アニメと広告の関係は新次元へ!No.1
アニメは最高のマーケティング・ソリューションである
2018/12/21
最近、「アニメ」を使った企業のブランドCMをよく見かける気がしませんか?
現在、日本では若年層(10代~20代)の興味関心が高いアニメを活用したコミュニケーションが一般化しつつあります。
そんな中、日本のアニメスタジオと電通が連携してクライアントのマーケティング課題を解決する「Dentsu Japanimation Studio」が発足しました。本連載では、日本が誇るアニメ、すなわちJapanimationがいかに強力なマーケティング・ソリューションたり得るのかを紹介します。
<目次>
▼アニメでマーケティング課題を解決する「DJS」が始動!
▼無限の可能性がある「オリジナル短尺アニメ」とは?
▼広告を作るのではなく、作品を創ることにこだわる
アニメでマーケティング課題を解決する「DJS」が始動!
多くのマーケティング関係者の想像以上に、日本の若年層にとって、アニメは身近な存在です。
電通の直近の調査では、アニメに対する興味・関心度は20代で64.3%、10代後半で72.4%にも達しました。今の若年層にとっては、アニメはもはやマイナーな趣味ではなく、当たり前のように馴染みのあるものになりつつあるのかもしれません。

若年層にとってアニメはもはやサブカルチャーではなく、メジャーカルチャーである。
特に「若年層の開拓」に課題意識を持つマーケティング担当者の方は、アニメという選択肢を視野に入れてみてもいいのではないでしょうか。今後アニメがますます一般化していく未来像を考えると、無限の可能性を秘めたマーケティング・ソリューションだといえます。
また、アニメが“効く”のは日本の若年層だけではありません。近年、日本製アニメ映画がグローバル市場でヒットしていることもあり、日本製アニメの海外人気はかつてないほどに高まっています。
例えば、20カ国・地域6600人の外国人を対象に実施した最新の調査では、「優れていると思う日本のモノ・コト」として、34%もの回答者が「アニメ・漫画」を挙げました。

しかし、こうした日本アニメへの注目度に比べると、海外市場でのマーケティング活用事例は、まだそこまで多くありません。
アニメを活用したマーケティング・ソリューションをより高度に、広範なものに進化させていきたい。
そんな思いのもと、電通は今年10月22日(アニメの日)、グループ横断組織「Dentsu Japanimation Studio」(電通ジャパニメーションスタジオ、以下DJS)を立ち上げました。
≪ニュースリリース≫
電通、有力アニメスタジオと連携し、ブランドの魅力を高める映像コンテンツをアニメーションで制作する体制を構築
DJSは日本が世界に誇るアニメスタジオ各社と共に、クライアントにとって最適な「アニメ活用ソリューション」をつくり上げます。連携するアニメスタジオは今後も増えていく予定です。
また、国内だけではなく世界中のクライアントに向けて、電通の海外ネットワークを駆使したサポート体制をつくっていきます。
なおかつ、電通ならではの強みとして、マーケティング観点からの、生活者へのリサーチ結果に基づいたコンテンツ制作とフィードバックが可能です。プロジェクトメンバーは、右脳派から左脳派まで、幅広い職種の専門家が集まっています。
無限の可能性がある「オリジナル短尺アニメ」とは?
DJSは「アニメ×マーケティング・ソリューション」という領域で、今後、幅広い取り組みを行っていきます。
既に国内、海外クライアントのいくつかのキャンペーンをサポートしていますが、現時点では、「ブランドが伝えたいコトとアニメストーリーを最適化したオリジナル短尺アニメ」をウェブコンテンツとしてつくり、広告出稿と戦略PRを組み合わせて、若年層を中心に情報拡散させていくことを得意としています。
このソリューションでは、既存のIP(知的財産)を活用せずに「オリジナルアニメ」として企画するので、自由度が高く、「ブランドに最適化されたコンテンツ」を構築できます。この連載の中では、実際に手掛けた事例を紹介していきます。
また、一つのコンテンツを約3分程度の短尺アニメとして企画しているのも特徴です。
この3分という尺は、15秒CMのように「短過ぎない」ことで強いストーリー性を持たせられます。また、テレビアニメやアニメ映画と比較し「長過ぎない」から何度も見てしまうし、SNSでシェアしたくなります。シェアされた側も、「3分なら」と気楽に見てくれます。

さらにシェアという観点からは、「日本のアニメファンは、アニメファンではない人々と比較し、情報感度や情報波及力が高い」という調査結果もあります。つまり良いコンテンツ(作品)をつくれば、積極的にシェアしてもらえる傾向があるということです。

出典:電通ウェブ定量調査・2017年11月(全国20000ss)アニメファンの情報感度、情報波及力はまさに驚異的。本当に良いウェブコンテンツ(作品)であれば、短期間に爆発的な広がりを見込める。
加えて、各国語の字幕を付けることで、日本のクライアントの作品が海外にまでシェアされていくことも起こっています。ネットで気軽に最後まで見られる短尺アニメなので、「海外のアニメファン」だけではなく「海外の非アニメファン」にも届きやすくなります。
日本のアニメファンだけでなく、海外のアニメファン、さらにアニメ無関心層まで、無限に広がっていく可能性がある。
そんな理由により、DJSではこの「オリジナル短尺アニメ」をウェブで展開することが、現段階におけるアニメを活用したマーケティング・ソリューションの一つの解であると考えています。
とはいえ、もちろんクライアントや外部環境によってベストなソリューションは変わります。海外においては異なる方法も実践しているので、今後の連載で紹介できればと思います。
広告を作るのではなく、作品を創ることにこだわる
「アニメ×マーケティング・ソリューション」に取り組む上で、私たちが大切にしている考えがあります。
それは、
アニメ広告を作るのではなく、アニメ作品を創る。
ということです。

広告会社の人間がこんなことを言うのはおかしな話ですが、「作品を主に。広告を従に」という考えをクライアントとも共有して、プロジェクトを推進しています。
これは、私たちが実施した案件に対する検証からも見えてきていることですが、商品・サービスを前面に押し出さなくても、一つの「作品」として優れたものを送り出せれば、むしろそちらの方が視聴者は企業やブランドに対してポジティブな感情を持ってくれます。
あくまでも「良いアニメ作品」であることが、結果的には企業のブランド価値を高めていくコンテンツになるのです。
私たちは以下の3STEPで、確かなマーケティング成果がもたらされることを、つかみつつあります。

ただ良いアニメ作品をつくるだけではなく、ブランドにアニメ作品を最適化するための「コンセプト・メーキング」の方法や、効果検証方法も、電通ならではのノウハウが蓄積されつつあります。
取得したデータを読み込むたびに、「マーケティング・ソリューション」と「良いアニメ作品創り」は両立できるし、両立させなければならないことを強く実感します。
以上、DJSメンバーであり、ストラテジックプランナーの武藤隆史がお伝えしました!
次回はDJSのコンテンツプロデューサーが登場し、国内におけるオリジナル短尺アニメ事例を紹介します。