東京大大学院情報学環)

    この他、有識者による講演&ディスカッション「持続的な企業活動を支えるマイデータ流通とテクノロジー」やパネルディスカッション「ユーザーと産業がシンクロする情報銀行の期待と課題」などが行われた。

    マイデータ・インテリジェンス ニュースリリース
    https://www.mydata-intelligence.co.jp/news/2018/11/20181119_01.html

    電通テック ニュースリリース
    https://www.dentsutec.co.jp/news/2018/20181119/