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中2な献立で泣けた話

アクティブラーニングこんなのどうだろうレポートNo.12

2019/09/25

中2な献立で泣けた話

アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所って?

2015年に設立した変な名前の「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」。今までに全国の学校・企業・自治体と、さまざまな教育コンテンツの開発を行ってきました。学校現場とのコラボでは、授業コンテンツを一方的に提供するのではなく、その学校、そのクラスが一番「アクティブ」になる形を教育のプロである先生方と模索。毎回オリジナルな方法とドラマが生まれています。今回担当した研究員・舘林恵がその模様をレポートします。

ややこしい年頃の中学2年生

「中2病」という言葉もあるくらい、思春期の中学生は悩みやコンプレックスが多い季節。皆さんはどうでしたか?(ちなみに私は暗黒でした)。今回、多感なまさに中学2年生を受け持つ先生から、私たち研究所に問い合わせがあり、一緒に授業をつくっていくことになりました。その結果、不思議なことが…。

「正解がない問題を考えるのは楽しい」と思える授業をつくりたい

コラボすることになったのは、大阪にある進学校「初芝富田林中学校」。国語担当の前中マリヤ先生は言います。「中学生は子どもと大人の過渡期。進路もその他いろいろな問題も、まだまだ大人の答えに頼ってしまう。自分が出した答えに自信が持ちづらい」。そんな子たちのために「探究」の授業の一環として「正解のない授業」づくりがスタート。考えるに当たり、ルールを設定しました。

中でも重要だと思っているのが⑤現実の問題に取り組む、ということ。私たち研究所が今までいろいろな授業を開発してきた経験上、架空の問題は生徒が本気にならなくて、学びが薄くなりがちな傾向がありました。アクティブラーニングを汎用的な学びと解釈するなら、身の周りにある実際の問題に取り組むことが大事だと思うんです。


現実の問題=困っている誰かを助けること

実際の問題とは、リアルに困っている人が存在する問題。「この人のために解決したい」と思える問題であることが本気につながります。なので今回、生徒にとって身近な人…前中先生自身が困っていることの中から、授業のテーマを考えることに。

眠れないほど熱中して前中先生が考えたという授業テーマ案を持って、次の打ち合わせが始まりました。でもそのテーマはどれもちょっと固い内容。もうちょっと楽しくゆるくできるのがないかなあ…と、授業のテーマを話し合っていた時でした。

「毎日の献立、困ってるんですよね…」ポロッと先生が漏らした一言。それこそ、先生が本当に困ってる問題!いいですね。しかも先生が家でつくれば、フィードバックもできる。てことで、授業テーマが決定!「え?そんなんで、いいんですかね(笑)」と先生は最初戸惑っていましたが、これで授業を組み立てていきました。


「うちの晩ご飯の献立を考えてください」

数日後、いよいよ授業がスタート。生徒たちにお願いした、先生作のオリエンテーションシートの内容はこちら。

この情報をもとに早速、生徒たちはグループごとにレシピのアイデア出しを開始しました。

先生にインタビューしたり、家の人に簡単レシピを聞いたり、本で調べたり。そうして持ち寄ったアイデアにコンセプトやタイトルをつけてプレゼンシートを制作。数日後、「前中家の1週間の献立プレゼン大会」が行われました。

先生、まさかの号泣

生徒たちが考えた献立は、ダイエット中の前中先生の旦那さんを気遣ったヘルシー料理、夏の旬を意識したもの、庶民性をアピールしたもの、時短を意識したものなど、ユニークな献立がいっぱい。中でも「電気を消してラブラブ♡チーズフォンデュ」は大笑いが起きました。新婚時代を思い出してほしいという粋な計らいだそう(笑)。

↑時間に余裕のある日曜は、電気を消してラブラブすること(笑)
↑ダイエット中の旦那さん向けに、金曜は汗を流す激辛カレー。

それぞれの思いが詰まった献立に、先生は感激してまさかの号泣。何度も生徒たちに感謝の言葉を伝えていました。そんな先生を驚きながらじっと見つめていた生徒たちは、うれしいような恥ずかしいような。満足げで優しい顔になっているのが印象的でした。

その人の役に立った喜び

困っている誰かを助けるために考える。その誰かに喜んでもらえた手応え。それって小さくても本質的な学びや気付きにつながるんだと、この授業を見ながら改めて感じました。そして今回は、どんなに小さくても先生自身がオリジナルで考えたリアル課題で授業をやるのにこだわったことで、アクティブな授業ができたんだと思います。


先生の中にあった当たり前が壊れた

涙の授業後、赤い目をした先生は今回の授業を振り返りながら、こう言葉にしています。「正解のない問題を考える楽しさと難しさを体験できた。正直、生徒たちがここまで真剣に考えてくれると思わなかった。でもそれって生徒が変わったんじゃなくて、元々持っていた力だったのだなと。一番変わったのは、私自身かもしれません」と。

先生は、普段広告づくりをしているわれわれとのコラボを通して、「自分が教えることは、生徒が分かって当たり前」という無意識のスタンスがあったことに気付いたそう。

広告は無視される前提で、伝わるために工夫する。その考えを授業にも取り入れて、興味を持ってもらうためにハードルを下げることや、楽しめる要素を大事にしながら、授業づくりに向き合うようになったそうです。


ちょっと不思議なことが起こってませんか?

こうして授業を振り返ってみると、ただ「いい授業ができたなぁ」以上に、少し不思議なことが起こったと思うんですがどうでしょうか。いわゆる、いい授業になった時、その授業を提供した先生が、生徒から「感謝される」のが一般的なのでは。でも今回は、その先生が生徒たちに逆に、「感謝している」わけです。それだけじゃなくて感激して号泣までしている。これってなかなかないことだと思います。


提供する側も受け取る側も感謝し合える

授業に限らず、仕事に置き換えてみると。自分が頑張ってある仕事(価値)を提供した上に、むしろ自分が「ありがとう」と感謝したくなるような仕事って、すごく幸せな仕事の在り方だと思うんです。自分が何かを提供する。それを相手が受け取る。喜んでもらえる。その両者が相互に「ありがとう」を言い合える授業。仕事。価値。
こんな、ちょっと不思議でハッピーな形の「こんなのどうだろう」を増やすお手伝いを続けていきたいと、改めて強く思ったコラボになりました。

では最後に、生徒たちの献立を実際に先生が家でつくった美味しそうな写真をご覧ください!

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