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シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.2

新聞起点、マーケティングの新潮流

「3世代消費マーケティング」 後編

2014/02/07

第2回 新聞起点、マーケティングの新潮流 「3世代消費マーケティング」後編

 

最近こどもが、ちょくちょく会話に時事ネタを挟んできます。そこはまだ小学生なので、すごく一面的でシンプルなモノの見方に過ぎないのですが、幼い顔で「消費税を上げるのはいかがなものか」というような発言をされると、思わず笑ってしまいそうになるのを我慢しています。

ところで、こんな新聞広告が目に付きました。

朝日小学生新聞・朝日中学生ウイークリーの広告です。右の方には、おじいちゃん、おばあちゃんのイラストとともに、「お孫さんに知的なプレゼントを」のコピー。つまり、祖父母がこれらの新聞購読の申し込みをすると、たとえ遠く離れて住もうとも、孫宅に新聞を届けてくれる、というサービスです。冒頭のような状況もあり、思わずいいなぁと思ったわけですが、まさに3世代消費マーケティングですね。祖父母世代に親和性の高い新聞らしい、でも他の商品やサービスでも真似できそうな仕組みです。

 

この一見、離れ業的な販売メソッド、実は3世代消費マーケティングのポイントをきっちり押さえています。というのも3世代消費においては、消費の提案から意思決定、実際の消費に至るまで、予想以上に祖父母の関与が高いことが調査から分かっており、つまり祖父母への直球コミュニケーションがとても効果的なのです。

 

そこで今回はまず、その祖父母世代のメディア志向のデータを見てみたいと思います。図表1は、孫のいる人の「新聞志向」の程度を示したものですが、「やや強い」まで含めると、約75%の人が「新聞志向」ということになります。これはテレビ志向の36%、ネット志向の38%など他メディアを大きく引き離しています。

実際、最近3世代消費の広告事例が多い「旅行」や「金融」などを例に、情報入手経路のデータを見ると、新聞が重要な情報源になっていると言えそうです(図表2、3)。

3世代消費マーケティングおける、新聞広告の有効性は、実感としても頷けるのではないでしょうか。そこで、電通新聞局では新聞に限らず3世代消費の出稿事例を収集し、分析をおこなっています。最後に事例分析から得られた3世代消費攻略ポイントをまとめました。

 

3世代消費攻略ポイント

 

①祖父母世代への直球コミュニケーションが効果的!

3世代消費において、消費の提案から決定、実際の支出まで、実は祖父母の関与が予想以上に高いです。従って祖父母へのコミュニケーションが欠かせません。それが純粋に孫向けの商品・サービスであってもOK。「おじいちゃん、おばあちゃんへ」というコピーで展開されたランドセルの新聞広告もありました。

 

②ふれあいの「場」の提供、「思い出」づくりを意識

祖父母にとって、孫や家族と一緒に過ごす時間はかけがいのないもの。商品・サービスの訴求ポイント、広告表現においても、ここを意識することがポイントとなります。旅行・レジャーや孫の成長の節目での祖父母の出費が多いというのも頷けます。

 

③祖父母、親、孫の3世代それぞれにメリットがある、商品・サービスの付加価値化

初期の3世代消費の広告は、単に3世代が映り込むだけの、要はクリエーティブ表現上だけの3世代でした。でも最近の3世代消費の商品は、よく考えられているなぁと感心するものが多いです。3世代ならではのサービスに加え、各世代がそれぞれに満足できるよう配慮されているのです。欲張りな団塊世代のことですから、やはり自分も楽しみたい!という思いが強いのかもしれませんね。

 

3世代消費は、従来の比較的高額な「旅行」「住宅」などのコト消費から、「飲食」、「ファッション」など日常的な消費へ、裾野が拡がってきています。また商品・サービスのジャンルも多様化が見られます。みんながハッピーになれる3世代消費の拡がりで、家族の笑顔が増えるといいですね!