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スペースポート(宇宙港)の時代は、もう目の前に!No.1

日本で実現を目指す「スペースポートシティ構想図」とは何か?

2020/07/09

構想図表紙

突然ですが、スペースポートって聞いたことありますか?

スペースポートとは、宇宙へ行くための港のことです。宇宙船には、ロケットのように垂直に発射するものと、飛行機のように水平に離陸するものがあり、それらが飛び立つ場所の総称を 「スペースポート(宇宙港)」と言います。

人類が長い間、遠くへ行くための発着地の中心としてきたのはポート(港)で、そこから航海へと旅立ってきました。しかし20世紀になって、“空の港”であるエアポート(空港)が現れて、それにより物流や人の移動の在り方が根本から変わりました。ハブ空港という言葉が生まれ、空の拠点がそのエリアの経済力や文化水準を大きく左右するようになりました。

2020年は宇宙旅行ビジネス元年といわれ、米国では既に“宇宙の港”であるスペースポートが既にいくつも完成し、現在本格運用に向けて準備中です。英国・イタリアもスペースポートの開発・準備を開始、その他各国でも続々と開設を検討しています。そして、将来的には、スペースポートとその周辺エリアは世界の拠点となり、さまざまな関連産業の中心地として発展するといわれています。

スペースポートの主な機能は、ザックリ二つ

スペースポートの一つ目の機能は、「宇宙に行くための拠点」です。文字の通りですが(笑)。
宇宙旅行のために旅行客を運ぶ、衛星を運んで軌道に乗せる、宇宙ステーションに宇宙飛行士や物資を運ぶ、月や火星などの他の星に人や物資を送り込む、などが想定されています。特に、2020年からの宇宙旅行ビジネス需要はもちろん、小型衛星などの宇宙向け輸送需要が年々増加傾向にあるため、結果としてスペースポートのニーズが急速に高まっているのです。

二つ目の機能は、「地球の別の場所に行く拠点」です。例えば、東京からロサンゼルスなど、地球上の2地点間を移動するための機能。要は空港と同じ全く機能です。滑走路からスペースプレーン(宇宙船)を飛ばし高度を上げて宇宙空間に近づくと、空気抵抗もほぼなくなりますから、飛行機の何倍もの速度で飛ぶことができます。2040年代以降は、ロサンゼルスでもニューヨークでも1時間や2時間で到着できるようになるでしょう。そうすれば、エアポート以上にスペースポートの方が、長距離移動の中心拠点になる可能性があります。現代は、船で海外に行く人がほとんどいないように、大気圏内の中を飛行機で移動することも減ってゆく可能性すらあるでしょう。

スペースポートは関連産業の波及効果が大きく、可能性は無限大

2020年6月26日、一般社団法人Space Port Japan(スペースポート・ジャパン、以下SPJ)および電通、canaria、noizは、「スペースポートシティ構想図」を発表しました。SPJと会員各社・団体が集まり、ワークショップ形式でアイデアを取りまとめたものを、一つの構想図にまとめたものです。

ワークショップの様子

スペースポートを日本に開港することで、現地とその周辺はどのような施設や街へと発展するのか、また、それによってどのような関連産業・関連サービスが生み出されるのかなど、図解を交えて解説しています。

「スペースポートシティ構想図」とは?

スペースポートとその周辺街区は、移動の拠点となるのはもちろんのこと、物流、観光、科学技術、文化などの拠点として、さまざまな広がりの可能性があります。その可能性をまとめたものが、スペースポートシティ構想図です。
新しい産業をゼロベースで創り上げるのですから、それこそ皆さんの想像力と、さまざまな産業の連携が増えれば増えるほど魅力的な産業となります。ぜひ、これをご覧の皆さまも、この構想に参画ください。

 

■「スペースポートシティ構想図」(完全版)
https://www.spaceport-japan.org/concept

スペースポートシティ構想図

■「スペースポートシティ構想図」解説
まず、“スペースポート”に“シティ”という単語を付けたのは、ここが単なる“移動の拠点”ではなく、さまざまな産業が共創する、“新しい概念の街”であることを意図しています。表紙の建築デザインには、ここにさまざまな人々が集い、新たな産業が生まれる期待感を込めています。

また、この構想図は、スペースポートシティを、「宇宙に行く」「宇宙にふれる」「未来であそぶ」という三つのカテゴリーに分けて説明しています。
①    「宇宙に行く」では、まさに宇宙旅行サービスそのものと、それに付帯する施設やサービスなどを集めました。
②    「宇宙にふれる」では、宇宙旅行者の家族・友人はもちろん、宇宙旅行者とは直接関係がない人もここで楽しめるように、宇宙旅行を感じられるさまざまなサービス・アトラクションなどを集めました。
③    「未来であそぶ」では、さらに産業を広げていくために、宇宙旅行との距離はあっても、宇宙と関連し未来に向けた産業創造につながるものを幅広く集めました。 

この構想図は、前述のワークショップを通じて生まれたアイデアを可視化したものですが、さらなる構想や実現計画などを追加することで、常にアップデートさせていきたいと考えています。


一般社団法人Space Port Japan(スペースポート・ジャパン、略称:SPJ)
設立 :2018年7月
目的 :日本にスペースポートを開港することで、広く日本の航空宇宙関連産業を振興する
公式ウェブサイト :www.spaceport-japan.org