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言葉ダイエットNo.1

あなたの企画書やメールが読んでもらえない、たった一つの理由。

2020/01/27

こんにちは、コピーライターの橋口幸生です。今回、『言葉ダイエット』という本を発売しました。

『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』
『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』宣伝会議刊、215ページ、1500円+税、ISBN 978-4-88335-480-1

書店に行くと、僕の本に限らず、文章術コーナーがにぎわっていますよね。それだけ「書いても、書いても、読んでもらえない」と悩んでいる人が多いのでしょう。どの本も、読まれるためのさまざまな書き方を丁寧に解説しています。

そんな中、僕はコピーライターとして、ちょっと違った視点から「読んでもらえない」問題を考えていました。

あなたの書いた文章が読んでもらえない理由は、実は、たった一つ。

「書きすぎているから」です。

自分が読み手になった時のことを想像すれば、すぐに分かります。

毎日、大量に送られてくるメール。とてもではないけど、全メールを一言一句漏らさず読むことはできませんよね。文字と矢印がみっちみちに詰め込まれた企画書。要点しか読みませんよね。

つまり、読んでもらえる文章を書くためには、「書く方法」よりも「書かない方法」が重要になってくるのです。

僕はコピーライターなので、文章を書くときも、広告づくりと同じように発想します。広告をつくる時の大前提は「広告を見たいと思っている人はいない」ということです。だからこそクリエイターは、見たくない人に見てもらうための、さまざまな工夫をします。人気タレントに出演してもらったり、共感できるストーリーをつくったり、クリエイターの腕の見せ所です。中でも大切なのは「メッセージを絞ること」です。

「この商品は、ここが優れています!あそこも優れています!」と言いたいことを全部言ったら、どうなるでしょう?ただでさえ広告は見たいと思われていないのに、完全にそっぽを向かれてしまいますよね。だからこそコピーライターは、数ある訴求ポイントの中からもっとも消費者の共感を呼ぶものを選び、コピーにします。

これは広告会社の新入社員がまず教わる、基礎中の基礎です。本サイトを見ている方にとっては「何を今さら…」というような内容でしょう。それをわざわざ書いたのは、基礎であるにもかかわらず、日々の仕事になった途端、ほとんどの人が忘れてしまうからです。

たとえば、次の文章を読んでください。

今、デジタル・トランスフォーメーションが加速する日本のマーケットにおいて、幅広いデモグラフィーのターゲットにエンゲージメントできるシンプルな文章を書くソリューションは、全ビジネスパーソンのコンピテンスになりつつあると考えます。そうした文章術の本が日本中のどの書店においてもディスプレイされているファクトも、そのエビデンスと言えます。しかし、そうしたコンセプトの文章術の本は、どれもスキームや本質をインプットすることが可能ですが、足りない視点があるのも事実です。そう深掘りしたことが、私がこの本を執筆させていいただくことになったきっかけでした。

ビジネスにありがちな読みにくい文章として、僕が仮に書いたものです。業界の潮流を抑えるために、カタカナ用語を連発する。不要な敬語を使って、回りくどくなる。要素を絞るどころか、不要な贅肉がたっぷりついた文章です。

ここから無駄な要素を削ると、次の文章になります。

読みやすい文章を書くスキルは、すべてのビジネスで必要だ。実際、書店には文章術の本がたくさん並べられている。優れたものもたくさんある。しかしどれも「ある視点」が欠けている。そう考えたことが、私が本書を執筆したきっかけだ。

これが「言葉ダイエット」です。修正前の文章は271文字に対して、修正後は109文字。忙しいビジネスパーソンにとって、どちらが読みやすい文章かは明らかですよね。

次回から、短く読みやすい文章を書くための「言葉ダイエット」の方法を紹介していきます。短い文章には、読みやすいだけではなく、短時間で書けるというメリットもあります。メールや企画書で日々、忙殺されているビジネスパーソンにとって、少しでも役に立つ内容になれば嬉しいです。

次の更新を待ちきれない方は、ぜひ、拙著のご購入を。(^_^)