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「Space Food X」始動
世界初の宇宙食料マーケット創出を目指す

2019/04/01

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)、リアルテックファンド、シグマクシスは3月27日、世界初の宇宙食料マーケット共創イニシアチブ「Space Food X」始動の発表を東京・日本橋で行い、月面での食料地産地消を想定した「月面の食卓1.0」を日本で初披露した。

    「Space Food X」は、JAXAの共創型研究開発プログラム「宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC)の取り組みの一環。宇宙および地球上の食料生産・供給に関する課題解決とマーケットの早期創出、さらに日本発の優れたプロダクト・サービスのシェア獲得を目的とした、産学官の有機的な連携を促進するプログラムだ。食、市場、宇宙などに関連する約30の企業が参画している。
    電通は「市場創出・事業化推進・モメンタム形成」の分野で、マーケティング支援企業として参加する。

    Space Food X代表の小正瑞季氏(リアルテックファンド 業務執行役グロースマネージャー)は、「2040年には、月に1000人の人間が住むといわれ、宇宙で暮らすことが現実になりつつある。それに伴い、宇宙×食のジャンルが必要になる。数千億円規模の市場になる可能性もあり、マーケットのポテンシャルとしても非常に優れている」とし、「世界有数の豊かな食文化を持つ日本の強みが生かせるだろう。宇宙のみならず地球でも役立つ数々の課題解決策を生み出し、人類が幸せに生き続けられる世の中をつくっていきたい」と、抱負を語った。

    (左)小正氏「皆で共創し宇宙・地球の課題解決につなげたい」
    (中)田中氏「食の進化の一翼を担えることを楽しみにしている」
    (右)菊地氏「異なるプレーヤーの共創により、日本らしい未来の創り方に挑戦したい」
     

    副代表の田中宏隆氏(シグマクシス ディレクター・Smart Kitchen Summit Japan主催)は「食のイノベーション提案に関するカンファレンス、コミュニティーが急増し、世界中がつながってきている。また多種多様な業界・企業が『食』の領域に関心を示している。一方で、食事に対する不満を抱える人の割合は3~4割に達するといわれ、彼らのさまざまな要求に対応できていないのが現状だ。その中で、業界を超えて新しいモノを生み出すのは大いなるビジネス、そして社会課題解決の可能性を秘めている」と述べた。

    副代表の菊池優太氏(JAXA 新事業促進部・J-SPARCプロデューサー)は「宇宙を使ってどんな価値を世に届けるかを常に考えてきた。宇宙食が時代と共に変化を遂げる中、今や“月産月消”の食品作りも視野に入ってきた。日常の食卓で食べたくなるモノを作りたい。これからは日本が宇宙の『おいしい』を作る時代だ。日本の食文化の強みを生かしながら、宇宙でのチャレンジ、さらには食・人・地球の未来を豊かにしたい」と語った。

    その後、2040年の月面の食卓を具現化した「月面の食卓1.0」が初披露された。月面での地産地消食材を想定したもので、3Dフードプリンターを使った寿司や、水耕栽培の野菜のサラダ、培養肉のステーキなど、7種のメニューが並んだ。

    メニュー作成に携わった、料理人で未来食研究家の桑名広行氏は「大きなコンセプトは、閉鎖的な宇宙空間において必要不可欠な『サーキュレーション』(循環)だ。これまで積み上げてきたもの、新たに実装されるものが双方向に還元し合い、大きな流れの中で循環することを意図した料理構成になっている」とした上で、「普段使っている調味料が、月面では生成できないので使えず苦労した。一方、月面上で自分がお客さまに料理を出すと想像しながら作るのは非常にワクワクした」と語った。
    「Space Food X」は、当面の活動期間を2020年3月31日までとしている。

    公式サイト:spacefood-x.com/