「Commerce Marketing Conference―顧客体験(CX)がブランドの価値を変える」
が開催。Vol.6
2019/10/02
7月29日、電通ホールで開催された「Commerce Marketing Conference―顧客体験(CX)がブランドの価値を変える」。最終回となる今回は、その第6部の模様を紹介する。
第6部:
「ブランドマーケターがいま、コマースに注目する理由」
【講演者】
今井 新 氏
株式会社I-ne 取締役 ブランディング本部長
篠崎 有平 氏
サントリーコミュニケーションズ株式会社 部長
藤井 崇雅 氏
フィリップス(Koninklijke Philips N.V.)コンシューマーマーケティングマネージャー
本カンファレンスの最後のセッションとなる第6部にはI-ne、サントリーコミュニケーションズ、フィリップスの3社のマーケターが登壇。オンラインを中心としたメーカーのコマース戦略について、各社の取り組みをもとに議論を交わした。
オフラインの販売チャネルが強く、近年オンラインでの販売にも力を入れるサントリーコミュニケーションズ、もともとオンラインの販売チャネルを起点とする「BOTANIST」ブランドの成功で成長を遂げ、最近は実店舗を構えるなどオフラインでの販売にも力を入れるI-neと、まさにコマースマーケティング戦略において、真逆からのアプローチをとる2社の課題は、大きく異なる。とはいえ、両社とも消費者の生活空間がデジタルシフトする中、オンラインもそしてオフラインも融合したコマース戦略が必要であるとの考えで一致していた。
I-neの今井氏から語られたのは「現代の生活者はリアルとデジタルの二つの世界で生きているので、常に両面に露出するコミュニケーション施策を考えている」との戦略。同社は「BOTANIST」ブランドで、東京・原宿にカフェも併設した旗艦店「BOTANIST Tokyo」もオープンしている。SNSの活用も積極的な同社だが、リアルの場でのブランド体験があってこそ、お客さまのブランドに対するロイヤルティーも高まるとの考えがあってのことだという。
サントリーコミュニケーションズの篠崎氏からは「ECの伸びは大きいが、それでも当社においてはオンラインの販路での売り上げが多くを占める。そこでECについてはブランディングや、新たな消費者調査の場としての活用など、売り上げ以外の効果が期待できるような施策が必要と考えている」との考えが示された。メーカーの場合、オフラインのチャネルでの販売では、実際の購入者が把握しづらい。ECのデータをもとに、顧客像をより深掘りできるのではないか、とも考えているという。
もともとはフィリップスの日本オフィスでブランドマーケターとして活躍し、現在はオランダ・アムステルダムにある本社に所属するフィリップスの藤井氏からは、グローバル企業におけるコマースマーケティング戦略の最先端が紹介された。
「プラットフォーマーとの付き合いに関してはプライス重視のリテーラー、商品の魅力をしっかりと説明して売ってくれるリテーラーとそれぞれの特性を見極め、展開する商品を分けている。また各プラットフォーマーに合わせた独自の商品開発も行っている」と話し、プロモーションのみならず、より川上の商品開発にまでECの影響が及んでいる状況が示された。また、フィリップスではIoT家電など、消費者と直接につながることのできる商品・サービスの開発にも力を入れていると言い、ここでもデータの分析が戦略の成否を分けるとの見方が提示された。