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アイデアは企画書よりも体験を!論より証拠の「プロトタイピング」

2022/06/07

誰かに新しいアイデアを伝えるには、文字で説明する企画書よりも「体験」の方が効果的だと思いませんか?

プレゼンテーションにあたり、アイデアを「体験」として共有する手法が、今回ご紹介する「プロトタイピング」です。

2022年3月4日、電通で若手クリエーティブ社員向けのハッカソン「PROTOTYPING HACKATHON by Dentsu Lab Tokyo」を開催しました。

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(デザイン:CXクリエーティブ・センター 山本和幸)
※プロトタイピング(Prototyping)とは、主にテクノロジー分野において、開発初期に実際に動くモデルを試作し、その機能やユーザー評価を確認しながら制作を進める手法のこと。
※ハッカソン(hackathon)とは、システムを操るという意味のある「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を合わせた造語。一定期間でアプリやサービスの開発を行い、その成果を競うイベントのことを指す。


テーマは、「これからの時代、新入社員が直面するであろうお困りごとを解決せよ」。

26人の若手クリエイターが6チームに分かれ、電通のデジタルクリエーター集団「Dentsu Lab Tokyo」による技術メンタリングのもと、1カ月半かけて課題に取り組みました。

このハッカソンを例に、アイデアを体験化するプロトタイピングの魅力を、クリエイティブ領域の人材・ナレッジ開発推進担当で、今回ハッカソンの運営にも携わった渡邊はるかがお伝えします! 


“未知の体験”は企画書じゃ伝わらない?プロトタイピングが求められる理由とは

近年、企業の課題が多様化しています。

広告業界が提案する解決策も、マス広告にとどまらず、サービスデザインやプロダクト開発、AR・VR体験など、テクノロジーを活用する領域まで拡張しています。

しかしテクノロジーを活用したアイデアは、“未知の体験”であることが多く、企画書だけではクライアントやチームメンバーが完成形をイメージしづらい場合が多くなります。そこで、プロトタイプ (試作品)を作って完成形を可視化し、イメージをすり合わせ、手を動かしながら作る、プロトタイピングという手法が求められつつあるのです。

実際にどんなアイデアが、どんなプロトタイプで「体験」できるのか?
さっそく、電通の若手クリエイターによる6つのプロトタイプを見てみましょう!

※1 電通グループのデジタル・クリエーティブ採用についてはコチラ
 
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1月の課題発表時には「みんなの強み共有ワークショップ」を実施して互いの理解を深め、3月のプロトタイプ 発表時(上画像)には、電通本社でのリアル発表に加え、プレゼンテーションの様子を100人以上の社員に配信しました。

■プロトタイプ①
チーム「チーム東新橋一丁目」
あなたのメールは何味?お仕事のメールをふりかけへと変換する「メルかけ」

imageリモートワークで増えた、メールでのやりとり。

「受信したメールの意図がつかめない」
「ちょっと怒ってる……?」

など、新入社員はメールでの悩みが尽きません。

そんなメールでのやりとりを、ポジティブにするために生まれたシステムが「メルかけ」です。

メールを受信するごとに、AI(人工知能)が「本文のポジティブ度」を感情分析。その度合いに応じて「やさしいたまご味」「ほのぼのさけ味」「しょっぱいゆかり味」「つんと辛いわさび味」のふりかけが出力されます。

一日の終わりに、その日のすべてのメールの「味」が調合された「メルかけ」が完成し、ごはんにふりかけて食べることができます。


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image「感情分析のソフト面、ふりかけを調合するハード面の両面で苦労しましたが、紙の上だけで企画するのではなく、形にしてからこそアイデアは始まると、強く感じました」
 
チーム「チーム東新橋一丁目」
プランナー/ソフトウエアエンジニア:厚木麻耶
プランナー/ハードウエアエンジニア:辻 健太郎
プランナー/映像:三橋侑里
プランナー:宮村周志、長谷川貴広
 

詳しくはこちら


■プロトタイプ②
チーム「O-WAY」
リモートワークが癒やしの時間になる。飼える次世代型マウス「moblin」

imageオンラインでの仕事、打ち合わせ、コミュニケーションで感じる新入社員たちの孤独感を、忘れさせてくれるのが、“飼えるマウス”こと「moblin」です。

moblinの頭部にはホイールが内蔵されており、頭をナデナデすることで、モニターの画面をスクロールできます。また、左右の手のひらにボタンを配置することで、握手をする動作で右クリック、左クリックができます。頭部のツノは着脱ができ、好きなボディと組み合わせることで、自分好みのmoblinをつくれます。

特に工夫したのはmoblinのデザインです。


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image 「チームで日頃の不安を共有し合う中で浮かび上がった“孤独感”を課題と捉えました。それぞれ異なる“かわいい”のイメージをプロトタイプですり合わせながら、時間をかけて理想のキャラクターを作りました」
 
チーム「O-WAY」
コミュニケーションプランナー:小野澤峻
コピーライター:阿部ひいな
アートディレクター:八武崎凌平
プランナー:渡部訓弘
 

詳しくはこちら

■プロトタイプ③
チーム「80(はちまる)」
メールのやりとりでの“鬱憤(うっぷん)”をスッキリ解消!「うっプンスッキリペーパー」

image「聞いても聞かなくても怒られる」
「人によって言うことが違う」

メールベースのやりとりで生まれる鬱憤(うっぷん)を、一人でスッキリ解消するためのプロダクト、それが「うっプンスッキリペーパー」です。

使い方は簡単。「クソくらえ!」と思ったメール文面をPC経由でペーパーホルダーに転送。ペーパーを引くと、その場で内蔵プリンターによりメールの文面が印字される。あとは、スッキリ用を足すだけ。

コロナ禍を生きる新入社員に、ストレスのない社会人生活を送ってもらうことを目指したプロダクトです。また、メールを送る人が言葉選びに慎重に向き合うきっかけにもなると考えています。


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image「リモートワーク特有の課題を出し合う中で考えつきました。企画(書)だけでなく実物があることで説得力が増し、新たなアイデアも生まれると実感しました」

この「うっプンスッキリペーパー」は、プレゼンの配信映像を見ていた社員からの声かけで、東京レインボープライド2022の電通グループのブース展示に活用されました。プロトタイピングが推進力となり企画が発展した好例といえます。
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プロトタイピングハッカソンがきっかけでブース展示へ発展

展示について詳しくはこちら

チーム「80(はちまる)」
プランナー/コピー:荒木 雅
アートディレクター/プランナー:関口 遼
プランナー/デザイン:挾間桜子
プランナー/ストラテジー:平田航聖


■プロトタイプ④
チーム「服部がX時間稼働した末にたどり着いた結末。」
上司からの突然のむちゃぶりもこれで安心。肝心な時に助けてくれる相棒「ホ給機」

image今どきの新入社員の一番の課題は、リモートワークによる孤独感であると考えました。

それなのに、仕事をしていると、突然プレゼンを任せられることがあります。社会とはこういうものなのです。こういう時に助けてくれる相棒がいるといいですよね。

そこでわたしたちが開発したのは、スマートウオッチで心拍数を計測し、その人が緊張状態だと判断したら、手のひらに「人」という字を書くおまじないをしてくれる相棒ロボット「ホ給機」です。これでもう一人ではないし、緊張感が和らぎます。


image「実際にプロトタイプを作ることによってイメージが共有しやすくなり、より詳細に議論を進めることができました。プロトタイプを基に、議論と製作を繰り返し、最終的には合計で5つのプロトタイプを作り、現在の案に落ち着きました」

チーム「服部がX時間稼働した末にたどり着いた結末。」
アートディレクター:儘田岳賢
プランナー:周 悠里
プランナー:木村太郎
プランナー:瀬戸秀平
エンジニア:服部星輝

 

■プロトタイプ⑤
チーム「斜ピュア」
先輩に話しかけていいタイミングを教えてくれるイス「にゃいす」

image「先輩に話しかけていいタイミングが全然わからない!」
そんな新入社員のお悩みを解決する「ネコのしっぽ型イスロボット『にゃいす』」。

イスに座った人の集中度合いに応じて、しっぽの揺れ方が変わります。例えば、集中している時はしっぽがピーンと伸びたり、リラックスしている時はぶらーんと垂れ下がったり。話しかけていいタイミングが一目瞭然。

加圧センサー(3点)で、先輩の座り方を測定し、そのデータからモーター(2点)を縦・横に動かすことで、3パターン(normal、focus、relax)のしっぽの揺れを演出しています。

先輩のお仕事の邪魔にならないインプットのさりげなさや、ふわふわな質感で動くとキュートなしっぽの演出にこだわりました。


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image 「全員が電子工作未経験でしたが、1カ月半で、学びながら、作りながら、できる人に聞きながら、製作を進めました。アイデアは無限に広がってしまいますが、実際に手を動かし検証を進めることで、方向性を詰められるという発見がありました」
 
チーム「斜ピュア」
プランナー:本田達也
アートディレクター:宮本結以
コピーライター:杉岡美奈
UI・UXデザイナー:大淵玉美


詳しくはこちら


■プロトタイプ⑥
チーム「予算の使い方わからズ」
気持ちはドラマの主人公!偶然の出会いを運命の出会いに変える「ロマンチックエレベーター」

imageコロナ禍で「偶然から生まれる出会い」は失われ、社内のコミュニケーションが希薄に。新入社員にとって切実な問題です。

この課題をチャーミングに解決するのが、ロマンチックエレベーターです。ウェブカメラを通じて乗員が2人だと判定すると、スピーカーからさまざまな音声が鳴り、エレベーターでの出会いを運命的なものに仕立て上げます。

音声は「恋愛」「ホラー」「デスゲーム」など、全部で11種類。クスッと笑えるおかしさや、恥ずかしさから、ついつい隣の人に話しかけたくなるようなナレーションを考えました。

自宅や会社のエレベーターで何度も実験を繰り返し、演出やケースビデオも工夫しました。


image 「改めて、同僚の得意分野の幅の広さや、ラスト1週間でのアウトプットの質の高め方に驚かされました。テストプレー時に参加してくれた同期から『これがあったら毎日出社したい!』というコメントをもらえたことが、モチベーションとなりました」
 
チーム「予算の使い方わからズ」
プランナー/ムービーエディター:林 苑芳
プランナー/CGエディター:田中賢一郎
テクノロジスト:山本和幸
コピーライター:小林麻里奈

 


体験型の企画提案「プロトタイピング」は、企画をドライブする!

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「作りながら考える」プロトタイピングの様子

以上、6チームによるプロトタイプをご覧いただきました。最後に、今回のハッカソンで得られたプロトタイピングのメリットを、参加者たちに挙げてもらいました!

■参加クリエイターが語るプロトタイピングのメリット
・完成したプロダクトのイメージ共有、課題の具体化ができる。
・プロトタイプを見るとチームのモチベーションがあがる。結果として、プロジェクトが進む。
・「もっとこうしたらいいんじゃない?」とフィードバックが得やすい。

また、Dentsu Lab Tokyoのメンター陣からは以下のコメントが寄せられました。

■メンター陣のコメント
「クリエイションの総合格闘技になっているのが素晴らしかった。課題の着想からアイデア、ロゴデザインやコピー、プレゼンの演出など、従来型のクリエイティビティに、電子回路とかソフトウエアの能力が入っていた。こういうチームが増えると今後面白い仕事が増えそう」
村上 晋太郎(Dentsu Lab Tokyo)

「プロトタイピングはイメージの共有をするもの。テレビCMでいう絵コンテやグラフィックカンプにあたる。企画書だけだと通らないアイデアが、一発で通りうる。チームにとっての推進力になることが、今回のハッカソンでも感じられた」
越智 一仁(Dentsu Lab Tokyo )

「実際にプロトタイピングしてみることで、企画書では伝えきれない面白さが伝わり、アイデアをより輝かせることができたり、協力してくれる人を増やしたりできる。ハッカソンの中継をみていた社員からの反響が大きかったことから、プロトタイピングが共感を生み、プロジェクトを推進するための強力な武器になることが、証明されたのではないかと思います。」
斧 涼之介(Dentsu Lab Tokyo)

今回のハッカソンは、斧氏をはじめとする電通のテクノロジー×クリエイティブ人材が中心となって企画・運営したものです。

プロトタイピングのテーマは「新入社員のお困りごとを解決する」でしたが、参加クリエイターの多くは、2021年のリモート入社組、あるいは2021年にクリエーティブに転局してきた人たち。つまり、いわば自分たちの切実な課題を、プロトタイピングによって解決する、という試みでした。

そのためか、多くのチームが「リモートワーク下における孤独感やコミュニケーション不足を解決するソリューション」を用意してきたのが印象的でした。

世の中の課題が多様化する中、テクノロジーを活用しプロトタイピングしながら解決策を探る手法が、今後ますます重要になるでしょう。今回ご紹介したプロトタイプが面白いと思った方は、ぜひ電通までご相談ください!

(※1)電通は2019年から「デジタルクリエーティブ採用」を開始。多様なスキルを持つクリエイターを採用してきました。今回のハッカソンも、デジタルクリエーティブ人材が中心となって企画・運営しています。
関連記事:僕たちが電通で「クリエイティブ×テクノロジー」を広める理由
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