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トレジャーデータと電通が駆動させる、DXのエンジンNo.4

マーケティングDXに必要な「顧客体験変革」とは?

2020/12/11

DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のマーケティングに必要な二つのエンジン。それは「データ基盤」と「顧客体験」です。

電通は、国内シェアナンバーワンのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)である「Treasure Data CDP」を提供するトレジャーデータと協業し、クライアントのDX推進に欠かせない「データ基盤」というエンジンを手にしました。

今回はトレジャーデータのエバンジェリストである若原強氏と、電通トランスフォーメーション・プロデュース局で事業変革を支援する三澤茂太氏、渡邉典文氏に、電通の新サービス「Dentsu Digital Transformation診断」の狙いと、DXの現在地について聞きました。

<目次>
より包括的なクライアント支援のために生まれた「DX診断」
統一された顧客体験こそが優位性を生み出す
診断タイプ別に見る、DX推進の落とし穴
コロナ禍の今こそ変革のタイミング


より包括的なクライアント支援のために生まれた「DX診断」

──「Dentsu Digital Transformation診断」(以下、DX診断)が生まれた背景を教えてください。

三澤:私たち電通は、広告の領域においては長い歴史と実績を持つ企業です。しかし、クライアントのマーケティングパートナーとしてより一層の支援をしていくためには、広告以外の領域にも注力していく必要があります。

私や渡邉が在籍しているトランスフォーメーション・プロデュース局は、いわゆるDXのような新しいビジネス変革を支援する部署です。コロナ禍の影響もあり、多くの企業でDX領域の課題が顕在化しています。「DX診断」を呼び水にして、包括的なマーケティング支援をしていきたいと考えています。

渡邉:ウェブ電通報の記事で三澤もレポートしていましたが、「企業としてDXに取り組んでいるものの、成果につながらない」という話をいくつも耳にしています。こうしたクライアントの課題に電通としても取り組んでいきたい。「DX診断」はそのきっかけになるツールです。

若原:トレジャーデータのクライアントもやはり、自分たちのビジネスをどのように変革させていくのか悩みながらDXに取り組んでいらっしゃいます。自社が他社と比較して進んでいるのか遅れているのかを知りたいというニーズもあります。「DX診断」は、客観的な指標を示すことができる優れたツールだと感じました。

三澤:ただ、「DX」というだけでは扱う範囲が広過ぎますし、電通の強みを生かしたものにしたい。そこで、私たちはクライアントの顧客接点に関する領域を「マーケティングDX」と定義して、その部分を集中的に支援していきます。

若原:ビジネス変革という大きな事業領域がある中でも、DX需要の高まりと、電通の強みを掛け合わせて出てきたのが、マーケティングDXという概念なんですね。

三澤:おっしゃる通りです。マーケティングDXという専門領域をつくってタレントを集約することで、知見が効果的に蓄積していきます。このやり方なら、クライアントにとっても電通にとっても、効率的にビジネス領域を広げていけると思います。

統一された顧客体験こそが優位性を生み出す

診断項目の一部。クラアイントのDXを多角的に分析するため、三つの視点と四つの領域で合計32項目からなる質問を用意。クライアントの回答からDX課題を数値化、診断する。
診断項目の一部。クラアイントのDXを多角的に分析するため、三つの視点と四つの領域で合計32項目からなる質問を用意。クライアントの回答からDX課題を数値化、診断する。

──「DX診断」は具体的にはどういったツールなのでしょうか。

渡邉:アンケート形式で32個の質問に答えていただいて、診断結果を出します。企業を8タイプに分類した上で、指標ごとの評価をレーダーチャートで表示し、どこが良くてどこが伸び悩んでいるかが、ひと目で分かるようになっています。

若原:実際の質問項目を見ましたが、とても網羅的だと思いました。32問というのも、クライアントの負担にならない絶妙なバランスです。

渡邉:評価は「①顧客体験」「②システム」「③人材」「④組織・業務」の四つの観点で行います。すべて、統一された顧客体験をつくり上げるために必要なものです。

マーケティングDXを通して提供するべきものは、その企業ならではの優位性を生かした顧客体験です。その顧客体験を支えるのは優れたシステムであり、システムを扱える人材であり、適切な業務設計です。

また、企業のミッション/ビジョン/バリューについての質問項目も盛り込んでいます。DXは経営やサービス向上のための手段です。「DXのためのDX」に陥らないためにも、企業のミッション/ビジョン/バリューは重要です。

三澤:単純に「顧客体験を良くしていこう」という方針では、個別最適化に進みやすい。結果として、店頭の接客で受ける体験と、ウェブサイトやメールで受け取る体験がまったく違うなんてこともあります。ミッション/ビジョン/バリューに立ち返ることができれば、その企業「らしさ」がある、統一された顧客体験を提供しやすいのです。

若原:非常によく考えられて設計されています。顧客のニーズに応えることだけを突き詰めていくと、他社との差別化が難しいですが、そこで「自社らしさ」を出すために、企業のミッションなどがよりどころになってくるわけですね。

診断タイプ別に見る、DX推進の落とし穴

DX診断の結果は、8種類の「タイプ」や、各指標のレーダーチャートなどで、分かりやすく表示される。
DX診断の結果は、8種類の「タイプ」や、各指標のレーダーチャートなどで、分かりやすく表示される。

──「DX診断」の診断結果からは、どういうことが分かってくるのでしょうか。

渡邉:八つの診断タイプによって、それぞれの課題が見えてきます。例えば、システムや人材の変革は進んでいても顧客志向性が低いようであれば、電通が前に立って「顧客体験の向上」を目指していくことになるでしょう。

三澤:顧客志向性の低いタイプの企業は、データは蓄積されているけれど施策がうまくいっていないことが多いですね。データ蓄積が目的になってしまっていて、集めたデータを何に使うのか設計されていないというケースです。

若原:私もよく「勝手にたまっていくデータと、意図を持ってためていくデータは、同じデータでも有用性がまるで違う」とお話しさせていただいています。「DX診断」を通じてデータへの意識づけができるのは、とても良いことだと思います。DXには俯瞰の意識が大切ですね。

渡邉:逆のタイプで、顧客志向性は高いけれどDX進捗度が低いという診断結果であれば、「システム変革」に注力するべきです。こうした企業には、トレジャーデータの専門知を生かしたソリューションを提案していくこともできます。

──「Treasure Data CDP」を提供するトレジャーデータから見て、システム変革を進める上でのポイントはどのようなところでしょうか。

若原:「DXの必要がある」という課題をクライアントが抱えているとして、CDPを導入するという手段にすぐつながるわけではありません。まずは「データ活用が重要だ」という認識を持ってもらい、データを収集・統合して分析するとはどういうことかを理解してもらうことが大切になります。

クライアント自身がデータ活用についてしっかりと考えて“腹落ち”していることが、システムを変革する際にはとても重要です。

渡邉:今、DXについて考えている企業は、誰もが一度はCDPやDMP(データマネージメントプラットフォーム)の導入を検討しているはずです。しかし、結果的には導入されていないか、導入されても限定的な運用しかされていないことが多い。

せっかく顧客志向性が高いタイプであっても、システムが追いついていないのですね。逆にいえば、このタイプはシステムさえ整備すれば、高速にPDCAが回せて、低コストかつ迅速に施策を打てるようになります。

若原:CDPやDMPは、導入すること自体が目的になりがちな側面もあると思います。だからこそ「DX診断」によって俯瞰的な視座が示されることで、その企業にとっての「CDPの使いどころ」がより明確化されていくのは心強いです。

三澤:「DX診断」を通して、自分たちに何ができていて何ができていないのかが分かれば、次の打ち手も見えてくるはずです。つまり、「なんのためにDXを行うのか」「なんのためにCDPを導入するのか」という目的が明確化されるのです。

若原:そうですね。「Treasure Data CDP」はさまざまなデータを柔軟に取り入れて分析することができますが、目的が不明確なままにただデータを入れていっても、迷い道に入り込んでしまう危険性があります。

そうではなく、企業ごとの顧客志向性を軸にしたデータ活用が進んでいけば、企業も生活者も幸せになり、「DX診断」の価値もより高まっていくのではないでしょうか。

コロナ禍の今こそ変革のタイミング 

──これからのDXはどのように展開されていくのでしょうか? 

三澤:どんな企業にとっても、データが非常に重要になってきています。多様なデータを、多様なタイミングで、多様な接点から取得する必要があります。この観点でサポートを必要としている企業はかなり多いのではないでしょうか。

渡邉:コロナの影響はとても大きいですね。例えば製造業のように、これまでは卸売業者を経由していたため顧客との接点がなかった企業からも、コロナ禍をきっかけに顧客と直接つながりたいという声が急激に増えました。オンライン商談やペーパーレス化など、今まで動きがなかった業界や業務にも、変化が表れてきています。

若原:「2025年の崖」のような話もありますが、自社を客観視して対策を打つことができるのは、もしかしたら今が最後のタイミングなのかもしれません。まずは「DX診断」を使って、自分たちの現在地を確認してみてほしいですね。

渡邉:「DX診断」には、どうしても恣意的に答えられてしまう部分があって、強気に答えると良い結果が出てしまいますが、それでは自分たちのためになりません。恰好をつけずに真摯に回答すれば、本当の課題が見えてくるはずです。課題をしっかりと見つめていただき、新しい時代のマーケティングDXに取り組んでいくための助けになれたらと思います。


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