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電通とAIで産学連携しませんか?No.1

2020/04/23

学生がAIで予測した2020年のヒットタレントは?
~企業と大学にメリットがある産学連携のカタチ~

近年、AIやデータサイエンス領域において、企業と大学との産学連携の重要性が高まっています。各大学でこの領域での産学連携の枠組みが整備されつつあり、電通データ・テクノロジーセンター AIソリューション部でも、昨年から取り組みを進めています。本連載では、各大学との産学連携の中で感じた、日本のAI活用の課題、産学連携のメリットや、電通ならではの視点について同部の福田宏幸がご紹介します。


日本のAI活用、何が課題?
 

今、グローバルでは、主要な国際学会でGoogleが大学などの研究機関を抜いて投稿論文数で1位になるなど、企業においても盛んに最先端の研究が行われています。一方で、大学教授が積極的に企業の研究に参加することも珍しくなく、企業と大学の研究の境目がシームレスになっています。その一方で、日本ではまだ、企業と大学の協業は十分であるとはいえません。

実は、AI活用のカギを握るのは、アルゴリズムそのものだけではなく、課題の発見とデータです。ですが、大学には、スパコンなどのコンピューターや高度な分析スキルを持つ研究者のリソースはあるものの、社会の「リアル」な課題やデータに触れる機会が少ないそうです。

一方で、企業では課題やデータが日々生まれているにもかかわらず、それを十分に活用できているとはいえません。そういった意味で、課題やデータが企業から大学に提供されることは、企業と大学、双方にとってメリットのあることだと考えられます。

日本では、まだまだAIの活用が進んでいないといわれますが、電通はソリューションカンパニーとしてさまざまな「リアル」な課題やデータに向き合っているので、こういった課題やデータを研究機関側に提供することで、海外のようにAIの実社会での活用を促進したいと考え、取り組みを始めました。

東北大学との産学連携
 

さて、第1回は、AIで著名な研究者がたくさん所属している東北大情報科学研究科との取り組みです。今回は、「学際情報科学論」という大学院生向けの全8回の講義の中で、学生の皆さんにAIによる「デジタル広告の効果予測」と「2020年にヒットするタレントの予測」に挑戦してもらいました。この二つの課題は、電通でもここ数年間取り組んでいる課題です。学生は修士の学生約10人が4チームに分かれて参加してくれました。

もう少し詳しく説明すると、デジタル広告の効果予測は、いわゆるインターネットのバナー広告がどれぐらいクリックされるかを予測する課題です。過去の配信データを元に、バナーのクリエイティブの特徴や配信の設定から機械学習という手法を用いて予測します。

また、タレントのヒット予測の方は、SNSのデータと、テレビの放送内容のテキストデータを用いて、2020年にヒットするタレントの予測をしてもらいました(講義は2019年11月~2020年1月に行われています)。

最初の講義では、電通側から電通の説明と課題の紹介があり、質疑応答がありました。その後は、リモートワークで週1回、予測モデル構築に取り組んでいただき、電通のメンバーはオンラインの掲示板で適宜やりとりしていきました(情報系の学生だけあって、こういうコミュニケーションのスタイルは全く問題なかったですね)。そして、最終回に各チームのプレゼンテーションがありました。

授業の様子
授業の様子
プレゼンテーションスライドの抜粋
プレゼンテーションスライドの抜粋

プレゼンテーションは、それぞれが力作。電通としての発見は、ここ数年取り組んできた課題でありながら、いろんな新しい解決の糸口が見つかったことです。分析やモデリングのスキルが高いのは当然ですが、学生のフレッシュな視点もあり、これまで試してもいなかったような手法や切り口がいくつも見つかりました。

電通との産学連携どうだった?

一方、大学や学生の立場から、今回の産学連携はどうだったでしょう?先生と学生の皆さんにインタビューしましたので、ご紹介します。

企業の現場で用いられているデータを用い、企業が知りたい事柄をテーマとして解析を行う授業が新鮮だった。テーマの奇抜さやデータの新規性という要素はデータ科学研究の成果を論文として公開する際に重要であり、企業との連携はそのようなものを生み出しやすいと感じた。(情報科学研究科 准教授 山田和範先生 専門:データ科学)

解析対象と大まかな方向性が決まっているものの、学生に考えさせる余地があり、難易度的に良いテーマ選定であるように感じた。アカデミアで研究を志す人も、企業で働く人にとっても今後AIの活用は必要不可欠なので、もっと授業を充実させる必要がある。(情報科学研究科 助教 Samy Baladram先生 専門:データ科学)

Samy先生

東北大情報科学研究科の大学院生からも、今回の取り組みについて意見を伺いました。

適当に集めたデータでは目的が定められず、結果モチベーションが低下して肝心の分析を行うところまでいかないことがある。企業によって「分析の意義」と「妥当性が保証されているデータ」がセットで提供されることは、最大のメリット。(修士2年 後藤悠希さん 専門:通信工学)

就職を考えている学生にとって、企業で扱っているデータやトピックに触れることができるのがメリット。実際のデータは想像以上に非構造的で欠損値があり、前処理に多くの時間がかかることを知った。(修士2年 矢後志明さん 専門:機械学習)

非常に自由度が高く、課題設定や解析手法の選択という面で自主的に考えさせられることが多かった。ビジネス面での利用を意識させられる内容になり、実際に就業した際の課題解決へのアプローチを意識しやすいと思った。(修士2年 荒井奎甫さん 専門:認知情報学)


AIが予測した2020年のヒットタレントは?

 

いかがでしたでしょう?まだまだ取り組みは始まったばかりですが、今後もこのような産学連携を続けていきたいと考えています。さて、最後に、気になるAIが予測した2020年のヒットタレントは…。

2020年のヒットタレント ハナコ

でした。上白石萌音さんは、先日TBSドラマ「恋はつづくよどこまでも」(3月17日最終話)が話題になったばかり。ハナコは、キングオブコント2018の勝者ですが、露出も着実に増えているようで、今後のヒットも期待できそうです。

グラフは、学生が作成したもので、横軸がテレビ出演回数、縦軸がSNS出現回数の週次集計データです。薄い黄色から黒に向かって時間が経過しています。これらの変動パターンをAIが学習して予測しています。

次回以降も、大学との取り組みをご紹介させていただく予定です。引き続きお付き合いいただければ幸いです。