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戦略クリエイションは、『進撃の巨人』に学べNo.1

2020/04/20

進撃のクリエイティブ・ストラテジー?

最恐の戦略本、ここに誕生

「20年間、わが社を支えてきたブランドを、少子高齢という人口動態に合わせて、いま再びよみがえらせるにはどうすればいいか?」

「IPOを目指す3年間にしたい。そんな中で、創業事業とは異なる第二の事業をゼロから立ち上げたい。まず何から始めればいいかな?」

「駅ビルを建て替えるのだけれど、町民はもちろん、働く人も、やる気が出る空間にしたい!」
……etc.

戦略という武器を使って、業界やジャンル問わず、さまざまな企業や団体の抱える悩みと向き合い、その解決策やクリエイティブ・アイデアを創る。それがクリエイティブ・ストラテジストの仕事です。

そんな仕事の傍ら、ある出合いをキッカケに、本づくりをさせていただくことになりました。その名は、『進撃の相談室』(発行:講談社)。

進撃の相談室 書籍データ
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電通HP書籍紹介 

タイトルから、かの名作漫画『進撃の巨人』を原作とした作品であることは間違いない。しかし、これが単なるファンブックでないことは、副題まで見てみると分かります。そこには、『13歳からの「戦略論」』という言葉が並びます。

そう、この本は、「自分の頭で考えぬく具体策」として、エレンやミカサたちが活躍する『進撃の巨人』のエピソードを題材に、「戦略思考の基本のキ」を習得する本なのです。

業界を超えて、さまざまな年齢やバックグラウンドを持った方々とお仕事をご一緒する中で、気づいたことがあります。それは、戦略思考をマスターするのに、年齢は関係ないということです。

戦略は、人が悩みというバケモノに襲われはじめるその時から、持っていて損はない武器。しかし残念なことに、たいていの戦略論は、戦争の歴史や特定のビジネスに特化した専門分野に閉じている。つまり、狭義の戦略論としてしか、語られません。

ビジネスのビにも関心のない10代の頃から、特定の専門領域にとらわれない、広義の戦略論に触れる機会があればいいのに。もしそんな夢みたいなことが実現できれば、10年後の世界は、もっと面白くなるはずだ。若さゆえの柔軟なアイデアと戦略思考を掛け合わせて、世界を変える次世代が多く生まれてくれるに違いない。

そんなバカみたいな妄想が、頭の片隅にありました。
そんな夢物語を、講談社さんが面白がってくれたことで、本づくりがスタートしたのです。

また、私は以前から、『進撃の巨人』という作品に対して、特別な思いを抱いていました。もちろん、極上の最恐エンターテインメント作品として堪能したことは言うまでもありません。それに加えて、この物語は、どんなに分厚い戦略の専門書にも負けない、実践的な問題解決のアイデアに溢れた「戦略思考の教科書」なのです。

ファンにお馴染みの名場面はもちろん、何気ない会話劇の中にすら、専門家から見て、思わず身震いしてしまう戦略が溢れている。そう、ファンの皆さんが「うわぁ…。さすが頭脳派アルミン!」と口にしたその場面には、素晴らしい戦略が隠れているのです。

本書自体は進撃ファンおよび中高生をベースにつくられていますが、その骨子は、年齢問わず、また公私問わず、あらゆるビジネスパーソンの生活に潜む「悩み」を駆逐するために役に立つ内容となっています。そこで本連載では、職種問わず、あらゆるビジネスパーソンの役に立つ論点に絞って、戦略クリエイティブの観点から、『進撃の相談室』のエッセンスをお伝えします。

「答え探し」より、「倒す訓練」に時間を費やせ

この残酷な世界を、丸腰で生きることを勇気とは呼ばない。
それは、単なる無謀というものだ。
まず我々は、生き抜くための「武器」を持たなければならない。

本書は、こんな文章から始まります。
もちろん、私たちが生きる現実社会は、エレンやリヴァイが暮らす世界とは違って、突然と巨人に喰われてしまうハプニングは起こりません。遥か高い壁に閉じ込められているわけでもありません。

しかし、この現実は、フィクションと同じくらい、いやフィクション以上に、残酷な世界ともいえます。平気で人を傷つける「友達や同僚という名の巨人」がはびこり、息苦しい「教室や職場という名の壁」に阻まれている。つまり、私たちは常にさまざまな悩みに囲まれて、生きざるを得ない。

そんな残酷な世界だからこそ、巨人と闘うエレンが武器を携えているように、私たちは丸腰で挑むのではなく、悩みという強敵を倒すための武器を、携えなければならない。それこそ、問題解決ツールとしての「戦略思考」というわけです。

進撃の巨人 カット

ただし、ここで言う「武器」とは、いわゆる「答え」そのものとは違います。

今はとても便利な時代で、ビジネス書を立ち読みしたり、スマホでウェブニュースを検索すれば、「5分でわかる●●●」や「●●●を解決するたったひとつの方法」など、耳当たりのいい“答えらしきもの”が、すぐ見つかります。

しかし、その“答えらしきもの”が、自分の悩みにジャストフィットすることは、まず起こらないのではないでしょうか。それも無理もありません。だって、私たちは一人一人違う。それに、悩みの姿かたちは千差万別。そのくせ、目には見えないから、その人がどんな悩みに苦しめられているのか、他人からは分かりづらい。いや、当の本人ですら、悩みの正体が何なのか、分からない。

そんな状況ですから、だれにでも当てはまる答えが、自分にぴったりの答えになるとは限らないし、たとえあったとしても、ビジネス書やウェブニュースでサクリと見つかる保証は、どこにもありません。

では、「私だけの悩み」を解決する答えは、いったいだれが与えてくれるのか?当たり前ですが、その最後のアンカーは、自分。自分自身でしかありません。

そう考えると、何かの壁にぶちあたる度に、目前の悩みにジャストフィットする「答え探し」に時間を費やすことは、実はコスパが悪いのだと気付きます。その場しのぎが上手くいったとしても、また数日たてば、違う問題が発生するのがこの世界。

そこで、同じ時間をつかうなら、「悩みの答え探し」ではなく「悩みを倒す訓練」に費やした方が、持続的に自分の仕事を強くしてくれるはずです。一度鍛えられた力は、他の問題でも応用できる。

例えば、人に言われた方法論に則って大学に合格した人と、自ら創意工夫をこらして独自の勉強法を編み出し成果を上げた人とでは、同じ大学生でも、問題解決力が大きく変わってくることは明らか。ルールが刻々と変化する現代社会において、後者のような力を持つ人の方が、活躍の舞台が広がっていることは言うまでもありません。
 
この本が扱うのは、まさにそんな悩みとの闘う武器としての戦略思考なのです。

「悩む」から「考える」へ

本書ではまず、悩みを駆逐する第一歩として、

「悩む」と「考える」は使い分けろ!

と提案しています。

ビジネスでも日常生活でも、ある悩みに直面した時、二つの反応パターンがあります。それが「悩む」と「考える」です。一見、その違いは見えにくい。しかし頭の中までのぞき込んでみると、両者は大きく違っているのです。

「悩む人」というのは、五里霧中。どうすれば悩みというバケモノを倒せるのか、手がかりが掴めず、ぼんやりと立ちつくしている状態を指します。もう一方で、「考える人」は、具体的な問いを設定して、悩みを一つずつクリアしていく。つまり、「考える人」は具体的な問いによって、掴みどころのない悩みに、形を与えることができるのです。

本書では、このことを「クッキー作り」に例えて説明しています。
クッキー生地を「悩み」、型抜き器を「(考える人が設定する)具体的な問い」と例えると、次の図のようになります。

クッキーの型抜きの画像

具体的な問いが用意されることで、ボンヤリとした「悩み」が、ハッキリとした「考え=問題」に変身するのです。

もちろん、クッキー生地に、どんなにうまく型抜き器を当てても、多少の切れ端が残ってしまうように、悩みが100%消え去ることはありません。それでも、具体的な問いによって、大半の悩みを、解決できる問題にスイッチできることの意義は大きいのです。

そこで次に問題になるのが、現実世界を生きる中で、「悩む人から考える人へと変身する方法、その具体策は何なのか?」です。ちなみに、ここで「具体策」という言葉にこだわる必要があります。単なる根性論や何となくの答えで納得しないように、注意しなければなりません。

というのも、ここで言う「悩む人」と「考える人」との違いは、よくセンスや才能、性格やパーソナリティーとかいう簡単な言葉で、誤魔化されてしまいがちだからです。

「つい悩みがちな人は、そういう星のもとに生まれてしまった人なんだから仕方ないよね」なんてバカげた主張が、教育の現場にも、ビジネスの現場にも、はびこっています。

しかし、実際はそうではありません。「悩み」を「考える」に変えるためのスイッチ(変換器)、つまり考えるための道具さえあれば、誰だって、この残酷な現実と向き合うための「考える力」を持つことができるのです。

そこで本書は、「7つの戦略スイッチ」という武器を駆使し、進撃の物語に隠された戦略の構造を明らかにすることを通じて、広義の戦略づくりの方法を、訓練していく一冊となっています。
(つづく)

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