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電通ビジネスデザインスクエアの新・虎の巻No.4

2020/11/09

ビジョンを診断すれば、企業のこれからが見えてくる。

ビジョンを持たない企業は存在しないけれど

すべての企業が、人々に価値を届け、社会を豊かにするために生まれてきます。

何のために事業を営み、何を目指すのか。企業のホームページを開けば、ミッション・ビジョン・バリュー、もしくは経営理念やフィロソフィーなど、呼び方はそれぞれですが、それらが言葉として定義されているでしょう。

それでも、われわれ電通ビジネスデザインスクエア(以下、BDS)には、業種を問わずさまざまな企業から、ビジョンについてのご相談を頂きます。そして多くの場合、

「ビジョンが機能していない」

という言葉が出てきます。実はその一言には、複雑な課題が折り重なっているのです。

例えば社内アンケートをとってみれば、ビジョンの認知度は低くない。自分の会社のビジョンを知っていますか?と聞かれれば、答えることはできる。しかし、役職や年代によって、その解釈にかなりのバラツキがある、といったケース。さらには、現場からの積極的なアイデアが出てこない、採用活動をしても理想とする人材と出会えないといった、一見ビジョンとは離れた課題も、対話を重ねるうちに見えてきます。

ビジョンが機能していないというと、そのワード自体に問題があり、変更すべきでは?という発想になりがちですが、実はそれ以上に、

ビジョンが機能していない状態=「企業の内側にある問題点が顕在化した状態」

だと捉えることができます。その場合は、ビジョンだけを変更しても、根本的な課題解決にはなりません。ビジョンをある種の「入り口」として、その企業と深く向き合うことを、私たちは何より大切にしています。

いいビジョンほど、社内で「流通」している

では逆に、いいビジョンとは何か。ビジョンが機能するとは、どういうことか。まずそこから考えていきましょう。私たちBDSでは、ビジョンを単なる「耳あたりのいい言葉」として捉えてはいません。もちろん、記憶に残ったりハッとする言い回しであることは大切ですが、それよりも、そのビジョンがどんな役割を果たしているか、が重要です。

私はよく「御社の“固有名詞”となる言葉を探しましょう」とお話しするのですが、仮に平易な言葉、普遍的な言葉であっても、深くその企業の中に根ざし、それぞれの仕事の現場で異口同音にその思想が語られている状態が理想です。その企業ならではの言葉として、社内で自然に「流通している」こと。それこそが、いいビジョンの条件だと考えています。

ここで、「機能するビジョンづくり」を現場で実践されている方を紹介します。グリッドのCEO、そして吉野家のCMOを務める田中安人氏です。

田中安人氏プロフィール
田中安人氏 プロフィール

田中氏が、吉野家でのビジョン開発に取り組んだときのこと。経営陣として議論を重ねる中で、「日常食を絶やさない」という一言が出てきたそうです。

それは創業以来、吉野家が大切にしている、いわば企業のDNAともいえる精神。今でも被災地などにトラックで駆けつけ、牛丼を提供することは、彼らにとって当然の行為だといいます。

それ以来、田中氏は「企業のDNA」にひもづいたビジョンこそが「機能するビジョン」であるとの考えのもと、他社のビジョン開発をコンサルティングする際にも、必ずその企業のDNAを探すことを大切にしています。

ビジョンを診断することは、企業の課題を可視化すること

2020年9月、ビジョン診断サービス「Visioneering Assessment(ビジョニアリング・アセスメント)」は電通と、田中氏が代表を務めるグリッドによる共同提供を開始しました。

いわば建築の強度診断のように、ビジョンの強度や構造をつぶさに見ていきます。単に言葉の表現について評価するものではなく、ビジョンを入り口に、その企業が抱える複雑な課題を可視化することを特長としています。

まずVisioneeringという単語の説明が必要かと思います。これはBDSが提供しているビジョン開発のサービスを指します。Vision + Engineeringの造語で、コピーライティングはもちろん、それをどうやって社内で機能させ、経営や事業にどう波及させていくか、までを一貫して設計するプログラムです。

ビジョニアリング・アセスメントのプログラムにも、Visioneeringの知見が生かされており、コピーライター、ビジネスプランナー、社内変革を専門とするインナーアクティベーション・スペシャリストなど、異なる専門性を備えたメンバーがチームを組みます。そして、CMOとして事業会社の現場を知り尽くす田中氏にも参画いただくことで、多角的で実践的な診断サービスとしてリリースすることができました。

診断サービスの流れ
診断サービスの流れ

専門家の目と、データを使って、くまなく診断

実際のサービス提供時は、対話やセッションを通してインタラクティブに進めていきますが、今回は中心となる2種類の診断アウトプットについてご紹介します。

まず、企業情報のインプットやヒアリングを経た上で、総合的な診断結果として出力されるのが「Visioneering CANVAS (ビジョニアリング・キャンバス) 」です。

このフレームワークは、五つのクライテリア(評価基準)から構成されています。左上の「ビジョンの強度」に始まり、タテ・ヨコそれぞれの軸の「一貫性」があるかどうかを明らかにします。

診断のフレームワーク:Visioneering CANVAS
診断のフレームワーク:Visioneering CANVAS

図の左側にあるタテの軸を例に取ると、企業の「ビジョン」が経営や事業の「戦略」に落とし込まれているか?さらには現場の「戦術」のひとつまで、ビジョンの達成に寄与するものかどうか?といった流れで、その企業の施策や業績と照らし合わせて見ていきます。

たとえ壮大なビジョンを掲げていたとしても、従業員一人一人が向き合う日々の業務にまで直結しているかどうかによって、その機能や効果は大きく変わってきます。「明日の一歩」としての行動指針が設計されているかどうかも、ビジョンの強度を判断する重要な観点です。

そのようにひとつずつ診断していくことで、どの軸の一貫性が弱いのか、その一貫性が途切れている原因はどこにあるのか、といった課題が浮き彫りになってきます。実際のサービス提供時は、1次診断、2次診断という形で、企業の経営者や担当者と議論を重ねながら、精緻化を進めます。

もちろん、弱いところ、悪いところを探すことだけが目的ではありません。その企業が本来持っているポテンシャルはどこにあるのか。それが発揮できていないとしたら、何が原因なのか。丁寧にひも解くことが、企業内部に変革を起こす力、ひいては社会の中で変革を起こす力を高めていく。私たちはそう考えています。

そして、二つ目の診断アウトプットが、Visioneering Funnel(ビジョニアリング・ファネル)です。データを集め、定量的にビジョンの機能性をチェックするものです。

定量的な診断アウトプット:Visioneering Funnel
定量的な診断アウトプット:Visioneering Funnel(数値やグラフはイメージ)

社内アンケートを実施し、ビジョンの浸透度や社員の意識、行動特性などを一覧化します。絶対値としての数値ももちろん大切ですが、たとえば部署ごと、役職ごと、年齢ごとの意識に差異がないか、といった特徴的な傾向を探すための材料にもなります。この調査を定期的に行うことで、時系列での変化や、社内施策の実効性の確認にも活用することができます。

未来図の再設計は、ビジョンの診断から

冒頭に述べたように、すべての会社が、ビジョンを持って生まれてきます。一方で、市場や業界などの環境変化に対応し、生き残っていくためには、耳あたりのいい言葉だけのビジョンでは機能しないこともまた、事実です。

だからこそ私たちは、企業のビジョンを診断することで、その企業が本来持っている使命や底力を改めて明らかにし、社会に届けていくための力になりたいと考えています。

未来図の再設計は、ビジョンの診断から。それこそが、ビジョニアリング・アセスメントに込めた私たちの思いです。自分たちは企業として、どこから来て、どこへ行くのか。ぜひ一緒に考えさせていただければと思っています。

未来図の再設計はビジョンの診断から

「Visioneering Assessment」リリース:
"機能する企業ビジョン"の実装に向け、企業活動・組織のあらゆる課題を可視化する 診断サービス「VISIONEERING Assessment」の提供を開始

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