中国の若者へアプローチするためのヒント。「タイアップトレンド」と「これからのアプローチ」
2020/10/22
第6回では、新型コロナウイルスによって変わった中国の若者の行動変化についてお伝えしました。今回は、中国の若者に関するコンテンツタイアップのトレンドと、ポストコロナ時代に中国クライアントの課題解決のために提供しているサービスを紹介します。
アニメで4億人が狙える?中国でのコンテンツタイアップトレンド
こんにちは、dentsu X所属で上海に出向中の山内康弘です。中国では、アニメ、コミック、ゲームなどのカルチャーコンテンツのことを、英語の頭文字を取って「ACG」と総称したり「二次元」と呼んだりします。iiMedia Researchという会社のリサーチによると、中国での二次元ユーザーは2021年には4億人に達すると予想されています。(出典:https://www.iimedia.cn/c400/69592.html)
日本でも「若年層の中ではアニメはサブカルチャーではなく、メジャーカルチャーである」ということが言われますが、中国もまさに同じような状態です。
(参考:アニメは最高のマーケティング・ソリューションである)
コロナ禍においても、アニメなどを中心にしたコンテンツプラットフォームのユーザー数の増加やゲーム会社の増収が報じられるなど、ACGかいわいの消費力は衰えずにむしろ増強の傾向を見せました。
中国ではECでのマーケティングが中心になっていることもあり、移り変わりのサイクルも短い中で、消費者から新しい注目を得るためにコンテンツタイアップも多く行われます。ACG関連のコンテンツタイアップは若者をターゲットにする際に、よく検討される選択肢のひとつとなっています。タレント起用に代わる選択肢としての検討も珍しくありません。
日本でも話題になることが増えた「独身の日」(11月11日、ダブルイレブンとも呼ばれる中国最大のショッピング商戦日)の他にも「618」など大きな商戦期を目がけて、さまざまなコンテンツタイアップが登場します。日本のアニメ作品とのタイアップも多くあります。もちろん正規にライセンス契約をしているタイアップです。
著作権に対する取り締まりが強化されていることに加えて、大手のECプラットフォームが自らコンテンツのマッチングをサポートする事業を行っていることも中国でコンテンツタイアップを加速している要因のひとつです。
タイアップの対象となるコンテンツのトレンドはACG関連の他にも、バーチャルキャラクターや「国潮」と呼ばれる伝統文化財などがあります。
バーチャルキャラクターは日本でもおなじみですが、中国でのマーケティング活用の場の特徴としては「ライブコマース」に登場することです。ライブコマースは、ライブ配信とECを掛け合わせたもので、ここ最近、中国で急成長をしています。
KOL(キー・オピニオン・リーダー、インフルエンサーのことを中国ではよくKOLと称します)が商品を宣伝するだけではなく、普通の社員や企業経営者も登場する中、バーチャルキャラクターは彼らとの「共演」も可能。ライブコマースがバーチャルキャラクターの活躍の場になっています。
「国潮」のコンテンツには、博物館や庭園の伝統文化財などがあり、独特なモチーフやデザインパターンを用意してコラボレーションのビジネスを行っています。伝統と先端の融合はかっこいいものとして現代の若者に支持され、ファッションブランド、化粧品、食品など幅広いブランドとタイアップしています。
中国では、興味を喚起するために積極的にコンテンツタイアップが行われているのです。
ポストコロナ時代。中国の若者へのアプローチ方法
ここからは、ポストコロナ時代の中国の若者に対するアプローチとして、電通グループが中国で提供している課題解決策の一部を電通イージスネットワークチャイナの長谷川陽一が紹介します。
ここでは、
① 若者の生活行動・トレンドに合わせたアプローチをしたい
② ECで売り上げをしっかり確保したい
③ 商品やサービスのブランド価値を高めたい
という三つの課題への解決策を紹介します。
① 若者の生活行動・トレンドに合わせたアプローチをしたい
解決策:若者に人気のメディアと連携する!
電通グループは、数年前からBATと呼ばれる百度、アリババ、テンセントとは戦略的提携を結んできました。そしてコロナ禍が一段落した今年6月に、若者に強く、BATに続く四つのメディア、「小四天王」ともいうべきBilibili(ビデオをはじめとするエンターテインメント・コンテンツ企業)、小紅書(ソーシャルおよびECプラットフォーム)、知乎(Q&Aサイト)、快手(TikTokのようなショートビデオプラットフォーム)との提携を発表しました。
② ECで売り上げをしっかり確保したい
解決策:販売力を持つKOL(中国のインフルエンサー)のライブコマースを実施!
販売力を持つKOLを起用したライブが有効です。私たちは「独身の日」に続く商戦である「618」でもKOLを起用したライブを数多く手がけました。今年の「618」では、サポートしたクライアントが前年比平均を大きく上回る売り上げを達成しました。
③ 商品やサービスのブランド価値を高めたい
解決策:ブランドイメージを高めるタレント起用でキャンペーンをサポート!
ライブは時に、ブランド価値向上よりも値下げで売り上げを確保するという側面があります。しかし、われわれは商品・ブランドの強みを生かした、ECプラットフォーム内外でのキャンペーンを数多くお手伝いしています。
特に、企画性によりアリババが参加ブランドを選択するTmallのイベント(スーパーブランドデーなど)企画へのサポートでは、タレントを起用したブランド価値向上と、KOLを起用したライブでの売り上げ向上を、同時に実現しました。
昨年12月に発表した有力T P(タオバオ認定パートナー企業)のラーチー社との提携により、クライアントのブランド強化と、継続的な売り上げ拡大へ寄与するためのサポートも続けています。
今後も、中国の生活者の行動変化に合わせて、クライアントの課題解決サポートを拡大していく予定です。中国の若者へのアプローチを検討している方はぜひ、お問い合わせください。