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加速するテレビ広告のDXNo.1

スタートアップのテレビ広告出稿をより簡単に!

2020/08/03

インターネット広告の出稿には慣れているスタートアップ企業にとって、ある意味ハードルが高かったのが、テレビ広告です。

そこで、国内電通グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するCARTA HOLDINGS(以下、CARTA)は電通と共同で、デジタル広告を買うような感覚でテレビ広告枠を購入できるサービス「PORTO tv」を開発しました。

CARTAは、インターネット広告のプラットフォームやメディア運営などを幅広く手掛けるVOYAGE GROUPと、電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)が経営統合し、2019年に誕生した組織です。今回は、CARTAの会長であるVOYAGE GROUP創業者・CEOの宇佐美進典氏に「PORTO tv」の内容と目的を聞きました。

宇佐美進典

「初めてのテレビ出稿」のハードルを下げたい

VOYAGE GROUPでは、以前1度だけテレビ広告を打ったことがあります。ネットサービスの広告でしたが、実施した率直な感想は、「効果があったかどうかよく分からない」というものでした。

広告を打ったことにより、利用者数がある程度動いていることは把握できましたが、広告効果のデータ分析は2週間以上かかりました。インターネット広告なら翌日に効果測定ができてPDCAを回せるのに、これでは遅いと感じ、継続してテレビ広告を打とうとはなりませんでした。

初めてテレビ出稿をする広告主として、テレビ広告は、企画や制作、放送枠の獲得や効果検証など、多くの費用や労力が必要でした。また、私自身も実際に経験したように、効果指標が複雑で配信実績の可視化までに時間がかかるため、リアルタイムでの比較や最適化がしにくく、費用対効果が不透明という課題もありました。これではテレビ広告は敬遠され、インターネット広告の出稿だけを考える広告主も多いことでしょう。

私はVOYAGE GROUPを経営する中で、デジタル広告のプラットフォームを長年運営し、デジタル広告の良さも悪さもよく理解しています。そんな私から見てテレビ広告は、ある一定時期に同じメッセージを繰り返し生活者に届け、ニーズを喚起したり、商品やサービスを購入したいと思わせたり、潜在的な部分に訴える力があります。また、ブランド認知やイメージ醸成にも寄与します。加えてテレビ広告は、番組間に広告が入るという、長年、生活者に受け入れられてきたフォーマットも秀逸です。

また、電通のラジオテレビ局と議論していく中で、テレビ広告にデジタル広告のエッセンスを加えていけば、実はテレビ広告もデジタル広告のようにPDCAを回すことができ、効果を即座に可視化することも可能だということが分かりました。

こういったサービスをプラットフォーム化することで、商品やサービスへの態度変容を促すのに有効なテレビ広告を、もっと気軽に利用してもらえないだろうか?

そこでCARTAと電通の共同サービスとして、広告主が抱える問題を解消し、出稿のハードルを下げるべく「PORTO tv」をリリースしました。

「PORTO tv」は、テレビ出稿用のプラットフォーム

CARTAは、ブランド広告主向けの統合マーケティングプラットフォーム「PORTO」を2019年に開発。これまでに「PORTO」内において、radikoやSpotifyといったオーディオメディアに音声広告を配信したり、DOOH広告(Digital Out of Home:デジタル屋外広告)を配信したりするための機能をリリースしてきました。

「PORTO tv」は、テレビにフォーカスした「PORTO」のフォーマットのひとつです。テレビ広告枠の購入や広告制作の発注などを、従来のデジタル広告のようにネット上で行えます。本サービスのターゲットは、主にスタートアップなど、これまでテレビ広告になじみがない企業です。今までインターネットの運用型広告を行ってきた企業にとっては、出稿のシステムが似ているのでなじみやすいのではないかと思います。

電通が保有する日本最大級のテレビ広告に関わるアセットをフル活用し、「このエリアでこのくらいの予算をかけるとこのような効果が見込める」といった、出稿前の広告効果シミュレーションをかなり詳しくできますし、オンエア後はレポーティングツールにより、最短で広告配信翌日には配信実績を把握することが可能です。

事前のシミュレーションデータと比較しながら、AIによるチューニングで、さらなる最適化を図ることもできます。出稿した結果を踏まえ、次はどういうキャンペーンを行えばいいか、どのように出稿するのかイメージできる形にしていきます。

また、単なるテレビ広告枠の購入ツールというだけではなく、同一のインターフェース上でテレビ広告制作の発注も行えるのが大きな特徴です。Kaizen PlatformやCrevoなど、さまざまなクリエイティブパートナーと連携し、ニーズに合った広告制作が行えます。もちろん、出稿する広告主や配信する広告に対するテレビ局などの考査はこれまで通り行われるので、広告の倫理性は担保されます。

「PORTO tv」は、基本的に広告主が自ら操作できるインターフェースを提供するサービスですが、運用に当たっては広告主に丸投げするのではなく、CARTAがサポートします。適切なプランニングから広告クリエイティブ制作、PDCA運用に至るまで、デジタル技術を交えながら、企業ごとに最適なソリューションを提供します。

PORTOtv

目指すのは、マス広告とインターネット広告の融合

CARTAが「PORTO tv」に取り組む大きな目的のひとつは、テレビ広告とインターネット広告の統合的なプラットフォームをつくっていくことです。

「PORTO tv」では、マーケティング上のPDCAをうまく回すための、レポーティング機能を重視しています。テレビ広告のいろいろな指標を可視化することで、適切なタイミングで広告予算を増やすなど、経営者の方の迅速な意思決定をサポートできるようになっていくのが理想です。

また、長期的にはテレビ広告だけで完結するのではなく、インターネット広告とどうつながるかは重要な視点です。マスとデジタルにまたがった統合プランニングや、統合PDCAをうまく回せるようなプラットフォームへと「PORTO」を育てていきたいのです。

今後は、Premiumインストリーム、Premiumオーディオ、Premium DOOHといったデジタル広告購入のサービスと、「PORTO tv」を組み合わせていくことも視野に入れています。現在、PORTOのプラットフォーム上でデジタル広告のみを実施している広告主にも、「PORTO tv」があることでテレビ出稿を検討するようになっていただければと思います。

インターネット広告も、昔は大手のポータルサイトに出稿するには1000万円単位の予算がかかり、気軽に広告は出せませんでした。しかし運用型広告が出てきて、それこそ予算が1000円からでも広告を出せるようになり、新しい広告主が増えて、市場も拡大していきました。テレビ広告も従来よりも少ない予算で、よりターゲットを絞った形で広告を出せるような仕組みを「PORTO tv」でつくっていくことが、新しい需要喚起につながります。

今後は、広告主にサービスを提供していく中で、さまざまな要望の声を開発にフィードバックしていき、どんどんサービスを改善し続けていきたい。それによってより満足度の高いサービスに進化させていきます。

「PORTO tv」のリリースを機に、多くの広告主にテレビ広告の価値に気づいてもらい、テレビ広告市場の拡大を図りたいと考えています。