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「遊びから入る」で課題を解決!No.2

2020/10/13

アイデア発想も、遊びから入る。

アイデア発想法の罠

世に「アイデア発想法」と呼ばれるものが、たくさんあります。

多くの場合、それはチェックリストを埋めるようなものであったり、チャートに言葉を当てはめていくものだったり、マインドマップのように言葉を連想していくものだったり…。

そのどれもが方法論としては正しいものであり、それらを否定するつもりは全くありません。むしろ、ある種の「方程式」として完成されたものばかりであると言っていいでしょう。そしてもちろん、その方法によってアイデアがバンバン出るようになったという人もたくさんいるはずです。

しかしながら、それだけ方法論がたくさんあるのに、世の中がアイデアマンだらけにならないのはなぜでしょうか。

これは、英会話の方法論が数多あるのに、英語をしゃべれる人が一向に増えないのと似ています。もしかすると、ダイエットなどのいわゆる「健康法」もそうかもしれません。一度は取り組んでみたもののすぐに挫折してしまった、という人はきっと多いことでしょう。では、なぜ挫折してしまうのでしょうか。

これは仮説ですが、いわゆる方程式のような手法は「いくら正しくても、実践するプロセス自体が楽しくないと、すぐに飽きてしまうから」ではないかと私は考えています。

アイデア発想に関しても、まったく同じことが言えます。そもそもアイデアは、出そう出そうと必死に考えても、そう簡単に出てくるものではありません。アイデアは、マンガでよく見る「頭の上で電球がパッと光る」ような偶然のひらめきでもなければ、ある日とつぜん天から降ってくるものでもないのです。

そして、なかなかいいアイデアが出ないと、人はそれを「つらい行為」であると感じてしまいます。よく言う「生みの苦しみ」というやつです。こうなってしまうと、考えるモチベーションが上がらなくなってしまうのは当然です。面白いアイデアを考えるのは、本来楽しいことであるはずなのに…。

どんなことであっても、まずは「小さな成功体験の積み重ね」が大事です。それも、楽しければ楽しいほどいい。これは、スポーツでも音楽でも料理でも一緒です。アイデア発想に関して言えば「自分でもこんな面白いアイデアを考えられるんだ」という「楽しい経験」を得ることが、その後のやる気と自信につながるのです。

「生みの苦しみ」を「生みの楽しみ」に

私はXDS(Experience Design Studio)という社内横断型の組織にも所属しており、そのチームでは数年前から「誰でも簡単にアイデアを発想できる方法はないか」と考えていました。

きっかけは、会社のCSR活動で行っていた中国の大学での講義です。それまでは、いわゆる広告やデザインに関する「講演型の授業」をしていたのですが、より実践的な「ワークショップ」にすることで、学生にイノベーティブなアイデアを実際に考えてもらおう、ということになったのです。

先述の通り、アイデアを発想するための方法に関しては、先人によって多くの素晴らしい手法が示されています。私たちはそこからさらに、アイデア発想をより「楽しい体験」にできるのは何かと考え、たどり着いたのが「ゲーム」でした。

「ゲーム」というフィルターを通すことで、アイデア発想が「苦しいもの」ではなく「楽しいもの」だと感じられるようになるのではないか、と考えたのです。

そうして生まれたのが、アイデア発想のための四つのゲームをパッケージングした「Ideation Factory」です。

Ideation Factory

アイデアは「分解」と「結合」でつくられる。

私たちは議論と検証を重ねる中で、アイデアを発想するためには

・事象を「要素分解」すること

と、逆に

・要素同士を「結合」させること

が重要だと考えました。そして、そのプロセスを楽しみながら体験することができるように、次の4種類のゲームを開発したのです。

Ideation Factory中身

「PIE」
まず一つ目が「要素分解」を元にした「PIE」というゲームです。これは、親となるプレーヤーが想像した「お題」を、みんなで一つずつ質問しながら推理していくシンプルなものです。

例えば、親以外のプレーヤーは「それはどんな質感ですか?」などと親に問いかけます。「お題」が「メガネ」だった場合、親は「ツルツルしています」などと回答し、それを繰り返していきます。回答は扇形の付箋に書き込んで円形状のシートに順に貼っていきます。回数を重ねていくと、名前の由来にもなっている「PIE」が完成します。

質問は全部で20個に限られており、その質問によって「お題が何か」を推理していくことで「お題」が持つさまざまな特徴をあぶり出す(=要素分解する)ことが目的です。よりゲーム性を高めるための秘密のルールも用意されています。

PIE
「PIE」のツール

「HEX」
二つ目は、ランダムに考えた六つの要素を「結合」させて新しいアイデアを考える「HEX」というゲームです。「HEX」は六角形を意味する「Hexagon」に由来しています。

六つの要素は「What」「Who」「Where」「When」「Why」「How」の、いわゆる5W1Hで構成されており、それぞれ三角形のカードに三つずつ書き込んでいきます。そして、完成した三角形のカードを並べて組み合わせ、そこから新しい商品やサービスなどのアイデアを発想します。

六つの異なる要素を強引に組み合わせることで、自分でも予想できないようなアイデアを生み出す体験を得ることができます。

「HEX」のツール
「HEX」のツール

「PLUS-MINUS」
三つ目は「PLUS-MINUS」というゲームです。これは、その名の通り「お題」が持っているネガティブ(=MINUS)なポイントをポジティブ(=PLUS)に変換することで、アイデアをたくさん生み出すゲームです。私たちはこれを「反転結合」と呼んでいます。

まず、チーム全員で「お題」を決め、その「お題」が持っている「ネガティブなポイント」を書き出していきます。次に、そのポイントを「ポジティブ」に変換するとどうなるかを書き出します。

例えば「お題」が「傘」だったら、「持ち歩かなければならない」というネガティブなポイントが考えられます。そして、それを単純にポジティブに変換すると「持ち歩かなくていい傘」と考えることができます。そこを起点にアイデアを考えることで、例えば「ドローンの傘」「傘のシェアリングサービス」「全身用超撥水スプレー」など、色々と発想が広がっていきます。

これをいくつかのネガティブ・ポイントに対して行うことでアイデアを量産できるのが、このゲームの特徴です。

「PLUS-MINUS」のツール
「PLUS-MINUS」のツール

「TYRANT」
四つ目は少しロールプレイングの楽しさを加えたゲームで「TYRANT」(=暴君)というゲームです。

まず、チームの中で王様を決めます。この王様は、ないものねだりをするわがままな性格で、家臣(他のプレーヤー)に「〇〇がない××」という無理な「お題」を出します。家臣は王様を満足させるために、みんなでアイデアを考えて献上しなければいけません。

例えば、「キーボードのないパソコン」というお題であれば、「音声で操作するパソコン」や「脳波で操作するパソコン」などが考えられます。ただし、王様が考えるアイデアと同じになってはいけません。家臣は、王様のアイデアと被らないように気をつけながら、斬新なアイデアを献上する必要があるのです。

このゲームは、あえて「〇〇がない」という制限を与えることで新しい発想をしようという考えで、私たちは「消去結合」と呼んでいます。

「TYRANT」のツール
「TYRANT」のツール

こうしたゲームは、実際にやってみないとなかなか面白さが伝わらないと思いますが、これまでたくさんの学生さんや社会人の方に体験してもらい、ありがたいことに大変好評を頂いています。

ワークショップ写真

また、現在はマイナビの「MY FUTURE CAMPUS」という学生向けキャリア支援の一環として採用いただき、国内の大学向けにワークショップを行っています。自分たち発で作ったツールをクライアントにシェアできているという点で、電通としても新しい取り組みになっています。

コロナの影響でオンラインでの開催になることもあるため、実際のカードゲームをウェブ上で再現したオンライン版も開発しました。

オンライン版「HEX」の操作画面
オンライン版「HEX」の操作画面

これらのゲームを作る上で最も大事にしたのは「体験のデザイン」です。ゲーム自体は、やろうと思えば普通の紙や付箋紙で代用することも可能です。しかし、それではやはり体験として全然面白くありません。特別に用意されたカードやツールに触れながら、手と頭を使って考えを巡らすという「体験そのもの」に、価値があるのです。

そして、ゲーム自体をみんなでワイワイと楽しむことで、1人で漫然と考えるだけでは絶対に出てこないようなアイデアが生まれます。この体験によって、アイデア発想の楽しさを実感することができ、それがそのまま実戦のためのトレーニングになるのです。

まさに「遊びから入る」ことで、アイデア発想という「生みの苦しみ」を「生みの楽しみ」に変えてしまうツールなのです。

誰もがみんな、アイデア発想を楽しむことができるようになったら、世の中はもっと面白くなるかもしれません。もし「Ideation Factory」に興味がありましたら、ぜひPLAY FIRSTまでお問い合わせください。いっしょに楽しみながら、面白いアイデアをたくさん創り出しましょう。

お問い合わせフォームはこちら(https://play-first.jp/)です。

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