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“ワクワク”のスイッチをONにせよ。〜オンライン教育の本質と可能性〜No.5

リアルとオンラインを交錯させる教育の未来

2020/07/08

BBT大学ロゴ床面積0㎡。日本初、100%オンラインで経営が学べるBBT大学。世界110カ国に居住する在学生が、サイバースペースに集結する。その最前線で教壇に立つグローバル経営学科長の谷中修吾教授に、オンライン教育の本質と可能性について聞いた。(最終回)

オンライン教育の本質と可能性についてお話をさせていただいた本コラムも、最終回となりました。教育とは「ワクワクを思い出し、そのスイッチを入れる場」であると定義することで、リアルもオンラインも見える景色が違ってきます。そして、教育者がワクワクのナビゲーターとしての役割を果たす時、文字通り、ワクワクする未来が切り開かれるのではないか。最終回は、リアルとオンラインの両者を融合させた「教育の未来」について、その可能性を紹介したいと思います。

谷中先生の授業の様子
谷中教授によるオンライン講義の様子。東京・麹町のスタジオから配信し、世界110カ国に居住する学生が受講。谷中教授はBBT大学の人気科目『マーケティング基礎』を教えている。


私が100%オンライン教育のBBT大学に着任して8年になりますが、いつもオンライン教育の醍醐味を感じるのは「時空を超えたコミュニケーション」です。例えば、私のゼミ一つをとっても、ゼミ生の居住地は、日本全国・世界各地に散らばっています。そのため、最初の1時間はアメリカ在住の学生とZoomで討議、次の1時間は日本の地方在住の学生、さらに次の1時間はタイ在住の学生と討議……というような教育スタイルを長年続けてきました。

時空を超えて、人と人とがつながる。いろいろな背景が見えてくる。背景が分かると、その人の生き様や、置かれている環境が分かる。お互いに、新しい価値観や新しい着眼点に触れて、どんどん世界が広がっていく。例えるなら、同時多発的に多数の番組が放送されていて、時間ごとにチャンネルを変えて多種多様な番組を楽しむ感覚に近いですね。縦横無尽に世界を駆け巡り、ワクワクのエネルギーが広がっていきます。

もちろん、オンラインの制約として、デジタルに変換して伝えることのできない情報はたくさんあります。人と対面で会う時に得られる情報の量と質にはかなわないでしょう。しかし、「物理的に同じ場所に立てない人」同士が、国境を超え、時差を乗り越えて対話できるというのは、間違いなくオンラインならではの価値だと思います。その意味で、オンライン教育は、今後ますます重要な役割を果たしていくことになるはずです。

同時に、改めて、リアル教育の価値も見直されるでしょう。対面だからこそ、人と人とのエネルギーの直接交流が起こります。その場でしか得られない、その場でしか感じられないエネルギーは、確かに存在しているのです。

対面ワークショップの様子
対面ワークショップの風景

それでは、リアル教育の強みと、オンライン教育の強みを掛け合わせることで、まったく新しい教育のあり方を模索することはできるのでしょうか。私は、自らの分身となるアバターロボットに、その可能性を見いだしています。実は、2020年3月、新型コロナへの対応が求められる中、私はBBT大学でアバター卒業式という取り組みを立ち上げました。ANAホールディングス(現:avatarin)のアバターロボットを活用し、卒業生が自宅からロボットを操作して、学長から卒業証書を受け取るという企画です。最大のポイントは、「オンラインで物理的に現場介入できる」ことにありました。この特徴を上手に生かすことで、リアルとオンラインを交錯させる教育の可能性が開けるのではないか。アバター留学、アバターワークショップ、アバターブートキャンプ……今、私は、BBT大学で新しい試行を始めています。

アバター卒業式の様子
BBT大学では教授が自らワクワクをカタチにする。2020年3月、新型コロナに対応して、谷中教授が「アバター卒業式」をプロデュース。卒業生が自宅からアバターロボットを操作して、大前研一学長から卒業証書を受け取った。

世の中には情報が溢れています。ややもすると、その情報の洪水に押し流されてしまう。しかし、自分のワクワクに従って行動すれば、ブレることなく歩んでいくことができる。自分なりの思想哲学を持って、経験を積むことができる。結果として、人としての成熟度が高まり、多様な価値観を持って生きる人々をリスペクトし、共存共生していくことができる。ワクワクのスイッチをONにすれば、この世界は変わっていく。教育の真骨頂は、ワクワクの中にあるのです。