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電通グロースデザインユニットが提供する「スタートアップ360度支援」No.4

スタートアップと大企業を、協業に潜む“罠”から救う「CoNext」とは?

2020/01/31

スタートアップを中心に事業グロースを“360度”から支援する電通グロースデザインユニット(以下、DGDU)。

2020年1月、DGDUとパートナー企業のGlossomは、「スタートアップとの協業の意思決定に関与する人」を対象に、大企業とスタートアップによる“協業”の実態調査を共同で実施しました。

本記事では、調査結果から見えてきた“協業の罠”とも言うべき課題を明らかにするとともに、そうした課題を解決するべくDGDUが新たにリリースした協業支援サービス「CoNext(コネクト)」について説明します。

<目次>
急増する大企業とスタートアップの協業は、2パターンある
大企業とスタートアップの協業では、M&Aも一般的に
「CoNext(コネクト)」で大企業とスタートアップの協業を加速

 


急増する大企業とスタートアップの協業は、2パターンある

DGDUは、メディア系およびプラットフォーム系スタートアップの「360度事業支援」から始まりましたが、今ではその支援領域は、SaaS(※1)系、メーカー系、そして大企業の新規事業部門へも広がっています。

※1=SaaS(Software as a Service)
ユーザーが必要な機能を必要な分だけ利用できるソフトウェアサービス。
 

そして「スタートアップのビジネスグロース支援」と、「大企業の新規事業開発支援」をしていく中で、両者の協業ニーズが大きいことに気づきました。

世の中の動きを見ても、大企業とスタートアップの協業を促す税制「オープンイノベーション促進税制」(※2)創設により、大企業からスタートアップへの投資が促進され、協業は増えていくことが予想されます。

※2=オープンイノベーション促進税制
大企業が設立10年未満の非上場企業に1億円以上を出資すると、出資額の25%相当を所得金額から差し引き、税負担を軽くする制度。2020年4月から22年3月末までの出資に適用される。
 
スタートアップとの協業がいつから増えたか
今後スタートアップとの協業を検討する機会は増えるか
電通 / Glossom共同「大企業とスタートアップの協業実態に関する調査」

スタートアップとの協業に関わる大企業の担当者のうち、実に71%が「直近1年でスタートアップとの協業が増えてきている」としており、そして72%が「今後もこのような協業が増えていく」と答えています。

そもそも大企業は何のためにスタートアップと協業するのでしょうか。

大企業とスタートアップとの協業は大きく分けて、2パターンあります。一つ目が新規事業開発を目的とした、オープンイノベーション(※3)。二つ目が既存事業の効率化を目的とした、デジタルトランスフォーメーション(※4)です。

スタートアップとの協業の目的
電通 / Glossom共同「大企業とスタートアップの協業実態に関する調査」
※3=オープンイノベーション
自社だけでなく他社(とくに異業種、異分野)の技術やサービス、ノウハウ、データなどを組み合わせ、革新的な成果を得ようとする取り組み。
 
※4=デジタルトランスフォーメーション
進化したデジタル技術を自社ビジネスに浸透させることで顧客の生活をより良いものへと変革する取り組み。既存ビジネスをデジタル化することで、ビジネス自体をアップデート(変革・進化)する取り組み。
 

そして、オープンイノベーション、デジタルトランスフォーメーションを推進したい大企業がスタートアップと協業を進める上で、陥りやすい罠があります。

下図が実際に調査で分かった、大企業とスタートアップの協業の成功と失敗を分かつものになります。

スタートアップとの協業の成功と失敗を分けるもの
電通 / Glossom共同「大企業とスタートアップの協業実態に関する調査」

そして、これらの自由回答をまとめると、協業には三つの“罠”が存在すると考えられます。

●成功と失敗を分かつ三つの罠
①協業後の将来ビジョンが明確でない
②スタートアップの見極めができない
③企業の垣根を越えてワンチームで動けない

罠に陥らないためのDGDUの答えは、本記事の後半で紹介しますが、その前に、大企業とスタートアップの協業で増えている新しい“潮流”を説明します。

それは「M&Aなど、資本施策を含む協業」パターンです。これは、上述の罠に陥らないように、両者の距離を資本関係を結ぶことによって縮めてしまおう、という考え方でもあります。

大企業とスタートアップの協業では、M&Aも一般的に

スタートアップとの連携でM&A含む資本施策を行うケースは増加しており、2019年にもヤフーによるZOZO買収など、業界を騒がせる出来事が多く起きました。

なぜ大企業とスタートアップの協業において資本施策が選ばれるのでしょうか。両者のメリットは下記の通りです。

●大企業のメリット
・事業開発において足りないピースをすぐに埋めることができる
・既存のビジネスとの利益相反が起きにくい
●スタートアップのメリット
・ビジネス基盤強化(ヒト・モノ・カネ)ができる
・大企業の他事業とのシナジーによる事業価値向上が見込める

実際に、「直近1年でM&Aを検討したことがある」と回答した会社は、2年前の16%から72%へと急増しており、さらに65%が今後も検討の機会が増えていくと答えています。

協業としてM&Aを検討する機会はいつから増えたか
協業としてM&Aを検討する機会は増えていくか
電通 / Glossom共同「大企業とスタートアップの協業実態に関する調査」

スタートアップ視点で考えると、従来の日本のスタートアップが目指していたイグジット(※5)は株式公開(以下:IPO)でした。しかし、日本におけるIPO環境の変化も影響して、ゆくゆくはM&Aがイグジットの主流となる未来が到来すると考えられます。実際、日本の20年先を行っているとされるアメリカでは、既にM&Aをイグジットのゴールとするケースが一般的であり、IPOを目指すのはわずか1割といわれています。

※5=イグジット
スタートアップビジネスや企業再生などにおいて、創業者やファンド(ベンチャーキャピタルや再生ファンドなど)が株式を売却し、利益を手にすること。主な手法としては、株式公開(IPO)、株式譲渡(M&A)、経営陣による買収(MBO)などがある。
 

下図から考察するに、2025年ごろには日本でもM&Aが本格化するのではないでしょうか。

2011年11月 経済産業省「未上場企業が発行する種類株式に関する研究会報告書」から
2011年11月 経済産業省「未上場企業が発行する種類株式に関する研究会報告書」から
 

一方、今回の調査では、大企業とスタートアップとのM&Aに際し、「検討」と「実施」の間にまだまだ課題があると分かりました。検討フェーズでのM&A経験不足だったり、スタートアップとの相互理解不足だったり、推進する体制が不十分だったりすることに起因します。中には実施に向けた社内合意がネックとなるケースも存在しました。

協業におけるM&A実施に至らなかった理由
電通 / Glossom共同「大企業とスタートアップの協業実態に関する調査」




「CoNext(コネクト)」で大企業とスタートアップの協業を加速

こうした“協業”における“罠”を解決するために、DGDUは大企業とスタートアップの協業を支援するサービス「CoNext(コネクト)」をリリースしました。

「CoNext」は、「マッチング」「ビジネスメイキング」「ビジネスグロース」を軸に、下図に示すサービスを提供し、大企業とスタートアップの協業を創出、推進していきます。

CoNextの支援領域

電通のこれまでのコミュニケーションビジネスの顧客でもある大企業と、革新的な挑戦を続けるスタートアップをマッチング。そしてDGDUがこれまでの活動で培った事業グロース視点での支援を通じて、ワンチームとなり、新たなイノベーション創出を支援。大企業とスタートアップの“協業”を促進することに特化したサービスです。

DGDUでは大企業、スタートアップと三位一体となり、協業の在り方を変革し、社会に新しい価値をもたらしていきます。今後は、さまざまなマッチング機会を創出していく予定です。

大企業のオープンイノベーションやデジタルトランスフォーメーション、スタートアップとの協業を担当されている方、スタートアップで大企業とのつながりを求めている方で、「CoNext」およびDGDUに興味がある方は、ぜひご一報ください。

「CoNext」リリース:
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0131-010012.html

お問い合わせ:dgdu@dentsu.co.jp


【調査概要】
調査会社:マクロミル
調査手法:インターネット調査(2020年1月実施)
サンプル構成:従業員500名以上の企業のスタートアップとの協業に関する意思決定者(サンプル413名)