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「○○ランキング1位!」美容系商材のランキングバッジ効果を徹底解明No.2

ランキングバッジは、誰にどんなケースで効果を発揮するのか?

2019/09/24

ランキングバッジには、「○○サイトで売上1位!」などの順位を表示するものと、「○○グランプリ」のようなメディアが独自に選定する賞を表示するもの、大きく2種類があります。

電通デジタルと電通は共同で、13の美容系メディアの名を冠したランキングバッジについて、4カテゴリー、12アイテム(※)のビューティーケア商材に対する効果を検証すべく、生活者調査を実施。美容意識も同時に聴取した貴重なデータベースになっています。

今回は調査結果を踏まえ、ランキングバッジについて、「そもそも購買に影響を与えるのか?」という視点から考察を始めます。続けて、世代別、買い方別、メディア別、効果の種類別、購入場所や美容感度別など、さまざまな切り口で「ランキングバッジ効果論」の概要を多角的にレポートし、プランニングメソッドとしての活用の可能性にも触れます。

※4カテゴリーは、ヘアケア、フェイスケア、フェイスメイク、その他(ボディケアなど)。12アイテムは、カラーリング剤、シャンプー・コンディショナー・リンス、スタイリング剤、クレンジング・洗顔料、基礎化粧品、美容マスク・シート、パーツケア、メイクアップアイテム、ベースメイク、ボディクリーム・ボディローション、ハンドクリーム・フットクリーム、日焼け止め・UVケア。
 

ランキングバッジが商品購入のきっかけや決め手になる人は、約5割

「店頭で見かけるランキングバッジは、購買に本当に寄与しているのか?」

過去にこうした調査がほとんどなかったこともあり、本調査で最も究明したいポイントがこのことでした。

結論からいえば、いずれの商品カテゴリーでも、約5割の人が、ランキングバッジについて「商品購入のきっかけになった」と回答。さらに4~5割の人が「商品購入の決め手になった」と答えています。

生活者が接する情報量が日々増加し、多チャンネル化している中で、5割というのは非常に高い数字といえるでしょう。

さらに興味深いのは、世代別、買い方別、メディア別の各特徴です。

●世代別の傾向

ビューティーケア商材の消費行動が活発な18~29歳の若年層で、ランキングバッジが支持される傾向が強く出ました。ネットで活発に情報収集を行う傾向にある若年層が、店頭のランキングバッジに強く反応することは驚きでした。

ランキングバッジ反応グラフ

年代別ランキングバッジ評価。調査人数:18~29歳は323人、30~39歳は522人、40~49歳は683人、50~59歳は599人。

●買い方別の傾向

特にフェイスメイクとフェイスケアの領域で、「リピート購入者」よりも「都度購入者」の方が、ランキングバッジを支持する傾向が強く出ています。このことから、定期的に購入商品を変えているような生活者に対し、新しい商品を手に取ってみるきっかけとして、ランキングバッジが機能していると推察されます。

購入者グラフ

ランキングバッジポジティブ層(TOP3)とネガティブ層(BOTTOM4)の化粧品の買い方の違い(フェイスメイクカテゴリー)。スコアは、ランキングバッジポジティブ層の数値(%)-ネガティブ層の数値。

●メディア別の傾向

ランキングバッジのメディア別の認知率と信頼率の調査では、調査対象の13のメディアごとにはっきりと差が出ました。認知率においては、「ECサイトB」と「美容口コミサイトA」が65%を超えています。「美容口コミサイトA」は認知率に加えて信頼率も高く、メディアのパワーを如実に示す結果となりました。

単に知られているか否かという認知率のスコアだけでなく、信頼率とのギャップに着目すると、その差が総じて小さいのは「ビューティー誌」でした。雑誌由来の美容系メディアはおおむねこの傾向にあり、リーチだけでは語れない美容誌の権威を証明する結果といえそうです。

メディア別グラフ

ランキングバッジには、五つの効果がある!

調査結果から、ランキングバッジの効果を以下の五つに分類することができました。

5つの効果

この類型化された五つの効果に関して、商材やメディア別の特徴を見てみましょう。

・商品への関心を引き出す効果が高いのは、調査した全商材において「美容口コミサイト」がトップ。メディア自体が広く認知され、美容関連の情報源として高い信頼率を持つため、多くの人の興味関心を引くきっかけになっていると考えられる。

・ランキングバッジによって商品自体が良く見えるのは、「海外ファッション誌」。世界的に権威のある海外メディアが持つハイセンスな印象が、商品自体にも影響を及ぼしていると考えられる。

・「〇〇グランプリ」といった、ランキングバッジの受賞内容の表記について興味を持つのは、「美容口コミサイト」がここでも多い。他に、「ハンド・フットケア商材」「UVケア商材」は「ECサイト」、一部「フェイスケア商材」「ヘアケア商材」で「ビューティー誌」も貢献する傾向がある。その理由は、ECサイトは、購買に近い場所での人気や実際に売れているというファクトから、ビューティー誌においては編集部などのお墨付きが何なのか?といった興味の視点から、受賞内容自体に興味がいくものと考えらえる。

・購入の後押しになるのは、「美容口コミサイト」のランキングバッジ。利用者の評価とともにランキングバッジが掲出されていることが、商品への興味を喚起していると考えられる。

・商品の新しさや話題性を強める効果は、商材によってメディアが分散する傾向にある。ヘアケア、フェイスケア、フェイスメイク商材ではおおむね「ネット情報ポータル」「国内ファッション誌」が健闘している。ネット情報ポータルやファッション誌は、他美容系メディアほどの専門性を持たない分、相対的に美容意識がさほど高くない中で接触するためか、かえって新たな出合いを与えてくれるものとして評価されている可能性がある。

「美容口コミサイト」は、総じて影響力があるという結果になりましたが、上述通り、効果の種類を分解して観察していくと、メディアごとに違ったポイントに強みがあることが読み取れる形となりました。

ランキングバッジの効果は、消費者の美容感度や購入場所で違いが出るのか?

次に、「美容感度別」「購入場所別」の傾向を見てみましょう。

●美容感度別の傾向

「美容感度が高い層」に対してランキングバッジの効果が強く発揮されるのは、以下の商材です。

・スタイリング剤
・クレンジング剤
・基礎化粧品
・美容マスク・シート
・メイクアップアイテム
・ボディクリーム・ローション
・日焼け止め・UVケアなど

一方、
・カラーリング剤
・シャンプー・コンディショナー・リンス
・パーツケア
・ベースメイク
・ハンドクリーム・フットクリームなどは特徴がさほど見られませんでした。

メイクアップアイテムやスタイリング剤などは、美容感度が高い人ほどこだわりが強く出る傾向が考えられます。こだわりの強い人は同一カテゴリーの中で違うアイテムを複数所有し、使い分けるケースもあるので、ランキングバッジの効果が特徴的に出やすいと考えられます。

●購入場所別の傾向

「ボディケア」以外では、ほとんどの商材がドラッグストアにおいてランキングバッジが信頼されていました。バラエティショップ、スーパー、コンビニも、低価格帯商品を中心に多くの商材で信頼されています。

一方でデパートでの購買者が信頼しているのは、ほとんどが「美容部員の話」です。ただし、シャンプーやスタイリング剤、ハンドケア、フットケア商材などを購入する際はランキングバッジが重宝されているようです。

購入場所別表

ランキングバッジは、第三者の声や専門家の情報とセットで効果が強まる

今回の調査結果を分析することで、ランキングバッジに強く反応する人が、他にどんな情報源を信頼し参考にしているのかも把握できます。例えば、フェイスケア、フェイスメイクにおいては、「口コミを含むウェブ関連情報+店頭情報+ランキングバッジ」という情報収集の形が見えてきます。

具体的には、以下のような情報源を参照しています。

・フェイスケア…「美容コスメ口コミサイト」「店頭POP」「SNSアカウント」「口コミ投稿サイト・ECサイト」

・フェイスメイク…「美容口コミサイト」「店頭POP」「影響力のあるYouTuber」「ネット情報」「ネット系口コミ情報」「店舗系情報」

美容感度のパートでも述べたように、口コミなどの第三者情報や、より詳細な情報を探索する人に対して、セットでランキングバッジの情報がリーチすると効果が出やすいと推察されます。

最後に、今回得た膨大な調査データにより、さまざまな切り口からコミュニケーションを俯瞰して眺めることが可能になりました。例えば「メディア○○のランキングバッジを認知・信頼している人で、美容感度が高く、○○商材を定期的に購入している人は、購買に至るまでの時間軸で、どんな情報入手の特徴があるのか」といった検証も、場合によっては可能です。

コミュニケーションと販売、双方のチャネルがマルチに複雑化する現在にあって、少なくともランキングバッジという一つの情報に関しては有意義な情報を得たことで、今後のビューティーケア商材のコミュニケーションが一歩ずつ進化していく一助となれば幸いです。

調査結果に関するお問い合わせ先:電通デジタルap4@dentsudigital.co.jp 

<調査概要>
・調査方法:インターネット調査(スクリーニング調査+ 本調査)
・調査地域:全国
・対象者:女性18~59歳 ビューティーケア商品ユーザー(過去6カ月以内購入者をスクリーニング調査から判定)
 ※広告会社・市場調査・コンサルティングや、化粧品メーカー勤務者は調査対象者から除外。
・有効回収数:スクリーニング調査19,968ss、本調査有効回収数:2,127ss
・調査期間:スクリーニング調査2018年12月14~17日、本調査2018年12月21~25日
・提示物:ランキングバッジ画像13枚