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100年企業を目指して、新たな価値をCRAZYにつくり続ける

電通ビジネスデザインスクエアのこんな未来どうでしょう。No.3

2019/09/13

100年企業を目指して、新たな価値をCRAZYにつくり続ける

「人を想いつづける」を企業理念に、日用品、薬品、食品と三つの事業を展開するクラシエ。社名変更から10年の2017年7月にはビジョン「CRAZY KRACIE」を掲げ、未知との遭遇や新しい発想によって変化に適応し、新しい価値を創造し続ける企業を目指しています。同社の岩倉昌弘社長は、これからどんな未来を創造していきたいと考えているのでしょうか。

電通ビジネスデザインスクエア(以下、BDS)のメンバーが、パートナー企業と行う未来創造の現場を紹介する本連載。今回は、岩倉氏とBDSプランナーの吉田将英が推進する、社内風土改革や先駆的事例創造の共創プロジェクト「CRAZY創造部」のことや、今後クラシエが目指すビジョンについて語りました。

岩倉昌弘氏と吉田将英氏
クラシエホールディングス岩倉昌弘氏(左)と電通BDS吉田将英氏

CRAZYの正体とは?自分で考えるからこそ同じ目標に向かっていける

吉田:僕が岩倉社長に初めてお会いしたのは一昨年、まだ専務でいらっしゃったときでした。ごあいさつに伺った翌日に社長就任が発表されてとても驚きましたが、前日にお会いできたのも何かのご縁だと感じていました(笑)。僕らには、どのような印象を持たれましたか?

岩倉:経営立て直しの時期を経て、やっと普通の会社になりましたが、それは「あくまでスタートラインに立ったということだ」と思っている時期でした。BDSには、いわゆる広告会社とは違ういろんな人材が集まっている。勝手ながら、「これまで電通に抱いていたイメージと全く違って面白い」と思いました。

それと、経営コンサルティング会社の場合は目指すべきゴールを初めからコンサルの方が持っていて、そこに行くためにどうするかを探りながら進むスタイルが多いと思います。しかし、皆さんからは「一緒に考えましょう」という言葉を頂きました。その言葉にすごく惹かれましたね。

岩倉氏

吉田:僕らの造語で“Sherparing”という言葉があります。シェルパというのは、登山をするときに同行する現地の人を意味していますが、シェルパは登頂したことがある人とは限らないそうで、エベレストに人類が初めて登頂したときには言うまでもなく、シェルパも初めてだったという話があります。

「僕らは登ったことがあるから連れて行ってあげますよ」ということではなく、「実は僕らも登ったことがないのですが、だからこそ一緒に考えませんか?」というスタンスをこの言葉に込めています。

岩倉:それから、「CRAZY創造部」を立ち上げていよいよスタートするときに、皆さんが紹介してくれたコラボレーションパートナーが、全くわれわれの発想になかった企業や団体、あるいは個人の方だったことも印象的でした。

「他の会社が今どんな方向を向いているか」という話も、面白かったですね。クラシエとは違う考え方を皆さんから聞いて、目からウロコでした。

吉田:僕は、ビジョンを「CRAZY KRACIE」にした当時、CRAZYの正体をあえて社長の口から言わないようにされていて、混乱期と呼んでいたのが印象に残っています。それには、どんな意図があったのでしょうか?

岩倉:社長に就任した当時、「圧倒的当事者意識」という方針を掲げました。当事者意識を持つためにも、「CRAZYって何なんだ?」と社内で議論して自分なりの答えを見つけてもらいたいと思ったんです。その過程があることで、やっと自分の腹に落ちて、同じ目標に向かっていけると考えています。先に私が答えを言ってしまったら、それが正解となってしまい、自分で考えなくなってしまいます。

CRAZYは「新しい価値を創造し続ける」状態が、社員一人一人が考え、行動することで生まれることを伝える言葉として選んだのですが、いろんな解釈があって面白かったです。事業ごとに捉え方も違ったりしていましたが、全体感は外れていませんでした。

吉田:情報は簡単に探せるし、論説やロジックを切り張りしてもなんとなく話はできてしまいますが、だからこそ、一回自分を通して煎じ詰めて、自分はどう思ったか?どう考えたのか?ということが重要ですよね。

今は、情報が多すぎて、自分がおいしいと思ったものが食べログで点数が低かったら不安になってしまう。それはある種、客観偏重すぎて主観をうまく使えなくなっている状況ともいえます。しかし、一方で楽しいとかワクワクするという感覚ってド主観ですよね。自分がどうしたいのかという、ド主観をビジネスにおいても使っていこうという意思を感じました。

「MiX」がキーワード。交わることで新たな価値が生まれる

吉田:クラシエは「MiX」をキーワードに掲げていますが、世の中の流れ的にも脱自前主義とかオープンだとかよく言われていますよね。

岩倉:多くの企業が自前主義に限界を感じているように思います。専門性は長所でもあり、短所でもある。専門性を高めても付加価値は高まってこないんですよね。

付加価値をつくるには自分たちとは違うところと組んで、価値を生むしかないと思い、「MiX」しましょう、外に出ていきましょうと言っています。

吉田:他社と「MiX」して交わっていく中でも、ここは譲ってはいけないというクラシエらしさはどこにあるとお考えですか?

吉田氏

岩倉:経営理念である「人を想いつづける」、これさえ外さなければ、いいと考えています。品質面でもサービスでも絶対に期待値を裏切らないこと。クラシエで働く社員を想いつづけて、商品を使うお客さまを想いつづける。それだけですね。

吉田:その例えで「クラシエで車をつくったっていい」っておっしゃっていたのをよく覚えています。僕はよく「行き先と在り方」という話をするのですが、どこに向かっていくのか、社会をどうしたいのか、というのが「行き先」だとすると、ここに行くためにどんな船にしていくのかというのが「在り方」だと考えていて。ちょっと様子がおかしくなっている会社は、「行き先」が分からないのに「在り方」にこだわっていることが多くあります。

会社のルールや、過去の実績、前例などももちろんある程度は大事かもしれない。でも、そもそもそれらは何のためのルールや前例なのか、というと案外答えられなかったりもします。行き先をみんなで共有していれば、どんな船を使ってもいい、在り方は自由ということは、われわれBDSとしても大事にしていることです。

社外との「MiX」も重要ですが、社内を「MiX」させることも大事ですよね。

岩倉:当社の場合、日用品、薬品、食品と近い業界で業種がまたがっているのに、交わる機会は少ないように思ったので、この三つの事業を混ぜる試みは実施しています。研究所長会議や工場長会議を一緒に行うなどノウハウを共有する機会をつくっていて、徐々に浸透しつつあるという状況です。しかし、事業間の壁は、会社が危機的な状態のときには下がり、安定すると高くなってくるのを感じます。

吉田:そういった状況を打破するために、クラシエは横断連携を目的としたどの事業会社にも属さない特殊部隊、「CRAZY創造部」をつくっています。僕たちも「CRAZY創造部」と連携しながら、どんどん混ぜっ返しのきっかけをつくっていければと思っています。

世の中の役に立つことをやり続けるために、100年企業を目指す

吉田:「外に出ていこう」という中で、クラシエという会社の輪郭や、会社の未来はこれからどうなっていくのでしょうか。

対談風景

岩倉:会社がなぜ100年続くのかというと、そこに社員の想いがあるからだと思います。企業理念がど真ん中にあり、その想いがあるからこそ良いものを長く提供できる。私が「100年企業を目指す」と言っているのは、そういう組織体でないと、世の中のためになることをやり続けることができない、と思うからです。

100年後のクラシエは今とは全く違う事業をやっているかもしれません。ただ「人を想いつづける」という理念に関与したいろんなサービスや商品があって、常に期待を裏切らない良いものを提供している。迷ったときにはクラシエの商品を選びたいと思ってもらえるような会社になっているといいですね。

吉田:暮らしは人間が生きている限りなくなりません。クラシエは暮らしの会社で、「人を想いつづける」という背骨の部分が揺るがなければアウトプットはいろいろ変わっていってもいい、ということですね。これからも驚きのある良いものを、CRAZYにつくり続けていきましょう。

電通ビジネスデザインスクエア WEBサイト
http://www.dentsu-bds.com/