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「キャリアデザイン」って、なんだ?No.2

2020/08/26

道は、「信頼」の先につくられる。

「アルムナイ」という取り組み(制度)を、ご存じだろうか?元々は、「卒業生/同窓生/校友」を意味する言葉で転じて、「企業のOBやOGの集まり」を意味するようになった。海外では、一度、企業を離れたアルムナイを、貴重な人的資源して有効活用することが、ごく普通に行われている。本連載では、そうした「アルムナイ」をこれからの事業戦略の核たる制度として捉えていく潮流を通じ、「キャリアデザイン」というものの本質に、迫っていきたい。


過去の経歴は、未来へのヒントでしかない

私自身の経歴をお話ししますと、大学を卒業後、銀行に勤めます。でも、4年で辞めて渡米。MBAを取得して帰国後、さまざまな会社で主に財務の仕事をしてきました。で、40代は糸井重里さんとの「ほぼ日」。改めて振り返ってみると、なんだかめちゃくちゃな感じもしますが、私には私なりの一貫した思いがあるんです。

篠田さん エール大学卒業時

それは、「自分が生きたい人生を優先したい」ということ。銀行に就職してまず驚いたのが、とにかく人事異動が多い、ということ。キミ、来月から北海道へ行ってくれ、みたいなことが当たり前の職場なんです。そんなこと、就職前に調べとけ、という話なんですが、自分が住む場所を自分で選べないってどうなの?と、ふと思っちゃったんですね。そこから、です。私のキャリアが動きだしたのは。多くの人は、ご自身のいわゆる「キャリア」にしがみつこうとしがちですが、経歴とは未来へのヒント、ひとつのきっかけにすぎないと私は考えています。

篠田さん タイトルイメージ

終身雇用とは、初恋の人と結婚するようなもの

終身雇用や年功序列が崩壊し始めて、どうしよう、どうしよう、と慌てている方が世の中には少なからずいらっしゃるはず。でも、考えてみてください。終身雇用って「初恋の人と結婚するようなもの」だと思うんです。もちろん、結婚観は人それぞれで、初恋の人と生涯を添い遂げる、というのも一つ幸福の形だと思います。でも、幸せの形は決して一つではない。選択の幅は、もっとあっていい。社会の成熟度って、そういうことなんじゃないかな、と私は思います。

未成熟な社会では、家とか、性別とかで、人生が決められちゃう。今はもう、そんな時代じゃない。国籍も、年齢も、障がいも、フラットになりつつある。それは、社会が成熟し始めた証しではないでしょうか。安心や安全が広がると、人生の選択肢が広がっていく。大げさな言い方をすれば、これは人類が獲得しつつある「究極の自由」だと思うんです。

篠田さん アメリカの友人と

事業には、寿命がある

さらに大事なことは、「事業には、寿命がある」ということ。あらゆる事業には、寿命があります。この時代に「ちょんまげ専門の理髪店」を出店したとして、流行るわけがないでしょう。問題なのは、企業側が「現実にできない約束を社員に対してしちゃってる」ということと、その約束を多くの人が鵜呑みにしちゃってる、ということ。40代後半くらいの男性から「ふと気づいたら会社の中で2軍扱いされている。私はどうしたらいいでしょう?」みたいな相談を受けるのですが、そんなこと、30歳くらいまでに考えとけ!と言いたいですね。冷たい言い方かもしれませんが、自分の人生、自分以上に考えてくれる人なんかいないのですから。キャリアを重ねていく、ということは、会社内での地位を確立するということではなく、自身の能力と、自分は何がしたいのだろう?ということと、とことん向き合う、向き合い続けるということだと思います。

人事制度とは、いわばツールにすぎない

自分の未来と向き合うときに大事なことは、自身の才覚と向き合う、という内向きな作業と並行して、その才覚を発揮する「場」はどこなのかを探し続ける外向きな取り組みだと私は思っています。才能は「場所」が与えられて、初めて開花するものです。ボールを蹴るのがうまい人がいたとして、それだけではただ単にボールを蹴るのがうまい人です。サッカー場というフィールド(場所)があってこそ、その才能は開花するんです。

そして、その場所は、自ら取りにいかなくてはいけない。そのうち会社がそこそこの場所と権限を与えてくれるだろう、なんて思っていても、そんなものは永遠に与えられない。そう考えた方がいいと思います。人事制度というものは、会社にとっても、個人にとっても、あくまで「ツール」にすぎない。未来への保証でも保険でもないんです。そのツールをどう使うか。使いこなすのか。はたまた生み出すのか。それこそが、クリエイティビティーというものだと私は思います。

篠田さん 友人との語り

アルムナイとは、新たなトライアルだと思う

電通アルムナイに関して言うと、「えっ?電通さん、今までそういう制度、なかったんですか?」というのが正直な感想なんです。クリエイターの方々って、社内社外、年齢や性別も関係なく、交流されてるじゃないですか。あのイメージが強かったんですね。

でも、そうした交流が広がりつつあるのは、ものすごくワクワクすることだと思います。言葉にすると「人材資源の再活用」みたいなことになってしまいますが、そうではなく、会社にとっても個人にとっても、これはとてもワクワクする「トライアル」だと思います。時代や社会の変化に、柔軟に対応していく感度というのかな。それが、大事。そして、ここが最も大切なことなのですが、新しいことにトライするときに必要なのは「相手を信頼する」ということだと私は思います。初対面の人を心から信頼する。これは、精神論ではなく、大きな能力であり、ビジネススキルだと思います。内側は味方、外は敵。そんな狭い視野で動いていたのでは、すてきなキャリアデザインなど到底実現できない、と私は考えています。


電通キャリア・デザイン局大門氏と、電通OB酒井章氏(クリエイティブ・ジャーニー代表)によるアルムラボでの対談記事は、こちら

 

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