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世界最難関!ミネルバ大の学生が考案。 チェスで悩み解決?惨めなアイデア発想法?

電通BチームのオルタナティブアプローチNo.10

2019/10/21

世界最難関!ミネルバ大の学生が考案。
チェスで悩み解決?惨めなアイデア発想法?

この夏、世界最難関ミネルバ大学からインターン生2人がやってきた!

みなさん突然ですが、最近話題のミネルバ大学ってご存知ですか?世界最難関と言われ、入試がないけど、倍率がなんと200倍!

知識よりも、社会で使えるスキルを教えたい。そうした創業者の想いから生まれたミネルバ大学は、物理的なキャンパスをもたず、学生たちは世界7都市を周ってラップトップ上で授業を受けながら、それぞれの都市の地元企業とのプロジェクトに関わり、4年間を過ごす。

伝統的な大学とは一味違うミネルバ大学から、伝統的な学生とは一味違うインターン生2人がこの夏、電通Bチームにやってきた。 

電通Bチームは、A面(本業)以外に、個人的なB面を持った社員たちが集まり、いままでと違うやり方=planBを提案する「オルタナティブアプローチ」チーム。閉塞感を打破する、21世紀的な新しいプロセスを考え続けている。

この記事を書いているナージャもBチームの一員で、B面は「世界の教育」。6カ国で育った経験からそれぞれの国での教育スタイルを比較したり、そこからの発見で新しいコンテンツを開発している。

そんな背景もあって、2018年、日本に来たミネルバ大学のインターン生20人に対して、日本のコミュニケーション文化入門というレクチャーをしたのがミネルバ大学との出会いのキッカケ。今年は、レクチャーではなくインターン生を受け入れることになった。

ナージャ、クリス、イドリス、倉成
左から、本記事の筆者・ナージャ、ミネルバ大からBチームにやってきたクリス、イドリス、そしてBチームリーダーの倉成氏。

「はじめまして、私はクリスさんです」「私はイドリスさんです」


※彼らは、日本式に習って必ず自分を「さん」付けにして自己紹介する。
 

クリスさんは、イギリスのマンチェスター生まれ。伝統的なバーギンガム大学で政治を学び優秀な成績で卒業。しかし、どこか物足りなさを感じた彼は、伝統とは真逆のミネルバ大学への入学を決意。今、バーギンガム時代とは真逆な(?)大学生活を送っている。

彼は、教育やチャリティー、登山やバンド、トライアスロンなど幅広い趣味と関心ごとを持っている。特に教育に関しては、1年間休学してまで大学の学生自治会会長として構内活動するほど熱心だ。

もう一人のイドリスさんは、モロッコのラバト生まれ。伝統的な大学への入学を期待されていたが、自分は違うことにトライしたいと、高校の途中で南アフリカの学校へと転入。その高校は、アフリカの次世代リーダーを育成することを目標に掲げ、アントレ教育として学生全員が起業経験をするのだ。そこでビジネスの面白さに出会い、ミネルバ大学へ入学。

そんな彼の趣味は、数学とチェス。両方とも国際大会に出場するほどの腕前。

A面(学業)のことは大体わかった。では、2人のB面は?

前述の通り、電通Bチームのメンバーは、それぞれ本業とは異なる個人的なB面を持っている。2人にも、B面を決めてもらうことになった。

イドリスのB面は、想像通りの「チェス」に即決定。高校の時に、勉強漬けの生活に疲弊していた彼を救ってくれたというチェス。そのさまざまな「戦略」は、ビジネスにも使えるのではという仮説を試してみたいというのだ。自分を救ってくれたチェスで今度は、ビジネスで疲弊している人たちにヒントを与えたい。この挑戦、チェスをあまり知らなくてもワクワクしませんか。

ところが、さらに多趣味なクリスは、B面を見つけるのに苦戦した。「教育」や「政治」に取り組みたかったが、いざとなるとそれは彼にとってA面だということが分かった。途方にくれたクリスは、よき(この状況では唯一の?)相談相手である母親に電話をすることに。

その時の母からの第一声「そんなにネガティブになることないじゃない?」。クリスはピンと来たらしい。「ネガティブ」。それはまさに自分の特徴で、考え方そのものだ。
(幼少期イギリスに住んだことがあるナージャから見ると英国人というキャラクター性もそこにうまく作用している)

こうして、クリスのB面は、Negativityに決まった。後から聞くと彼は、毎日ネガティブな名言が書かれた日記帳を愛用するなど、生まれながらのシニカル者であることが分かった。

こんなに自由でいいんだ!?と二人が驚いた日本でのミッション!

それぞれのB面を使って、新しい課題解決のコンセプトやメソッドを世の中に発表することがBチームのミッション。メンバーになった彼らにも、もちろんそのミッションを与えた。

日本にいる2カ月でそれぞれのB面から新しいメソッドのプロトタイプを作って、世の中に発表せよ。

どの課題に対してもすぐに答えをぶつけてくる超優秀な2人でも、壁にぶち当たった。こんなに時間があるのは何故?「課題」がないとどうしたらいいのか?「正しい」と「面白い」の違いは?「オリジナリティ」とは?「興味のない人にも興味を持ってもらう」には?

そんな彼らにBチームリーダーの倉成が教えたことは、ほぼ一つ。

「道端に咲いている花を楽しんで!」

山に登るときに、山頂は一つでも、登り方は一つではない。そして、必ずしも最短ルートがベストではない。寄り道をしたり、景色を楽しんだりする経験こそが、アイデアを豊かにするヒントを与えてくれる。最初は、何のことかわからなかった2人も、帰る頃にはすっかり花を楽しむ面白さに気づいていた。

果たして、2人からどんな世界初のプロトタイプが出来上がったのか。

プロトタイプ「ビジネスで困っている人に贈るチェスからの8つのヒント」by イドリス

イドリスのプロトタイプは、まずビジネスで困ったら、チェスの駒をそれぞれビジネスの役割(人)に置き換えてみることから始まる。

1コマしか動けないポーンは、まだ修行中の若手社員。
相手を攻めるのにもっとも有効なナイトは、ビジネスでも最前線を攻める営業。
自由さえあればボードの隅から隅まで動けるビショップは、広告でいうところの自由な発想ができるクリエーティブディレクター(企画担当)。
一番自由に動けてボードの上で最重要なコマであるクイーンは、ビジネスでも全てのカギを握るCEOなど。

これらの駒を8×8のマスに置いた時に、相手の状況と自分の状況を客観視しやすくなり、問題がどこにあるのかが分析しやすくなるというものだ。

チェスで悩み解決

実際に、3つのビジネス状況でのヒントを紹介しよう。

ヒント1「切羽詰まった状況になったら、すぐにそれを解決しようとしてませんか?」

ビジネスにおいて何か問題が起こったときに、ついついすぐに解決したいと思ってしまうもの。この傾向は若手社員ほど強い。でもときには、「すぐにアクションをする」ことで、有利だった自分が不利になってしまうことがある。これはまさにチェスでもよく見られる光景だ。

こんなときチェスでは、一度盤面を見渡し、問題の箇所をあえて動かさず、先に他のことに取り組んだ方が、ゆくゆくは強い一手に繋がることがある。

張り詰めた時期だからこそ、「他に何をすると、全体の点数を上げられるか」に目を向けてみよう。

チェスで悩み解決

ヒント2「若手社員は中堅社員に守られているからこそ攻められる?」

すでに最前列にいる若手社員は、チェスで言えばポーンに当たる。ポーンは一歩ずつしか進めず、単体ではまだとても弱いが、一番リスクをおかすことを許されてもいる。

ポーンの挑戦を成功させるためには、背後に移動力のある強力な駒が構えていて、ポーンが進んだ先のマスを守ることが重要である。つまり万が一、何者かが若手社員を脅かそうとしたら、背後の先輩の強い攻撃が待ち受けている…という状況をつくるのが、先輩としての素晴らしい一手だ。

ヒント3「八方塞がれたクリエーティブディレクター、どうしたらいい?」

対戦相手の動きだけを見るのではなく、自分のチームもよく観察すること。自分のチームの誰もが一番能力を発揮するポジションに置くことが、いざとなったら強いチームになる。

例えば、盤上を端から端まで移動できるビショップの能力を最大限に発揮させるためには、ビショップが移動できるように「道を開ける」ことが必要だ。同じように、チームに身動きが取れないように見えるクリエーティブディレクターがいたら、彼らのために道を開けて自由に動ける場所を与えることが、その人の力を最大限に生かすことに繋がるのだ。

プロトタイプ「Miserable Ideation」へようこそ by クリス

クリスのプロトタイプは、惨めなアイデア発想をするためのカード。

「キモい」「臭い」「恐ろしい」「不安な」

など厳選されたネガティブワードの束からカードを一枚引いて、それを

「オフィス」「学校」「スマホ」

など身の回りのモノと組み合わせる。そこから、ワースト(最悪)なアイデアを発想する。

惨めなアイデア発想法

惨めなアイデア発想法
「極悪な椅子」「退屈な鉛筆」といったように、ネガティブな形容詞と身近なものを組み合わせるアイデア発想法。

何故ならば、最悪と最高は裏表。最悪なアイデアほど、見方を変えたら最高なアイデアになり得るからだ。最悪なアイデアを思いついたら、次は、その最悪なアイデアをどう最高にプレゼンして通すかを考える。ボスが「ぜひ、やろう!」となるように、「最悪だからこそいいところ」を見つける。

仮に「不安」と「オフィス」を引いたとしたら、「不安なオフィス」を考える。悪臭で溢れるフロアにしたら、みんな仕事を早く終わらせるとか。ガラスばりのフロアにしたら、アドレナリンが出てアイデアを思いつきやすくなるかもしれないとか。不健康な社員食堂をつくることで社員が栄養バランスについて考えるようになるとか。

惨めなアイデア発想法

「ネガティブ」だからこそ気づけることがたくさんあると、クリスは主張する。彼自身も最悪のシナリオを思い描き、ネガティブ視点で物事を見てきたからこそ、オリジナリティがある。

この夏、完成した二つのプロトタイプ。彼らは来学期に学ぶ国へ一緒に持っていき、実験をしながらさらにブラッシュアップする予定だという。

磨き上げていく過程で、どんなその国ならではのビジネス上の悩みが発見され、チェスの戦術が解決のヒントに繋がるのか。どんな独自なネガティブな単語に出会い、最悪のアイデアで課題解決ができるのか、とても楽しみだ。

クリスとイドリス

クリスとイドリスとBチーム
それぞれの「B面」を生かしたプロトタイプをBチームメンバーにプレゼンするクリスとイドリス。