通年採用時代の就活は、「ショートケーキ思考」で自分の魅力を引き出せ!
2019/10/30
2021年入社の新卒採用から従来の就活ルールが廃止される。日本が高度経済成長期から厳守してきた「新卒一括採用制度」は、一気に変革への道を歩む可能性は高い。
ルール廃止を迎え、前例がない中で就活する学生たちの不安は計り知れない。今後、企業ごとに採用スケジュールの自由化が進み、インターンなどでの採用が増加すると予想され、学生たちは早い段階での準備に追われるだろう…。
はじめまして、電通CDCクリエーティブ・プランナーのアーロン・ズーです。私はアメリカの大学を卒業後、日本の大学院で学び、新卒でIT企業に就職しました。日本の大学院を修了したこともあり、たくさんの後輩からOBOG訪問のオファーが来ます。これまでに100人以上の学生のES(エントリーシート)や面接のアドバイスをしてきました。
学生たちの就活に触れたり、クリエーティブ・プランナーとして、若者インサイトや行動分析を研究したりする中で私は、「学生たちは就活をもっとうまくプランニングできるのではないか?」と考えてきました。
そこで、志望企業の内定を勝ち取るための五つのメソッドを考案。2019年10月に白桃書房から発売された拙書『通年採用時代の就活デザイン』の中で紹介しています。本書では、現代の学生たちがESや採用面接に必要なことは、全て「ショートケーキ思考」で解決できると述べています。ウェブ電通報では3回連載で、その内容を少し紹介したいと思います。
ESや面接に必要なことは、全てショートケーキ思考で解決できる
これからは、「通年採用時代」がやって来ます。「個」の活動が今まで以上に重視され、時期に関係なく、在学中に企業から内定をもらう学生が、どんどん出てくるでしょう。学生は将来のやりたい仕事を見据えて、早い段階で自分の魅力をうまく引き出せるような就活に専念しなくてはなりません。
日本の学生は、大学での勉強内容と就職先の分野が必ずしも同じとは限らないため、志望動機の中身が薄くなりがちです。学生時代にやってきたアルバイト、サークル、ゼミなどの経験を元に、当たり障りない自己PRや志望動機を業界ごとに変えて面接に臨むケースが多く見られます。アルバイトやサークルなどの経験を“受験勉強”、志望する業界や企業を“大学”に例え、私はこの就活スタイルを「受験型就活」と呼んでいます。
通年採用時代は、自分が行きたい業界や企業を早めに絞り、自分の売りである経験(根拠)をつくっていく必要があります。そのときには、従来の「受験型就活」ではなく、プロフェッショナル人材を目指す「広告型就活」が求められます。
就活という「舞台」に登場する「各人物」を広告業に置き換えると、就活生自身は「商品」、他の就活生は「競合他社」、そして面接官は「消費者(ユーザー)」となります。自分という商品を面接官という消費者に売り込み、競合他社である他の就活生との差別化もしなくてはなりません。
まずは①業界や企業分析、次に②自己分析、それに近い③経験(根拠)を積み、それを基に④就活での軸を決めて、⑤ESを作成していく。さらに数万や数千ものエントリーで埋もれないような⑥自分のキャッチコピーをフラグシップとして決め、⑦その業界や企業が自分の経験から得た強みとマッチングしているか、という最終確認を経て、ようやく就活開始となります。
広告型就活のポイントは、「自分をショートケーキ化する」ことです。例えば、ケーキ屋さんにあるケーキから自分というショートケーキを買って貰うために必要な条件は何でしょう?
答えはシンプルで、「他のケーキよりもおいしそうである」ということ。「弾力のあるスポンジ」は、学生時代に力を入れたことの根拠(証拠)、「新鮮な生クリーム」は、企業を志望するにあたってのロジック(理由)です。そして、「真っ赤なイチゴ」は、自分を象徴するバズワード(私を一言で言うと○○です)になります。これらの要素があれば、お客さん(面接官)に自分を買ってもらえる(採用してもらえる)可能性はグーンと高くなります。
次回は、ショートケーキの生クリームとスポンジに当たる、ロジックと根拠についてお伝えします。