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【続】ろーかる・ぐるぐるNo.165

過激な仕事術が、組織を変える

2019/09/12

風景

ことしの夏休みは、大学の後輩に招かれてアメリカへ。海と山に恵まれたニューヨーク郊外、スタンフォードで過ごしました。

中でも思い出深いのが、そこから3日連続で全米オープンテニス大会会場へ出掛けたこと。一流のプレーヤーがあと一歩、もう一歩を惜しまずボールを拾い続ける「そこまでやるか!」な姿が印象的でした。実際、そんなちょっとの差で会場の雰囲気や試合の流れが変わるのです。1、2回戦の多くはコートのすぐ脇から観戦できるので、特に迫力を感じました。

ホットドッグ

さて、一般的に社内で「内勤」 と言われるマーケターやクリエーターは、それぞれに個性のある芸人か役者のようなもので、各プロジェクトの求めるところに従って、ビジネスプロデューサーからブッキングされるのを待ちます。ぼくの場合、昔から「山田は劇薬だからなぁ…」と言われることが、まぁ個性といえば個性でしょうか。

もちろんシンプルに広告キャンペーンの制作に集中することもありますが、しばしばその範疇を超えて「そもそも商品はこれでいいのだろうか?」「そもそも、この企業が約束する価値は何だろうか?」といったことにまで顔を突っ込むので、そんな風に言われるのでしょう。

劇薬の仕事術
『マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術 』(足立光著、ダイヤモンド社)

…なんて思っていたら、『「劇薬」の仕事術』(ダイヤモンド社)という本に出合いました。著者は数々の企業で圧倒的な成果を生んでいるマーケターの足立光さん。そこには、こんな記述がありました。

「ひどい症状の会社を劇的に治すには、劇薬がいるのです。ただし、健康な会社には劇薬は必要ありません」

しかし、この本で紹介されている足立さんのお仕事それ自体は、「劇薬」という言葉から受ける印象とは違い、きわめて真っ当なものです。

例えば売り上げが低迷していたマクドナルドでは、ディスカウントして目先の売り上げをつくりたいという意識と戦ったり。プロモーションの重心を期間限定品から事業収益の根幹を支えるレギュラー品に切り替える施策をしたり。そして、それをいかに「話題」にするか考え抜き、実施後は必ずPDCAを回したり。どれもいま振り返ると「そりゃ、そうだよね」と納得がいくものばかりです。

一方、そのお仕事の進め方は、かなり強烈です。例えば大雪が降る日は一生忘れられない人間関係をつくるチャンスなので、あえて夜の街に繰り出すそうです。あるいは、仲間にも本社にも遠慮することなく自分が正しいと思うこと「だけ」実行したといいます。

考えてみれば、いま見ると真っ当な打ち手も、きっと当時は「目先の数字をつくらないと、ヤバいよ!」「特にニュースもないレギュラー品で、どうやってプロモーションをするんですか?」「PDCAを回すヒマなんて、ありません」などなど、凄まじい逆風にさらされたはずです。それを跳ね返す「そこまでやるか!」な生々しいプロセスこそ、実務家である足立さんが書いたこの本の、最大の読みどころです。

そんな「劇薬の先輩」の姿を見るにつけ、ぼくももっと「批判を恐れぬ覚悟」を持たなければならないと気が引き締まるのでした。

ステーキ

そういえば、この夏休み。フュージョン料理や南米料理もよかったのですが、やっぱり肉厚なステーキは外せません。滞在中、3回も食べたのは我ながらやりすぎでしたが、その時外せないのが「クリームドスピナッチ(ほうれん草の付け合わせ)」。かの国のそれは、バターとクリームが「そこまでやるか!」と入っているのが魅力。旨みたっぷりの肉塊に、ソース代わりのこれを乗せて頬張ったら、嗚呼!!

付け合わせ


どうぞ、召し上がれ!

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