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“顧客体験”を軸に、DXは加速するNo.1

DXで成果が出る企業・出ない企業の違いって?

2020/10/02

電通は、企業や事業全体のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)課題をスコアリングして、市場・業界内でのポジションを把握し、課題に沿ったソリューションを提供する「Dentsu Digital Transformation診断」のサービス提供を開始しました。

「Dentsu Digital Transformation診断」
顧客接点に関する領域を「マーケティングDX」と捉え、電通が独自に行った調査結果を元に、DX進捗度を偏差値によって測る診断ソリューション(リリースはこちら)。 

この記事では、同サービスのローンチに先駆けて実施した調査で得た結果を基に

・日本国内でどの程度DXが進んでいるのか?
・DX先進企業の特徴とは何か?
・DX推進における課題は何か?

など、DXで成果を上げるために必要不可欠なものは何かを明らかにします(調査概要は本文末尾に記載)。

<目次>
電通が考える“マーケティングDX”とは?
調査から見る、マーケティングDXで成果が出ている企業と出ていない企業の違い
まとめ:DXで成果を出すためのポイント


 

電通が考える“マーケティングDX”とは?

昨今、「DX」という言葉を見かける機会が非常に増えています。

近年、国内市場の成長が鈍化していく中、ビジネス変革と成長を推進する手段としてDXが注目されてきました。例えば営業ツールの導入による効率化や成果の共有、自社アプリを構築して顧客との新しい接点を設けることなどです。

そうした中、コロナ禍により、DXに対してもこれまで以上に注目度が高まりました。コロナで強制的に芽生えた“3密”回避の意識により、非接触決済の浸透やDirect to Consumer(D2C)、リモートワークの加速など、各市場・業界のマーケティングルールが激変しています。ただ「DX」と一言で言っても、あまりに扱う範囲が広いため、今回は顧客との接点に関する領域を「マーケティングDX(※1)」と捉え、

①顧客体験変革
②システム変革
③人材変革
④組織・業務変革

の四つの視点から調査を行いました。

※1 マーケティングDXの定義:生活者を中心に捉え、デジタルを活用し、ビジネスモデル/マーケティングプロセス/組織を変革し、競争上の優位性を確立する活動。なお、ここでのデジタルとは、デジタルデバイス(装置)やデジタルテクノロジー(技術)、デジタルメディア、デジタルデータなどを総称しています。


マーケティングDX1
マーケティングDX2
調査に回答した日本企業の大半(約83%)がマーケティングDXに取り組んでいると回答。しかし、成果が出ていると答えているのは全企業の約半数でした。

「成果が出ている」と回答している企業は、そうでない企業と何が違うのか。調査結果からひもといていきたいと思います。

調査から見る、マーケティングDXで成果が出ている企業と出ていない企業の違い

マーケティングDX3
一つ目の特徴的な調査結果です。

マーケティングDXで成果が出ていると回答した企業の約73%は経営トップがコミットメントを行っていると回答しました。当たり前の結果だと思われるかもしれませんが、やはりマーケティングDXは「ビジネス変革のための『手段』」であるため、トップのコミットメントは必須です。

もちろん中にはシステム部門が主導でDXを推進し、成功している企業もあるかもしれませんが、一般的に考えると、トップコミットメントがあるのとないのでは大きく成果が違ってきます。

マーケティングDX4

二つ目の特徴として、マーケティングDXで成果が出ていると回答した企業の約85%は、ミッション/ビジョン/バリューが定義・明文化され、全社レベルで浸透していると回答しました。

コロナ禍の中で、企業の根幹となるパーパス(社会における自社の存在意義)が改めて注目されていますが、なぜマーケティングDXで成果を出すためにミッション/ビジョン/バリューが重要なのでしょうか。

成果が出ていない企業は、DXを「生活者主体」ではなく「企業主体」で考え、短期的なKPIを達成することに注力するなど、DXという手段自体が目的化しているケースが多いのです。自社のさらなる成長、他社との差別化のために自社アプリの開発や営業ツールの導入などを推進したはずが、結果的に他社と同じ顧客体験を生み出しただけに終わり、中長期で見るとコモディティー化を推進する結果になってしまいます。

ミッション/ビジョン/バリューという “企業としてのよりどころ”があることで、自社が何を生活者に提供するのかが明確になり、それによってオンライン・オフライン通じたあらゆる接点での体験が一貫したものになります。これはマーケティングDXにおいても変わりません。結果的に、中長期で他社との差別化、自社の成長にもつながるのではないでしょうか。この回答結果は、そのことを示唆していると考えます。

マーケティングDX5

三つ目の特徴としては、マーケティングDXで成果を上げている約87%が、顧客を中心に捉えた取得データを基に、データドリブン型の顧客体験変革を行っていると回答しました。

生活者も市場も、常に目まぐるしく変化しています。

顧客データ管理システムをはじめとした仕組みを構築しただけ、あるいは単純に取得するデータが多いだけ、といった状況では、成果はなかなか出にくいでしょう。

「営業効率化のためにツールを導入したけれど、営業の現場に使ってもらえない」

「顧客から獲得できたデータがあるんですが、何かに使えませんか」

「顧客との接点を増やすために自社アプリを開発したのですが、ユーザーの利用率が…」

という企業の悩みを電通では多く受けています。生活者ではなく自社を中心に構築した仕組みには血が通わず、目的が明確でなく、「何かに役立ちそうだから」と、とりあえず集めたデータは顧客体験の向上に生かせません。

DXという言葉は、企業主語の言葉であるため、どうしても生活者のことがいったん脇に置かれがちです。改めて、「DXの成果が出ていない」と感じている企業責任者の方は、企業を中心に生活者の「ことも」考えるのではなく、生活者を「中心に」考えたときに自社のマーケティングDXがどうあるべきなのか、立ち返ってみてはいかがでしょうか。

まとめ:DXで成果を出すためのポイント
① DXはあくまでもビジネス変革のための手段であり、マーケティングDXの成功にはトップのコミットメントが必須。
② マーケティングDXにおいてミッション/ビジョン/バリューの定義・明文化と、全社レベルでの浸透が重要。
③ 生活者を中心に捉え、取得したデータを基に、データドリブンで顧客体験を常にアップデートすることが大切。

以上が、今回のDX調査結果から見えた、マーケティングDXにおいて成果を出している企業の特徴です。

電通グループではマーケティングDXの推進・支援に当たって調査結果を元に、診断メニューを開発いたしました。診断メニューでは、企業のDXにおける課題の可視化を行います(リリースはこちら)。今後も、個別に抽出した課題を基に、生活者視点でのクライアントのDXを支援、具現化していきます。

次回は、マーケティングDX診断を行った企業の声をお届けします。

マーケティングDX調査2020調査概要
調査主体:株式会社電通
調査機関:株式会社日経BPコンサルティング
調査時期:2020年5月18日~5月22日
調査対象:従業員500人以上の国内企業所属者の経営者、役員クラス、
本部長(部門長)/事業・事業企画部長クラス、部長/部長補佐クラス
調査サンプル:222サンプル(全体810サンプルより抽出)