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令和「新」時代!メディア社会はどこに向かうのかNo.2

2020/03/12

インターネットの主戦場は、「自宅内」かつ「スマホ」

第1回に続き、電通メディアイノベーションラボ編『情報メディア白書2020』(ダイヤモンド社刊)の巻頭特集Part1「令和『新』時代のメディアの役割とオーディエンス」から、今回はインターネットの利用シーンについて考えてみます。

一般的にインターネットの利点は、ネットワーク環境とデバイスがあれば、いつでもどこでもさまざまなサービスを利用できることでしょう。実際、外出先や電車に乗っているわずかなすきま時間に、スマートフォン(スマホ)でインターネットを利用する機会は多いのではないでしょうか。

「いつでも」「どこでも」という特徴ゆえに、インターネットは自宅の外で頻繁に利用されているという印象を抱きがちですが、実際のところインターネットはどこでどのように利用されているのでしょうか。今回はビデオリサーチ社のMCR/ex(※)(2019上期・関東地区)データを基に、その様子を見てみましょう。

※=MCR/ex
調査協力者の24時間の生活行動とメディア接触行動を特定の1週間(7日間)にわたり15分刻みの日記式で記録したデータベース。

 

インターネットは「自宅内」で「スマホ」で、が主流

図表1は、「個人全体」(12~69歳)の1日当たりのインターネット利用時間(週平均)を自宅内外に分け、それぞれ利用デバイス(スマホ・PC・タブレット)ごとのサービス利用時間を示したものです。

【図表1】
インターネット利用時間の内訳 個人全体

「個人全体」では、1日当たり94.8分がインターネット利用に充てられています。78.5分は自宅の中、16.3分は自宅の外で行われ、「どこでも」利用できるとはいえ、インターネット利用の82.8%は自宅内で行われています。

自宅外利用が2割に届かない背景には、外出先ではまとまった時間を取りにくいことや通信料金オーバーへの懸念から利用が抑制的になりがちな状況が挙げられるでしょう。

次にデバイス別のインターネット利用状況を見ると、スマホ経由が最も多く、自宅内で46.7分、自宅外で11.3分です。自宅外インターネット利用時間(16.3分)の大部分をスマホ経由が占めている傾向は、ご自身や周囲の日ごろの様子と照らしてみてもそれほど違和感はないと思います。

一方、自宅の中でもインターネット利用時間の約6割をスマホ経由が担っているという結果はどうでしょうか。自宅でパソコンやタブレットも自由に使える環境にある方は、この比率はやや高いと思われるかもしれません。しかし、調査データからインターネット利用の大部分は「自宅内」で「スマホ」によって行われていることが分かったのです。

若年層ほど自宅内でインターネットを利用している

同じデータを利用者の年齢別に捉えると、さらに興味深い傾向が見えてきます。

若年層は学生や若手社会人として活動的に外で過ごす時間が長いので、自宅の外でもインターネットを積極的に利用していそうだ、と考えがちです。しかし、例えば男性10代(12~19歳)のインターネット利用時間を見ると、自宅内109.8分に対して、自宅外は10.0分で、インターネット利用の91.7%は自宅内で行われています。個人全体平均の82.8%と比べると、きわめて高い比率です(図表2)。

【図表2】
インターネット利用の内訳 男性10代

女性10代(12~19歳)も自宅内99.3分、自宅外11.7分で、やはり自宅内利用比率が89.4%と高い傾向です(図表3)。

【図表3】
インターネット利用時間の内訳

最も長い時間をインターネット利用に充てているのは、20代(男性183.4分、女性141.6分)でした。しかしその自宅内利用比率は、男性83.9%、女性83.3%と個人全体平均よりやや高い程度でした。

今回の調査結果から外で活発にインターネットを利用しているのは若者ではなく、働き盛りの男性だということが分かりました。自宅外利用比率が多いのは男性30代~50代で、インターネット利用時間の約25%を自宅外が占めていました。

PCとの親和性が高いのは中高年層

自宅内の利用デバイスに注目すると、男性50代、60代は独特の傾向を示します。男性50代では、自宅内インターネット利用時間68.1分のうち、パソコン経由の利用が34.5分を占めます(図表4)。男性60代では、69.0分中50.7分がパソコン経由です。自宅内でデバイス別インターネット利用時間の1位をパソコン経由が占めるグループは、全年齢層を通して男性50代、60代のみです。

【図表4】
インターネット利用時間の内訳 男性50代

振り返ってみると、Windows95の登場とともに始まったパソコン普及期を大学生や若手社会人として迎えたこの年齢層は、その後社会人としても仕事でパソコンを利用する期間が長く、最もパソコンを使いこなすことができる世代ということができます。

なお、女性50代、60代が自宅でインターネット利用のために使うデバイスの筆頭はスマホですが、40代以下と比べるとやはりパソコンの比率は高い傾向でした。

若年層の男性はネット動画を、女性はSNSを多く利用している

最後に、自宅ではインターネットで何を行っているのかを見てみましょう。サービス別に3デバイスの利用時間を合計すると、個人全体ではネット(SNS・動画・メール以外のインターネット利用)46.4分、ネット動画17.0分、SNS12.2分です。

【図表1】
インターネット利用時間の内訳 個人全体

第1回で若年層とネット動画の親和性の高さに触れましたが、今回のデータからも同様の傾向が確認できました。自宅内で最も長時間ネット動画を利用しているのは、男性20代(3デバイス計55.6分)で、次いで男性10代(同42.2分)、女性10代(同34.9分)、女性20代(同29.1分)です。

一口に若者といっても、ネット動画をより積極的見ているのは男性で、女性はむしろSNSに充てる時間の方が長い様子です。例えば図表3の女性10代では、自宅内スマホ経由のインターネット利用において、動画を抑えてSNSが利用サービスの1位を占めています。

【図表3】
インターネット利用時間の内訳

女性の自宅内SNS利用時間を3デバイス合計で見ると、10代は31.8分、20代は38.2分、30代は20.0分でした。女性はほぼすべての年齢層(20代~50代)でネット動画よりSNS利用の方が長いのです。対照的に男性では、自宅内でSNS利用時間がネット動画利用時間を上回る年齢グループはありませんでした。

このように詳細に見ると、世代固有の体験や個別サービスとの親和性がインターネット利用傾向に反映されている様子がうかがえます。しかし全体を通しては、インターネットは自宅の中でスマホで利用することが多いといえそうです。次回はそのスマホがどのように利用されているのかを詳しく見ていきます。